怪人二十面相56

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(にじゅうめんそうはながいあいだ、さもくやしそうに、くちびるをかんで)

二十面相は長いあいだ、さもくやしそうに、くちびるをかんで

(だまりこんでいましたが、やがて、ふときをかえたように、にわかに)

だまりこんでいましたが、やがて、ふと気をかえたように、にわかに

(わらいだしました。)

笑いだしました。

(「さすがはあけちこごろうだ。そうなくてはならないよ・・・・・・。まあきを)

「さすがは明智小五郎だ。そうなくてはならないよ……。マア気を

(わるくしないでくれたまえ。いまのは、ちょっときみのきをひいてみたまでさ。)

悪くしないでくれたまえ。今のは、ちょっときみの気をひいてみたまでさ。

(けっしてほんきじゃないよ。では、きょうは、これでおわかれとして、きみを)

けっして本気じゃないよ。では、きょうは、これでお別れとして、きみを

(げんかんまでおおくりしよう。」)

玄関までお送りしよう。」

(でも、たんていは、そんなあまいくちにのって、すぐ、ゆだんしてしまうほど、)

でも、探偵は、そんなあまい口に乗って、すぐ、ゆだんしてしまうほど、

(おひとよしではありませんでした。)

お人よしではありませんでした。

(「おわかれするのはいいがね。このぼーいしょくんがしょうしょうめざわりだねえ。)

「お別れするのはいいがね。このボーイ諸君が少々目ざわりだねえ。

(まず、このふたりと、それからろうかにいるおなかまを、だいどころのほうへ)

まず、このふたりと、それから廊下にいるお仲間を、台所のほうへ

(おいやってもらいたいものだねぇ。」)

追いやってもらいたいものだねぇ。」

(ぞくは、べつにさからいもせず、すぐぼーいたちに、たちさるように)

賊は、べつにさからいもせず、すぐボーイたちに、たちさるように

(めいじ、ろうかがみとおせるようにしました。)

命じ、廊下が見通せるようにしました。

(「これでいいかね。ほら、あいつらがかいだんをおりていくあしおとが)

「これでいいかね。ほら、あいつらが階段をおりていく足音が

(きこえるだろう。」)

聞こえるだろう。」

(あけちはやっとまどぎわをはなれ、はんかちをぽけっとにおさめました。)

明智はやっと窓ぎわをはなれ、ハンカチをポケットにおさめました。

(まさかてつどうほてるぜんたいがぞくのためにせんりょうされている)

まさか鉄道ホテルぜんたいが賊のために占領されている

(はずはありませんから、ろうかへだしてしまえば、もうだいじょうぶです。)

はずはありませんから、廊下へ出してしまえば、もう大じょうぶです。

(すこしはなれたへやには、きゃくもいるようすですし、そのへんのろうかには、)

少しはなれた部屋には、客もいるようすですし、そのへんの廊下には、

など

(ぞくのぶかでないし、ほんとうのぼーいもあるいているのですから。)

賊の部下でないし、ほんとうのボーイも歩いているのですから。

(ふたりは、まるで、したしいともだちのように、かたをならべて、)

ふたりは、まるで、親しい友だちのように、肩をならべて、

(えれべーたーのまえまであるいていきました。えれべーたーのいりぐちは)

エレベーターの前まで歩いていきました。エレベーターの入り口は

(あいたままで、にじゅっさいぐらいのせいふくのえれべーたーぼーいが、)

あいたままで、二十歳ぐらいの制服のエレベーター・ボーイが、

(ひとまちがおにたたずんでいます。)

人待ち顔にたたずんでいます。

(あけちはなにげなく、ひとあしさきにそのなかへはいりましたが、)

明智はなにげなく、一足先にその中へはいりましたが、

(「あ、ぼくはすてっきわすれた。きみはさきへおりてください。」)

「あ、ぼくはステッキ忘れた。きみは先へおりてください。」

(にじゅうめんそうのそういうこえがしたかとおもうと、いきなりてつのとびらが)

二十面相のそういう声がしたかと思うと、いきなり鉄のとびらが

(がらがらとしまって、えれべーたーはかこうしはじめました。)

ガラガラとしまって、エレベーターは下降しはじめました。

(「へんだな。」)

「へんだな。」

(あけちははやくもそれとさとりました。しかし、べつにあわてるようすも)

明智は早くもそれとさとりました。しかし、べつにあわてるようすも

(なく、じっとえれべーたーぼーいのてもとをみつめています。)

なく、じっとエレベーター・ボーイの手もとを見つめています。

(するとあんのじょう、えれべーたーがにかいといっかいとのちゅうかんの、しほうを)

すると案のじょう、エレベーターが二階と一階との中間の、四ほうを

(かべでとりかこまれたかしょまでくだると、とつぜんぱったりうんてんが)

壁でとりかこまれた箇所までくだると、とつぜんパッタリ運転が

(とまってしまいました。)

とまってしまいました。

(「どうしたんだ。」)

「どうしたんだ。」

(「すみません。きかいにこしょうができたようです。すこしおまちください。)

「すみません。機械に故障ができたようです。少しお待ちください。

(じきなおりましょうから。」)

じきなおりましょうから。」

(ぼーいは、もうしわけなさそうにいいながら、しきりに、うんてんきの)

ボーイは、申しわけなさそうにいいながら、しきりに、運転機の

(はんどるのへんをいじくりまわしています。)

ハンドルのへんをいじくりまわしています。

(「なにをしているんだ。のきたまえ。」)

「なにをしているんだ。のきたまえ。」

(あけちはするどくいうと、ぼーいのくびすじをつかんで、ぐーっと)

明智はするどくいうと、ボーイの首すじをつかんで、グーッと

(うしろにひきました。それがあまりひどいちからだったものですから、)

うしろに引きました。それがあまりひどい力だったものですから、

(ぼーいはおもわずえれべーたーのすみにしりもちをついてしまいました。)

ボーイは思わずエレベーターのすみにしりもちをついてしまいました。

(「ごまかしたってだめだよ。ぼくがえれべーたーのうんてんぐらいしらないと)

「ごまかしたってだめだよ。ぼくがエレベーターの運転ぐらい知らないと

(おもっているのか。」)

思っているのか。」

(しかりつけておいて、はんどるをかちっとまわしますと、なんという)

しかりつけておいて、ハンドルをカチッとまわしますと、なんという

(ことでしょう。えれべーたーはくもなくかこうをはじめたではありませんか。)

ことでしょう。エレベーターは苦もなく下降をはじめたではありませんか。

(かいかにつくと、あけちはやはりはんどるをにぎったまま、まだしりもちを)

階下につくと、明智はやはりハンドルをにぎったまま、まだしりもちを

(ついているぼーいのかおを、ぐっとするどくにらみつけました。)

ついているボーイの顔を、グッとするどくにらみつけました。

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