愛するということ
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問題文
(あいというものはかんたんにひたれるようなかんじょうではない。)
愛というものは簡単に浸れるような感情ではない。
(しんのいみでひとをあいするには)
真の意味で人を愛するには
(じぶんのじんかくをはったつさせ、それがせいさんてきなほうこうにむくよう)
自分の人格を発達させ、それが生産的な方向に向くよう
(ぜんりょくでどりょくしなければならない。)
全力で努力しなければならない。
(われわれがいきているこのしゃかいでは、)
われわれが生きているこの社会では、
(あいするのうりょくをみにつけることはよういではない。)
愛する能力を身につけることは容易ではない。
(じっさい、しんにひとをあいすることのできるひとはおどろくほどにすくない。)
実際、真に人を愛することのできる人は驚くほどに少ない。
(しかしあいするのうりょくをみにつけるためのしごとがこんなんだからといって、)
しかし愛する能力を身につけるための仕事が困難だからといって、
(どりょくをほうきしてはならない。)
努力を放棄してはならない。
(ひとびとがあいをかるくみているわけではない。)
人びとが愛を軽く見ているわけではない。
(それどころかだれもがあいにうえている。)
それどころか誰もが愛に飢えている。
(ところが、あいについてまなばなければならないことがあるのだとかんがえているひとは)
ところが、愛について学ばなければならないことがあるのだと考えている人は
(ほとんどいない。 それはなぜだろう。)
ほとんどいない。 それはなぜだろう。
(あいについてまなぶことはないとかんがえるだいいちのりゆうは、)
愛について学ぶことはないと考える第一の理由は、
(たいていのひとはあいのもんだいを、「あいするのうりょく」のもんだいではなく、)
たいていの人は愛の問題を、「愛する能力」の問題ではなく、
(「あいされる」というもんだいとしてとらえているからだ。)
「愛される」という問題として捉えているからだ。
(つまりひとびとにとってじゅうようなのは、どうすればあいされるか、)
つまり人びとにとって重要なのは、どうすれば愛されるか、
(どうすればあいされるにんげんになれるかということなのだ。)
どうすれば愛される人間になれるかということなのだ。
(あいについてまなぶことはないとかんがえるだいにのりゆうは、)
愛について学ぶことはないと考える第二の理由は、
(あいのもんだいは「たいしょう」のもんだいであって、「のうりょく」のもんだいではない、)
愛の問題は「対象」の問題であって、「能力」の問題ではない、
(というおもいこみである。)
という思い込みである。
(あいすることはかんたんだが、ふさわしいあいてをみつけることはむずかしい、)
愛することは簡単だが、ふさわしい相手をみつけることはむずかしい、
(ひとびとはそんなふうにかんがえている。)
人びとはそんなふうに考えている。