蜘蛛の糸 2/3

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投稿者投稿者邪王真眼いいね2お気に入り登録
プレイ回数2273難易度(4.2) 1997打 長文 かな
芥川龍之介の蜘蛛の糸です
難しい漢字にふりがなを振ってあります。
是非やってみてください。

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問題文

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(こちらはじごくのそこのちのいけで、ほかのざいにんといっしょに、)

こちらは地獄の底の血の池で、ほかの罪人と一緒に、

(ういたりしずんだりしていたかんだたでございます。)

浮いたり沈んだりしていたカンダタでございます。

(なにしろどちらをみても、まっくらで、たまにそのくらやみから)

何しろどちらを見ても、まっ暗で、たまにそのくら暗から

(ぼんやりうきあがっているものがあるとおもいますと、)

ぼんやり浮き上っているものがあると思いますと、

(それはおそろしいはりのやまのはりがひかるのでございますから、)

それは恐しい針の山の針が光るのでございますから、

(そのこころぼそさといったらございません。そのうえあたりは)

その心細さと云ったらございません。その上あたりは

(はかのなかのようにしんとしずまりかえって、たまにきこえるものと)

墓の中のようにしんと静まり返って、たまに聞えるものと

(いっては、ただざいにんがつくかすかなたんそくばかりでございます。)

云っては、ただ罪人がつく微(かすか)な嘆息ばかりでございます。

(これはここへおちてくるほどのにんげんは、もうさまざまな)

これはここへ落ちて来るほどの人間は、もうさまざまな

(じごくのせめくにつかれはてて、なきごえをだすちからさえなくなって)

地獄の責苦に疲れはてて、泣声を出す力さえなくなって

(いるのでございましょう。ですからさすがおおどろぼうのかんだたも、)

いるのでございましょう。ですからさすが大泥坊のカンダタも、

(やはりちのいけのちにむせびながら、まるでしにかかった)

やはり血の池の血に咽びながら、まるで死にかかった

(かえるのように、ただもがいてばかりおりました。)

蛙のように、ただもがいてばかり居りました。

(ところがあるときのことでございます。なにげなくかんだたが)

ところがある時の事でございます。何気なくカンダタが

(あたまをあげて、ちのいけのそらをながめますと、そのひっそりとした)

頭を挙げて、血の池の空を眺めますと、そのひっそりとした

(やみのなかを、とおいとおいてんじょうから、ぎんいろのくものいとが、まるで)

暗の中を、遠い遠い天上から、銀色の蜘蛛の糸が、まるで

(ひとめにかかるのをおそれるように、ひとすじほそくひかりながら、)

人目にかかるのを恐れるように、一すじ細く光りながら、

(するするとじぶんのうえへたれてまいるのではございませんか。)

するすると自分の上へ垂れて参るのではございませんか。

(かんだたはこれをみると、おもわずてをうってよろこびました。)

カンダタはこれを見ると、思わず手を拍(う)って喜びました。

(このいとにすがりついて、どこまでものぼっていけば、きっと)

この糸に縋りついて、どこまでものぼって行けば、きっと

など

(じごくからぬけだせるのにそういございません。いや、うまく)

地獄からぬけ出せるのに相違ございません。いや、うまく

(いくと、ごくらくへはいることさえもできましょう。そうすれば、)

行くと、極楽へはいる事さえも出来ましょう。そうすれば、

(もうはりのやまへおいあげられることもなくなれば、ちのいけに)

もう針の山へ追い上げられる事もなくなれば、血の池に

(しずめられることもあるはずはございません。こうおもいましたから)

沈められる事もある筈はございません。こう思いましたから

(かんだたは、さっそくそのくものいとをりょうてでしっかりと)

カンダタは、早速その蜘蛛の糸を両手でしっかりと

(つかみながら、いっしょうけんめいにうえへうえへとたぐりのぼりはじめました。)

つかみながら、一生懸命に上へ上へとたぐりのぼり始めました。

(もとよりおおどろぼうのことでございますから、こういうことにはむかしから、)

元より大泥坊の事でございますから、こう云う事には昔から、

(なれきっているのでございます。しかしじごくとごくらくとのあいだは、)

慣れ切っているのでございます。しかし地獄と極楽との間は、

(なんまんりとなくございますから、いくらあせってみたところで、)

何万里となくございますから、いくら焦って見た所で、

(よういにうえへはでられません。ややしばらくのぼるうちに、)

容易に上へは出られません。ややしばらくのぼる中に、

(とうとうかんだたもくたびれて、もうひとたぐりもうえのほうへは)

とうとうカンダタもくたびれて、もう一たぐりも上の方へは

(のぼれなくなってしまいました。そこでしかたがございませんから、)

のぼれなくなってしまいました。そこで仕方がございませんから、

(まずひとやすみやすむつもりで、いとのちゅうとにぶらさがりながら、はるかに)

まず一休み休むつもりで、糸の中途にぶら下りながら、遥かに

(めのしたをみおろしました。すると、いっしょうけんめいにのぼったかいが)

目の下を見下しました。すると、一生懸命にのぼった甲斐が

(あって、さっきまでじぶんがいたちのいけは、いまではもうやみのそこに)

あって、さっきまで自分がいた血の池は、今ではもう暗の底に

(いつのまにかかくれております。それからあのぼんやり)

いつの間にかかくれて居ります。それからあのぼんやり

(ひかっているおそろしいはりのやまも、あしのしたになってしまいました。)

光っている恐しい針の山も、足の下になってしまいました。

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