老ハイデルベルビ 4

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プレイ回数5難易度(4.5) 60秒 長文

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(なんだってあんなうそのじまんをしたのでしょう。みしまには、ゆうめいなみしまたいしゃが) 何だってあんな嘘の自慢をしたのでしょう。三島には、有名な三島大社が (あります。ねんにいちどのおまつりは、しだいにちかづいてまいりました。さきちさんの) あります。年に一度のお祭は、次第に近づいて参りました。佐吉さんの (みせさきにつどってくるわかものたちも、それぞれおまつりのやくいんであって、さまざまのけいかくを、) 店先に集って来る若者達も、それぞれお祭の役員であって、様々の計画を、 (はしゃいでそうだんしあっていました。おどりやたい、てこまい、だし、はなび、) はしゃいで相談し合って居ました。踊り屋台、手古舞、山車、花火、 (みしまのはなびはむかしからでんとうのあるものらしく、みずはなびというものもあって、) 三島の花火は昔から伝統のあるものらしく、水花火というものもあって、 (それはたいしゃのいけのまんなかでしかけはなびをおこない、そのはなびがいけめんにうつり、はなびが) それは大社の池の真中で仕掛花火を行い、その花火が池面に映り、花火が (もくもくいけのそこからわいてでるようにみえるしゅこうになっているのだそうで) もくもく池の底から涌いて出るように見える趣向になって居るのだそうで (あります。およそひゃくしゅくらいのしかけはなびのめいしょうがじゅんじょをおうてしるされてある) あります。凡そ百種くらいの仕掛花火の名称が順序を追うて記されてある (おおきいばんふが、かくいえごとにはいふされて、ひいちにちとおまつりきぶんが、さびれたまちの) 大きい番附が、各家毎に配布されて、日一日とお祭気分が、寂れた町の (すみずみまで、へんにかなしくときめきうきたたせていました。おまつりのとうじつは) 隅々まで、へんに悲しくときめき浮き立たせて居ました。お祭の当日は
(あさからよくはれていてわたしがかおをあらいにいどばたへでたら、さきちさんのいもうとさんは) 朝からよく晴れていて私が顔を洗いに井戸端へ出たら、佐吉さんの妹さんは (あたまのてぬぐいをとって、おめでとうございます、とわたしにあいさついたしました。) 頭の手拭いを取って、おめでとうございます、と私に挨拶いたしました。 (ああ、おめでとう、とわたしもふしぜんでなくおいわいのことばをかえすことができました。) ああ、おめでとう、と私も不自然でなくお祝いの言葉を返す事が出来ました。 (さきちさんは、ちょうぜんとして、べつにおまつりのはれぎをきるわけでなし、ふだんぎの) 佐吉さんは、超然として、べつにお祭の晴着を着るわけでなし、普段着の (ままで、みせのようじをしていましたが、やがて、くるわかもの、くるわかもの、すべて) ままで、店の用事をして居ましたが、やがて、来る若者、来る若者、すべて (はでなおおなみもようのおそろいのゆかたをきて、こしにうちわをさし、やはりおそろいの) 派手な大浪模様のお揃いの浴衣を着て、腰に団扇を差し、やはりお揃いの (てぬぐいをくびにまきつけ、やあ、おめでとうございます、やあ、こんにちは) 手拭いを首に巻きつけ、やあ、おめでとうございます、やあ、こんにちは (おめでとうございますと、はればれしたえがおで、わたしとさきちさんとにあいさつ) おめでとうございますと、晴々した笑顔で、私と佐吉さんとに挨拶 (しました。そのひはわたしも、あさからなんとなくおちつかず、さればといって、) しました。其の日は私も、朝から何となく落ちつかず、さればといって、 (あのわかものたちといっしょにだしをひっぱりまわしてあそぶこともできず、しごとをちょっと) あの若者達と一緒に山車を引張り廻して遊ぶことも出来ず、仕事をちょっと
など
(しかけては、またたちあがり、にかいのへやをただうろうろあるきまわっていました。) 仕掛けては、また立ち上り、二階の部屋をただうろうろ歩き廻って居ました。 (まどによりかかり、にわをみくだせば、いちじくのじゅいんで、なにごともなさそうに) 窓に倚りかかり、庭を見下せば、無花果の樹陰で、何事も無さそうに (いもうとさんがさきちさんのずぼんやら、わたしのしゃつやらをせんたくしていました。) 妹さんが佐吉さんのズボンやら、私のシャツやらを洗濯して居ました。 (「さいちゃん、おまつりをみにいったらいい。」) 「さいちゃん、お祭を見に行ったらいい。」 (とわたしがおおごえではなしかけると、さいちゃんはふりむいてわらい、) と私が大声で話しかけると、さいちゃんは振り向いて笑い、 (「わたしはおとこがきらいじゃ。」とやはりおおごえでこたえて、それから、また) 「私は男がきらいじゃ。」とやはり大声で答えて、それから、また (じゃぶじゃぶせんたくをつづけ、「さけずきのひとは、さかやのまえをとおると、ぞっと) じゃぶじゃぶ洗濯をつづけ、「酒好きの人は、酒屋の前を通ると、ぞっと (するほど、いやなきがするもんでしょう?あれとおなじじゃ。」) するほど、いやな気がするもんでしょう?あれと同じじゃ。」 (とふつうのこえでいって、わらっているらしく、すこしいかっているかたがひくひく) と普通の声で言って、笑って居るらしく、少しいかっている肩がひくひく (うごいていました。いもうとさんは、たったにじゅっさいでも、にじゅうにさいのさきちさんより、) 動いて居ました。妹さんは、たった二十歳でも、二十二歳の佐吉さんより、 (またにじゅうよんさいのわたしよりもおとなびて、いつも、たいどがせいけつにはきはきして、) また二十四歳の私よりも大人びて、いつも、態度が清潔にはきはきして、 (まるでわたしたちのかんとくしゃのようでありました。さきちさんもまた、そのひは) まるで私達の監督者のようでありました。佐吉さんも亦、其の日は (いらいらしているようすで、まちのわかものたちとともにあそびたくても、はでなおおなみの) イライラして居る様子で、町の若者達と共に遊びたくても、派手な大浪の (ゆかたなどをきるのは、だんぜんじそんしんがゆるさず、ぎゃくに、ことさらにおまつりにはんぱつ) 浴衣などを着るのは、断然自尊心が許さず、逆に、ことさらにお祭に反撥 (して、ああ、つまらぬ。きょうはおみせはおやすみだ、もうだれにもさけはうって) して、ああ、つまらぬ。今日はお店はお休みだ、もう誰にも酒は売って (やらない、とひとりでひがんで、じてんしゃにのり、どこかへいってしまいました。) やらない、とひとりで僻んで、自転車に乗り、何処かへ行ってしまいました。 (やがてさきちさんからわたしにでんわがかかってきて、れいのところへこいということ) やがて佐吉さんから私に電話がかかって来て、れいの所へ来いということ (だったので、わたしはほっとすくわれたきもちであたらしいゆかたにきがえ、いえをとんで) だったので、私はほっと救われた気持で新しい浴衣に着更え、家を飛んで (でました。れいのところとは、おさけのおかんをごじゅうねんかんやっているのがごじまんの) 出ました。れいの所とは、お酒のお燗を五十年間やって居るのが御自慢の (ろうやののみやでありました。そこへいったらさきちさんと、もうひとりえじま) 老爺の飲み屋でありました。そこへ行ったら佐吉さんと、もう一人江島 (というせいねんが、にこりともせずだいふきげんでさけをのんでいました。えじまさん) という青年が、にこりともせず大不機嫌で酒を飲んで居ました。江島さん (とはそのまえにもにさんどあそんだことがありましたが、さきちさんとおなじで、) とはその前にも二三度遊んだことがありましたが、佐吉さんと同じで、 (おかねもちのいえにそだち、それがふへいで、なにもせずに、ただよをいかってばかりいる) お金持の家に育ち、それが不平で、何もせずに、ただ世を怒ってばかりいる (せいねんでありました。さきちさんにまけないくらい、うつくしいかおをしていました。) 青年でありました。佐吉さんに負けない位、美しい顔をして居ました。 (やはりきょうのおまつりさわぎ、ひとりでねたんではんこうし、わざときたないふだんぎのままで、) やはり今日のお祭騒ぎ、一人で僻んで反抗し、わざと汚いふだん着のままで、 (そのうすぐらいのみやで、さけをまずそうにのんでいるのでありました。) その薄暗い飲み屋で、酒をまずそうに飲んで居るのでありました。 (それにわたしもくわわり、しばらく、だまってさけをのんでいると、おもてはぞろぞろひとの) それに私も加わり、暫く、黙って酒を飲んで居ると、表はぞろぞろ人の (ぎょうれつのあしおと、はなびがあがり、ものうりのこえ、たまりかねたかえじまさんは) 行列の足音、花火が上り、物売りの声、たまりかねたか江島さんは (たちあがり、いこう、かのがわへいこうよ、といいだし、わたしたちのへんじもまたず) 立ち上り、行こう、狩野川へ行こうよ、と言い出し、私達の返事も待たず (にみせからでてしまいました。さんにんが、まちのうらどおりばかりをわざとえらんで) に店から出てしまいました。三人が、町の裏通りばかりをわざと選んで
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