幻

(まよなかにめざめちゃった)

真夜中に目覚めちゃった

(なぜかないてしまった)

なぜか泣いてしまった

(やさしいゆめをみた)

優しい夢を見た

(こころまでとけていくの)

心まで溶けていくの

(そのねつがのこるような)

その熱が残るような

(あなたのゆめだった)

あなたの夢だった

(ねえおこってよ)

ねえ怒ってよ

(ねえふりむいてよ)

ねえ振り向いてよ

(ねえうそをつかないで)

ねえ嘘をつかないで

(きずつけてよ)

傷つけてよ

(ここにならんでねむってた)

ここに並んで眠ってた

(あれもこれもそのどれもが)

あれもこれもそのどれもが

(まぼろしみたいになってくんだね)

幻みたいになってくんだね

(おそろしいくらいにさめていたね)

恐ろしいくらいに冷めていたね

(ねえ)

ねえ

(もしもあのときないてたら)

もしもあの時泣いてたら

(どうしてた？)

どうしてた？

(そういえば)

そういえば

(もうあさだ)

もう朝だ

(かがみのまえでぼーっとしていて)

鏡の前でぼーっとしていて

(きのうみたゆめのこと)

昨日見た夢のこと

(ずっとおもいだしてる)

ずっと思い出してる

(あのひみたいにわらってた)

あの日みたいに笑ってた

(あのときみたいにはなしてた)

あの時みたいに話してた

(でもさいごにはとりみだしてしまった)

でも最後には取り乱してしまった

(じゃあどうしたらよかったの？って)

じゃあどうしたらよかったの？って

(なんでなにもいわないの？って)

なんで何も言わないの？って

(わかってあげれなくてごめんね)

分かってあげれなくてごめんね

(でもさいごくらい)

でも最後くらい

(ちゃんとしたかったよ)

ちゃんとしたかったよ

(ひとりでねむってる)

一人で眠ってる

(ふたりのあとがのこってる)

二人のあとが残ってる

(かなしみやうとましささえ)

悲しみや疎ましささえ

(うつくしくばけてしまったね)

美しく化けてしまったね

(でももしもあのひにもどれたら)

でも　もしもあの日に戻れたら

(ちゃんとわかってあげるから)

ちゃんと分かってあげるから

(ねえべらんだでゆれてた)

ねえベランダで揺れてた

(しろいはなかれてた)

白い花枯れてた

(あのひのまま)

あの日のまま

(はられたかれんだー)

貼られたカレンダー

(めくれないでいた)

めくれないでいた

(ゆびわにきづいてくれなかったね)

指輪に気づいてくれなかったね

(そしてめをつむるだけ)

そして目をつむるだけ

(まぼろしみたいになってたのに)

幻みたいになってたのに

(なぜかまえよりやさしいから)

なぜか前より優しいから

(ねえもしもあのときないてたら)

ねえ　もしもあの時泣いてたら

(そんなこといえなくて)

そんなこと言えなくて

(こうしてふたりでいるとさ)

こうして二人でいるとさ

(じかんがもどってくみたいだね)

時間が戻ってくみたいだね

(ねえ)

ねえ

(もしもあなたがいやじゃなきゃ)

もしもあなたが嫌じゃなきゃ

(もういちど)

もう一度

(そういうと)

そう言うと

(わらってた)

笑ってた

(ねえまさか)

ねえ　まさか

(またゆめだ)

また夢だ