巨人の研究 -15-

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師匠シリーズ
以前cicciさんが更新してくださっていましたが、更新が止まってしまってしまったので、続きを代わりにアップさせていただきます。
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順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 HAKU 8221 8.4 97.9% 361.6 3038 65 56 2026/01/05
2 berry 8067 8.1 98.7% 363.3 2968 37 56 2026/01/03
3 Jyo 5671 A 5.9 95.9% 502.2 2974 126 56 2026/01/03

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問題文

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(「すこしまえにあるうわさをみみにしたんだ」)

「少し前にある噂を耳にしたんだ」

(かがんでとりだしぐちにてをいれる。)

屈んで取り出し口に手を入れる。

(「さいきん、だいがくびょういんのせいしんがいらいに、きみょうなしょうじょうをうったえるひとが)

「最近、大学病院の精神外来に、奇妙な症状を訴える人が

(ふえたらしいんだ。せいしんびょうのしょうじょうはせんさばんべつでいろんなあらわれかたをするんだけど、)

増えたらしいんだ。精神病の症状は千差万別で色んな現れ方をするんだけど、

(それはぶんれつびょうやてんかん、あるいはのうこうそくなどのきしつによるものや、)

それは分裂病やてんかん、あるいは脳梗塞などの器質によるものや、

(ちゅうどくによるもの、みたいなよういんべつであるていどしょうじょうのぱたーんがわかれる。)

中毒によるもの、みたいな要因別である程度症状のパターンが分かれる。

(ぎゃくにいうと、しょうじょうからどのよういんによるものかすいそくできるわけだ。)

逆に言うと、症状からどの要因によるものか推測出来るわけだ。

(せいしんかいのめいよのためにいいかえると、すいそくではなくしんだんだな。)

精神科医の名誉のために言い換えると、推測ではなく診断だな。

(ところが、こんかいのしょうじょうのうったえからみちびきだされたのは、あるとくていのよういんではなく、)

ところが、今回の症状の訴えから導き出されたのは、ある特定の要因ではなく、

(あるちいきにげんていしてはっせいしているというじじつだった」)

ある地域に限定して発生しているという事実だった」

(ししょうはてにしたかんじゅーすをほおにくっつける。つめたくてきもちがよさそうだ。)

師匠は手にした缶ジュースを頬にくっつける。冷たくて気持ちが良さそうだ。

(「それがこびとをみるひとってことですか」)

「それが小人を見る人ってことですか」

(「いや、ちがうな。ふつうにかんがえてこびとをみたというだけで、)

「いや、違うな。普通に考えて小人を見たというだけで、

(せいしんかにかかろうとするかな」)

精神科にかかろうとするかな」

(「でも、さっきのあんけーとでさいしょにこびとをみたっていっていた)

「でも、さっきのアンケートで最初に小人を見たって言っていた

(おんなのひとみたいにおびえてたらわかりませんよ」)

女の人みたいに怯えてたら分かりませんよ」

(「かのじょはおびえていても、げんじつにはなにもたいしょしていなかった」)

「彼女は怯えていても、現実にはなにも対処していなかった」

(「あのひとはそうでも、もっとおびえるひとだって・・・・・・」)

「あの人はそうでも、もっと怯える人だって……」

(「まあきけ。もんだいなのは、へんなものをいちどみた、)

「まあ聞け。問題なのは、変なものを一度見た、

(というじじつだけをもってせいしんかにかかろうとするかどうかということだ」)

という事実だけをもって精神科にかかろうとするかどうかということだ」

など

(「いちどみただけ?」)

「一度見ただけ?」

(「そうだ。わたしがしゅうしゅうしたこびともくげきだんには、おなじひとがにどいじょうみたというしょうげんが)

「そうだ。私が蒐集した小人目撃談には、同じ人が二度以上見たという証言が

(ひとつもなかった」)

一つもなかった」

(それをきいたしゅんかん、はっとした。)

それを聞いた瞬間、ハッとした。

(そうだ。そのあともつづけてみたというけーすはなかった。)

そうだ。その後も続けて見たというケースはなかった。

(「こじんにつくたいけんではなく、ばしょにつくげんしょうなんだよ。ほとんどが。)

「個人につく体験ではなく、場所につく現象なんだよ。ほとんどが。

(わたしがこびとについて、ようかいてきといったのにはそういういみもあった。)

私が小人について、妖怪的と言ったのにはそういう意味もあった。

(たったいちどふしぎなものをみただけでせいしんかへいかないといけないなら、)

たった一度不思議なものをみただけで精神科へ行かないといけないなら、

(このまちのじゅうみんのなんわりかはつういんれきがあるってことになるな」)

この街の住民の何割かは通院歴があるってことになるな」

(なるほど、そういうことか。たしかにいちどみただけで、そこまですることは)

なるほど、そういうことか。確かに一度見ただけで、そこまですることは

(まずないだろう。)

まずないだろう。

(せいしんしょうがいとはそうしたできごとのつみかさねなのだろうから。)

精神障害とはそうした出来事の積み重ねなのだろうから。

(「それに、こびとをみたというひとには、あるていどのちいきせいはあるものの、)

「それに、小人を見たという人には、ある程度の地域性はあるものの、

(このしないでもきたのはずれやにしのはし、なかにはとなりまちにすんでいるというひともいた」)

この市内でも北の外れや西の端、中には隣町に住んでいるという人もいた」

(「それがちいきせいじゃないんですか。じゅうぶんせまいはんいだとおもいますけど。)

「それが地域性じゃないんですか。十分狭い範囲だと思いますけど。

(かんとうとか、ほかのちほうではみられないげんしょうなんでしょう」)

関東とか、他の地方では見られない現象なんでしょう」

(ししょうはめをとじてくびをふる。)

師匠は目を閉じて首を振る。

(「もっとげんみつなちいきせいがあるんだ。せいしんがいらいでにたようなしょうじょうを)

「もっと厳密な地域性があるんだ。精神外来で似たような症状を

(うったえたひとたちは、しないのあるちいきにいじゅうしているひとばかりだ。)

訴えた人たちは、市内のある地域に移住している人ばかりだ。

(こびともくげきだんとかんれんがあるのなら、むしろこちらがげんいんなんだ。)

小人目撃団と関連があるのなら、むしろこちらが原因なんだ。

(あるとくていのちいきにおこるげんしょうだからこそ、そこにすむじゅうみんか、)

ある特定の地域に起こる現象だからこそ、そこに住む住民か、

(もしくはそのしゅうへんのじゅうみんがそこをおとずれたときにのみもくげきされるんだよ」)

もしくはその周辺の住民がそこを訪れた時にのみ目撃されるんだよ」

(だからしょうにんをみたというひとのすんでいるちいきにはたしょうのぶれがあるんだ、)

だから小人を見たという人の住んでいる地域には多少のブレがあるんだ、

(とししょうはかくにんするようにいった。)

と師匠は確認するように言った。

(むねのあたりがふあんていにざわめく。)

胸のあたりが不安定にざわめく。

(ただこびとをみた、というはなしをししょうはべつのしてんでみている。)

ただ小人を見た、という話を師匠は別の視点で見ている。

(それがなんなのかかんがえようとするが、ぼくのしこうはそこでとまる。)

それがなんなのか考えようとするが、僕の思考はそこで止まる。

(なにかおそろしいものがそのおくにひそんでいるきがして。)

なにか恐ろしいものがその奥に潜んでいる気がして。

(「いったい、どんなしょうじょうなんです。そのせいしんがいらいでふえたというのは」)

「いったい、どんな症状なんです。その精神外来で増えたというのは」

(われしらず、こえがかすれた。)

我知らず、声がかすれた。

(あきらかにこびともくげきだんとかんれんがある。なのに、こびとをみる、というしょうじょうではない。)

明らかに小人目撃談と関連がある。なのに、小人を見る、という症状ではない。

(ししょうはもったいぶったひょうじょうで「すぐにわかる」とだけいうと、)

師匠はもったいぶった表情で「すぐに分かる」とだけ言うと、

(かんじゅーすをもったままじてんしゃをとめてあるほうへあるきだした。)

缶ジュースを持ったまま自転車を止めてある方へ歩き出した。

(「つぎはだいがくびょういんだ」)

「次は大学病院だ」

(そんなきはしていたが、ほんとうにいくつもりなのか。)

そんな気はしていたが、本当に行くつもりなのか。

(そんなでりけーとなかんじゃにあうなんてことができるのだろうか。)

そんなデリケートな患者に会うなんてことが出来るのだろうか。

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