太宰治 「桜桃」 4

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プレイ回数635難易度(4.3) 1425打 長文
太宰治「桜桃」より引用
全三十問
「英数字」「アルファベット」無し。
セリフ文の「?」は省略するか「。」にします。

No,23 三点リーダー「…」は打つ必要ありません。
No,28 言葉制限の関係上、本文では「●ンコ」ですが、問題文では「●ンチ」に変更しています。

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問題文

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(しかし、これはがいけん。)

しかし、これは外見。

(ははがむねをあけると、なみだのたに、ちちのねあせも、いよいよひどく、)

母が胸をあけると、涙の谷、父の寝汗も、いよいよひどく、

(ふうふはたがいにあいてのくつうをしっているのだが、)

夫婦は互いに相手の苦痛を知っているのだが、

(それに、さわらないようにつとめて、)

それに、さわらないように努めて、

(ちちがじょうだんをいえば、ははもわらう。)

父が冗談を言えば、母も笑う。

(しかし、そのとき、なみだのたに、とははにいわれてちちはもくし、)

しかし、その時、涙の谷、と母に言われて父は黙し、

(なにかのじょうだんをいってきりかえそうとおもっても、とっさにうまいことばがうかばず、)

何かの冗談を言って切りかえそうと思っても、とっさにうまい言葉が浮かばず、

(もくしつづけると、いよいよきまずさがつもり、さすがの「つうじん」のちちも、)

黙しつづけると、いよいよ気まずさが積り、さすがの「通人」の父も、

(とうとう、まじめなかおになってしまって、)

とうとう、まじめな顔になってしまって、

(「だれか、ひとをやといなさい。どうしたって、そうしなければ、いけない」)

「誰か、人を雇いなさい。どうしたって、そうしなければ、いけない」

(と、ははのきげんをそんじないように、おっかなびっくり、ひとりごとのようにつぶやく。)

と、母の機嫌を損じないように、おっかなびっくり、ひとりごとのように呟く。

(こどもがさんにん。ちちはかじにはぜんぜん、むのうである。)

子供が三人。父は家事には全然、無能である。

(ふとんさえじぶんであげない。)

蒲団さえ自分で上げない。

(そうして、ただもうばかげたじょうだんばかりいっている。)

そうして、ただもう馬鹿げた冗談ばかり言っている。

(はいきゅうだの、とうろくだの、そんなことはなにもしらない。)

配給だの、登録だの、そんな事は何も知らない。

(ぜんぜん、やどやずまいをしているようなかたち。)

全然、宿屋住いをしているような形。

(らいきゃく。きょうおう。しごとべやにおべんとうをもってでかけて、)

来客。饗応。仕事部屋にお弁当を持って出かけて、

(それっきりいっしゅうかんもごきたくにならないこともある。)

それっきり一週間も御帰宅にならない事もある。

(しごと、しごと、といつもさわいでいるけれども、)

仕事、仕事、といつも騒いでいるけれども、

(いちにちにに、さんまいしかおできにならないようである。)

一日に二、三枚しかお出来にならないようである。

など

(あとは、さけ。のみすぎると、げっそりやせてしまってねこむ。)

あとは、酒。飲みすぎると、げっそり痩せてしまって寝込む。

(そのうえ、あちこちにわかいおんなのともだちなどもあるようすだ。)

そのうえ、あちこちに若い女の友達などもある様子だ。

(こども、ななさいのちょうじょも、ことしのはるにうまれたじじょも、)

子供、……七歳の長女も、ことしの春に生れた次女も、

(すこしかぜをひきやすいけれども、まあまあひとなみ。)

少し風邪をひき易いけれども、まあまあ人並。

(しかし、よんさいのちょうなんは、やせこけていて、まだたてない。)

しかし、四歳の長男は、痩せこけていて、まだ立てない。

(ことばは、ああだとかだあとかいうきりでひとこともはなせず、)

言葉は、アアだとかダアとか言うきりで一語も話せず、

(またひとのことばをききわけることもできない。)

また人の言葉を聞きわける事も出来ない。

(はってあるいていて、うんちもおしっこもおしえない。)

這って歩いていて、ウンチもオシッコも教えない。

(それでいて、ごはんはじつにたくさんたべる。)

それでいて、ごはんは実にたくさん食べる。

(けれども、いつもやせてちいさく、かみのけもうすく、すこしもせいちょうしない。)

けれども、いつも痩せて小さく、髪の毛も薄く、少しも成長しない。

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