O・ヘンリー「賢者の贈り物」2/5
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問題文
(そのへやのまどとまどのあいだにはすがたみのかがみがかけられていました。たぶんあなたも)
その部屋の窓と窓の間には姿見の鏡が掛けられていました。たぶんあなたも
(8どるのやすあぱーとでみたことのあるようなすがたみでした。たいそうほそみできびんな)
8ドルの安アパートで見たことのあるような姿見でした。たいそう細身で機敏な
(ひとだけが、たてにほそながいれつにうつるじぶんをすばやくみてとって、ぜんしんぞうをひじょうに)
人だけが、縦に細長い列に映る自分をすばやく見てとって、全身像を非常に
(せいかくにはあくすることができるのでしょう。でらはすらっとしていたので)
正確に把握することができるのでしょう。デラはすらっとしていたので
(そのぎじゅつをえとくしておりました。きゅうにでらはまどからくるりとみをひるがえし、)
その技術を会得しておりました。急にデラは窓からくるりと身をひるがえし、
(そのかがみのまえにたちました。でらのめはきらきらとかがやいていましたが、かおは)
その鏡の前に立ちました。デラの目はきらきらと輝いていましたが、顔は
(20びょうのあいだ、いろをうしなっていたのでした。でらはてばやくかみをおろし、そのながさ)
20秒の間、色を失っていたのでした。デラは手早く髪を下ろし、その長さ
(いっぱいまでたらしました。さて、じぇーむずでぃりんがむやんぐけには、)
いっぱいまで垂らしました。さて、ジェームズ・ディリンガム・ヤング家には、
(ほこるべきふたつのものがありました。ひとつはじむのきんどけいです。かつてはじむの)
誇るべき二つのものがありました。一つはジムの金時計です。かつてはジムの
(ちち、そしてそのまえにはじむのそふがもっていたというきんどけい。もうひとつはでらの)
父、そしてその前にはジムの祖父が持っていたという金時計。もう一つはデラの
(かみでした。しばのじょおうがつうふうたてあなのむこうがわのあぱーとにすんでいたと)
髪でした。シバの女王が通風縦孔の向こう側のアパートに住んでいたと
(しましょう。あるひ、でらがまどのそとにぬれたかみをたらしてかわかそうとしたら、)
しましょう。ある日、デラが窓の外にぬれた髪を垂らして乾かそうとしたら、
(それだけで、じょおうさまのほうせきやたからものはいろあせてしまったことでしょう。また、)
それだけで、女王様の宝石や宝物は色あせてしまったことでしょう。また、
(そろもんおうがびるのかんりにんをやっていて、たからものはちかしつにやまづみしていたと)
ソロモン王がビルの管理人をやっていて、宝物は地下室に山積みしていたと
(しましょう。じむがとおりがかりにとけいをだすたび、おうさまはうらやましさのあまり)
しましょう。ジムが通りがかりに時計を出すたび、王様はうらやましさのあまり
(ひげをかきむしったことでしょう。さて、そのでらのうつくしいかみはかっしょくのちいさな)
ひげをかきむしったことでしょう。さて、そのデラの美しい髪は褐色の小さな
(たきのようにさざなみをうち、かがやきながらかのじょのまわりをながれおちていきました。)
滝のようにさざなみをうち、輝きながら彼女のまわりを流れ落ちていきました。
(かみはでらのひざのあたりまでとどき、まるでながいころものようでした。やがてでらは)
髪はデラの膝のあたりまで届き、まるで長い衣のようでした。やがてデラは
(しんけいしつそうにまたてばやくかみをまとめあげました。ためらいながら1ぷんかんじっと)
神経質そうにまた手早く髪をまとめあげました。ためらいながら1分間じっと
(たっていました。が、そのうちになみだがひとつぶ、ふたつぶ、すりきれたあかいかーぺっとに)
立っていました。が、そのうちに涙が一粒、二粒、すりきれた赤いカーペットに
(おちました。でらはかっしょくのふるいじゃけっとをはおり、かっしょくのふるいぼうしを)
落ちました。デラは褐色の古いジャケットを羽織り、褐色の古い帽子を
(かぶりました。すかーとをはためかせ、めにはまだなみだをひからせて、どあのそとに)
かぶりました。スカートをはためかせ、目にはまだ涙を光らせて、ドアの外に
(でると、おもてどおりへつづくかいだんをおりていきました。でらがたちどまったところの)
出ると、表通りへ続く階段を降りていきました。デラが立ち止まったところの
(かんばんには「まだむそふろにー。へあようひんならなんでも。」とかいてありました。)
看板には「マダム・ソフロニー。ヘア用品なら何でも。」と書いてありました。
(でらはかいだんをひとつかけのぼり、むねをどきどきさせながらもきもちをおちつけ)
デラは階段を一つかけのぼり、胸をどきどきさせながらも気持ちを落ち着け
(ました。おんなしゅじんはおおがらで、いろはしろすぎ、ひややかで、とうてい「そふろにー」)
ました。女主人は大柄で、色は白すぎ、冷ややかで、とうてい「ソフロニー」
(というなまえのようにはみえませんでした。「かみをかってくださいますか」と)
という名前のようには見えませんでした。「髪を買ってくださいますか」と
(でらはたずねました。「かうさ」とおんなしゅじんはいいました。「ぼうしをとって)
デラは尋ねました。「買うさ」と女主人は言いました。 「帽子を取って
(みせなさいよ」かっしょくのたきがさざなみのようにこぼれおちました。)
見せなさいよ」褐色の滝がさざなみのようにこぼれ落ちました。
(「20どる」てなれたてつきでかみをもちあげておんなしゅじんはいいました。)
「20ドル」手馴れた手つきで髪を持ち上げて女主人は言いました。
(「すぐにください」とでらはいいました。)
「すぐにください」とデラは言いました。