未 本編 -44-
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| 順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | berry | 7883 | 神 | 7.9 | 98.9% | 60.0 | 478 | 5 | 9 | 2025/11/29 |
| 2 | Jyo | 5083 | B+ | 5.2 | 97.8% | 60.0 | 312 | 7 | 6 | 2025/11/29 |
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問題文
(ぼくのめのあいだにかおがあった。)
僕の目の間に顔があった。
(めはなもなにもないかおがわずかにじゅっせんちのきょりでぼくのかおをのぞきこんでいる。)
目鼻もなにもない顔がわずか二十センチの距離で僕の顔を覗き込んでいる。
(ぎゅっとしんぞうがちぢみあがる。)
ぎゅっと心臓が縮み上がる。
(「このちほうのふるいちしに、まつのきごうにあるおかみをまつるじんじゃのきじゅつがあった。)
「この地方の古い地誌に、松ノ木郷にあるオカミを祀る神社の記述があった。
(なまえはきへんにははとかく「とがのじんじゃ」。このちのおかみじんじゃのせいしきめいは)
名前は木編に母と書く「栂野神社」。この地のオカミ神社の正式名は
(とがのじんじゃというんだ。)
栂野神社というんだ。
(わかるか。とがのだ。このふごうはぐうぜんじゃない。このおんせんりょかん「とかの」を)
わかるか。トガノだ。この符号は偶然じゃない。この温泉旅館「とかの」を
(ひらいたとかのけは、よそものなんかじゃない。ゆいしょあるとがのじんじゃのぐうじいちぞくに)
開いた戸叶家は、よそ者なんかじゃない。由緒ある栂野神社の宮司一族に
(つながる、れっきとしたいえがらなんだ。)
つながる、れっきとした家柄なんだ。
(ただ、しんこうのわかみやじんじゃにうじこをうばわれたぐうじいちぞくはぼつらくしてしまった。)
ただ、新興の若宮神社に氏子を奪われた宮司一族は没落してしまった。
(やがてほかのちほうへとおちのびていった。)
やがて他の地方へと落ち延びていった。
(そしてどういうへんせんをへてか、なをかえ、おおさかでざいもくどんやをいとなむようになり)
そしてどういう変遷を経てか、名を変え、大阪で材木問屋を営むようになり
(ざいをなした。それがおかみのそふであるかめきちしのだいで、がいせんをはたしたんだ。)
財を成した。それが女将の祖父である亀吉氏の代で、凱旋を果たしたんだ。
(もちろんりょかんをひらくばしょにえらんだのはせんぞがんらいのとちであるこのやまのふもと。)
もちろん旅館を開く場所に選んだのは先祖元来の土地であるこの山の麓。
(かつてとがのじんじゃがあったやまだ。いまこのりょかんのちゅうしゃじょうには、このとちを)
かつて栂野神社があった山田。今この旅館の駐車場には、この土地を
(かいとりぞうせいこうじをしたときにばしょをうつされたほこらがある。)
買い取り増成工事をしたときに場所を移された祠がある。
(そのごしんたいであるいしには、きえかけたもじでこうかいてあった。)
その御神体である石には、消えかけた文字でこう書いてあった。
(とかののなにおいて、かみにかわり、このちをまもると。)
とかのの名において、神にかわり、この地を守ると。
(じんじゃがきえ、みやじいちぞくがさったあと、ずっとしゅじんのかえりをまっていたいしだ。)
神社が消え、宮司一族が去った後、ずっと主人の帰りを待っていた石だ。
(いまはやくわりをおえてねむっている。)
今は役割を終えて眠っている。
(そしてそのやくわりはあたらしい「とかのけ」にうけつがれた。)
そしてその役割は新しい「戸叶家」に受け継がれた。
(そふのかめきちしはそのけされたれきしをひそかにつたえきいていた。)
祖父の亀吉氏はその消された歴史を密かに伝え聞いていた。
(しかしつぎのだいにはひきつがなかった。)
しかし次の代には引き継がなかった。
(あるいはじぶんのむすこであるにだいめにはつたえたのかもしれない。)
あるいは自分の息子である二代目には伝えたのかも知れない。
(だがさんだいめであるちよこさんにはでんしょうされなかった。)
だが三代目である千代子さんには伝承されなかった。
(それはこのちであたらしいくらしをはじめたあたらしいせだいに、)
それはこの地で新しい暮らしを始めた新しい世代に、
(そのくびきをみせたくなかったのかもしれない。)
そのくびきを見せたくなかったのかも知れない。
(ときはめいじのじんじゃせいりをおえ、わかみやじんじゃはあんたいであり、)
時は明治の神社整理を終え、若宮神社は安泰であり、
(もはやとがのじんじゃのふっこうもかなわないというげんじつがそこにはあった。)
もはや栂野神社の復興も敵わないという現実がそこにはあった。
(ただそのやまのふもとでいきていくことが、せんぞのれいをなぐさめ、そしてまたせんぞのれいに)
ただその山の麓で生きていくことが、先祖の霊を慰め、そしてまた先祖の霊に
(まもられることになるのだと。それだけをおもったのかもしれない。)
守られることになるのだと。それだけを思ったのかも知れない。
(おかみ、あなたがこどものころ、おおあめのよるにみただいじゃは、へびじゃない。りゅうだ。)
女将、あなたが子どものころ、大雨の夜に見た大蛇は、蛇じゃない。龍だ。
(おかみじんじゃにはしゅごしゃたるりゅうをかたどったものがおかれることがおおい。)
オカミ神社には守護者たる龍を象ったものが置かれることが多い。
(かやでつくられたものなどだ。そしてとがのじんじゃにはきぼりのりゅうがあった。)
茅で作られたものなどだ。そして栂野神社には木彫りの龍があった。
(そしてみやじいちぞくがほうちくされ、こうはいしたじんじゃのいこうがいくどかのどしゃくずれでうまり、)
そして宮司一族が放逐され、荒廃した神社の遺構が幾度かの土砂崩れで埋まり、
(ごしんたいのりゅうがあのやまのどこかにねむっていた。それがあのよるのおおあめでついに)
御神体の龍があの山のどこかに眠っていた。それがあの夜の大雨でついに
(どしゃごとえだがわまでかつらくし、だくりゅうのなかをながされていったんだ。)
土砂ごと枝川まで滑落し、濁流の中を流されていったんだ。
(あなたがみたのは、てあしをどろみずのなかにひめたきょだいなりゅうのどうたいだった」)
あなたが見たのは、手足を泥水の中に秘めた巨大な龍の胴体だった」
(はぁっ。)
はぁっ。
(いのちがぬけるようなふかいいきがはきだされた。おかみだ。がんめんはそうはくになり、)
命が抜けるような深い息が吐き出された。女将だ。顔面は蒼白になり、
(りょうてはそのほおにふれるかふれないかというばしょでがたがたとふるえている。)
両手はその頬に触れるか触れないかという場所でガタガタと震えている。
(「ひょっとすると、あなたのそふはそのときとがのじんじゃのふっけんをあきらめ、)
「ひょっとすると、あなたの祖父はそのとき栂野神社の復権を諦め、
(あなたのだいではこのちにとけこんでこれからずっとくらしていけるよう、)
あなたの代ではこの地に溶け込んでこれからずっと暮らしていけるよう、
(しんじつをそのむねにしまうかくごをしたのかもしれない」)
真実をその胸に仕舞う覚悟をしたのかも知れない」
(ししょうのそのことばに、おかみはかおをおおっておえつをもらしはじめた。)
師匠のその言葉に、女将は顔を覆って嗚咽を漏らし始めた。
(どのようなかんじょうがそこにあるかはわからない。しかしみているだけのぼくにも、)
どのような感情がそこにあるかは分からない。しかし見ているだけの僕にも、
(むねをしめつけられるようなかんかくがあった。)
胸を締め付けられるような感覚があった。
(「そして、そのちにかえってきたしそんたちをまもりつづけてきたぐうじのそれいは、)
「そして、その地に帰ってきた子孫たちを守り続けてきた宮司の祖霊は、
(あしきもののしんにゅうにきづき、けいこくをはっする。それがはるさきからはじまるゆうれいじけんだ。)
悪きものの侵入に気付き、警告を発する。それが春先から始まる幽霊事件だ。
(おもいだしてほしい。わたしはこのばにいるぜんいんにそれぞれのゆうれいとの)
思い出して欲しい。わたしはこの場にいる全員にそれぞれの幽霊との
(そうぐうたんをきいた。そのなかでひとり、たったひとりだけ、ほかのひとと)
遭遇譚を訊いた。その中で一人、たった一人だけ、他の人と
(ことなるそうぐうのしかたをしていた。だれだかわかるか」)
異なる遭遇の仕方をしていた。誰だか分かるか」
(きがつくと、ざわざわとしたけはいがぼくのしゅういからははなれていた。)
気がつくと、ざわざわとした気配が僕の周囲からは離れていた。
(そのかんぬしのれいたちはあるいっかしょにあつまりはじめている。)
その神主の霊たちはある一箇所に集まり始めている。
(「おそわれているんだ。そのじんぶつだけが」)
「襲われているんだ。その人物だけが」
(はっとした。)
ハッとした。
(ぼく・・・・・?なんだかわからないが、めのまえがまっくらになりそうだった。)
僕・・・・・?なんだか分からないが、目の前が真っ暗になりそうだった。
(ししょうがぼくのひょうじょうにきづいたかのようにくしょうする。)
師匠が僕の表情に気づいたかのように苦笑する。