歌えなかったラヴ・ソング/織田裕二

(さいしゅうびのぜみはながくおれたちはあせばみながら)

最終日のゼミは長く　俺たちは汗ばみながら

(むねのなかでそつぎょうまでのひびをかぞえてた)

胸の中で卒業までの日々を数えてた

(しゅうしょくのこねくしょんをひけらかすなかまのこえが)

就職のコネクションをひけらかす仲間の声が

(びるにうつるくもりぞらのように)

ビルに映る曇り空のように

(ふたりのこいをおしつぶした)

ふたりの恋を押しつぶした

(ないんてぃーんずのらヴそんぐをおくろう)

９０年代のラヴ・ソングを贈ろう

(きえちまったあのなみだに)

消えちまったあの涙に

(おれのなかでそっとそっと)

俺の中でそっとそっと

(うたえなかったらヴそんぐをうたおう)

歌えなかったラヴ・ソングを歌おう

(あのひのおれのばちがいなわかさのぼーだーをこえ)

あの日の俺の場違いな　若さの国境を越え

(わすれそうなほほえみがすれちがうつぎのよるも)

忘れそうな微笑みが　すれ違う次の夜も

(もっともっときっとあのせつなさにとどくまで)

もっともっときっとあの切なさに届くまで

(こくどうぞいのかぜはつよくひとごみにおれはながされ)

国道沿いの風は強く　人ごみに俺は流され

(もがきながらほこれるものをきょうもさがしてる)

もがきながら誇れるものを今日も探してる

(ゆきすぎるだれもかれもしゅうてんはおなじきがして)

行き過ぎるだれも彼も終点は同じ気がして

(なぜかきゅうにさけびたくなった)

なぜか急に叫びたくなった

(ためいきだけがあついまちで)

ため息だけが熱い街で

(ないんてぃーんずのらヴそんぐをおくろう)

９０年代のラヴ・ソングを贈ろう

(まぶしすぎたあのひとみに)

まぶしすぎたあの瞳に

(おれのなかでそっとそっと)

俺の中でそっとそっと

(うたえなかったらヴそんぐをうたおう)

歌えなかったラヴ・ソングを歌おう

(みえないゆめをだきしめたきのうのおれたちのため)

見えない夢を抱きしめた昨日の俺たちのため

(うたがったものすべてがゆるしあえるそのときまで)

疑ったものすべてが許しあえるその時まで

(もっともっときっときずつくたびにわかるから)

もっともっときっと傷つくたびに判るから

(ないんてぃーんずのらヴそんぐをおくろう)

９０年代のラヴ・ソングを贈ろう

(きえちまったあのなみだに)

消えちまったあの涙に

(おれのなかでそっとそっと)

俺の中でそっとそっと

(うたえなかったらヴそんぐをうたおう)

歌えなかったラヴ・ソングを歌おう

(あのひのおれのばちがいなわかさのぼーだーをこえ)

あの日の俺の場違いな　若さの国境を越え

(わすれそうなせつなさがすれちがうつぎのひにも)

忘れそうな切なさが　すれ違う次の日にも

(もっともっときっとあのほほえみにとどくまで)

もっともっときっとあの微笑に届くまで