楠山正雄「ジャックと豆の木」3/8
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問題文
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(じゃっくは、そのとき、まずそこらをみまわしました。すると、そこは)
ジャックは、そのとき、まずそこらを見まわしました。すると、そこは
(ふしぎなくにで、あおあおとしげった、しずかなもりがありました。)
ふしぎな国で、あおあおとしげった、しずかな森がありました。
(うつくしいはなのさいているそうげんもありました。すいしょうのようにきれいなみずの)
うつくしい花のさいている草原もありました。水晶のようにきれいな水の
(ながれているかわもありました。こんなたかいそらのうえに、こんなきれいなくにが)
ながれている川もありました。こんなたかい空の上に、こんなきれいな国が
(あろうとは、おもってもいませんでしたから、じゃっくはあっけにとられて、)
あろうとは、おもってもいませんでしたから、ジャックはあっけにとられて、
(ただきょとんとしていました。いつのまにか、ふと、あかいずきんをかぶった、)
ただきょとんとしていました。いつのまにか、ふと、赤いずきんをかぶった、
(みょうなかおのおばあさんが、どこからでてきたか、ふとめのまえにあらわれ)
みょうな顔のおばあさんが、どこから出て来たか、ふと目の前にあらわれ
(ました。じゃっくは、ふしぎそうに、このみょうなかおをしたおばあさんを)
ました。ジャックは、ふしぎそうに、このみょうな顔をしたおばあさんを
(みつめました。おばあさんは、でも、やさしいこえでいいました。)
みつめました。おばあさんは、でも、やさしい声でいいました。
(「そんなにびっくりしないでもいいのだよ。わたしはいったい、おまえさんたち)
「そんなにびっくりしないでもいいのだよ。わたしはいったい、お前さんたち
(いっかのものをまもってあげているようじょなのだけれど、このご、ろくねんのあいだという)
一家のものを守ってあげている妖女なのだけれど、この五、六年のあいだという
(ものは、わるいまもののために、まほうでしばられていて、おまえさんたちを)
ものは、わるい魔もののために、魔法でしばられていて、お前さんたちを
(たすけてあげることができなかったのさ。だが、こんどやっとまほうがとけたから)
たすけてあげることができなかったのさ。だが、こんどやっと魔法がとけたから
(これからはおもいのままに、たすけてあげられるだろうよ。」だしぬけに、)
これからはおもいのままに、助けてあげられるだろうよ。」だしぬけに、
(こんなことをいわれて、じゃっくは、なおさらあっけにとられてしまいました。)
こんなことをいわれて、ジャックは、なおさらあっけにとられてしまいました。
(そのぽかんとしたかおを、ようじょはおもしろそうにながめながら、そのわけを)
そのぽかんとした顔を、妖女はおもしろそうにながめながら、そのわけを
(くわしくはなしだしました。それをかいつまんでいうと、まあこんなものでした。)
くわしく話しだしました。それをかいつまんでいうと、まあこんなものでした。
(「ここからそうとおくはないところに、おそろしいおにのおおおとこが、すみかにしている、)
「ここからそうとおくはない所に、おそろしい鬼の大男が、すみかにしている、
(おしろのようないえがある。じつはそのおにが、むかし、そのおしろにすんでいたおまえの)
お城のような家がある。じつはその鬼が、むかし、そのお城に住んでいたお前の
(おとうさんをころして、しろといっしょに、そのもっていたおたからをのこらずとって)
おとうさんをころして、城といっしょに、そのもっていたお宝を残らずとって
など
(しまったものだから、おまえのうちは、すっかりびんぼうになってしまったのさ。)
しまったものだから、お前のうちは、すっかり貧乏になってしまったのさ。
(そうしておまえも、あかちゃんのときから、かわいそうに、おまえのおかあさんの)
そうしてお前も、赤ちゃんのときから、かわいそうに、お前のおかあさんの
(ふところにだかれたまま、げかいにおちぶれて、なさけないくらしをするように)
ふところにだかれたまま、下界におちぶれて、なさけないくらしをするように
(なったのだよ。だから、もういちど、そのたからをとりかえして、)
なったのだよ。だから、もういちど、そのたからをとりかえして、
(わるいそのおにを、ひどいめにあわしてやるのが、おまえのやくめなのだよ。」)
わるいその鬼を、ひどいめにあわしてやるのが、お前のやくめなのだよ。」
(こういうふうにいいきかされると、ぐうたらなじゃっくのこころも、)
こういうふうにいいきかされると、ぐうたらなジャックのこころも、
(ぴんとはってきました。しらないおとうさんのことが、なつかしくなって、)
ぴんと張ってきました。知らないおとうさんのことが、なつかしくなって、
(どうしてもこのおにをこらしめて、かすめられたたからを、とりかえさなくては)
どうしてもこの鬼をこらしめて、かすめられたたからを、とりかえさなくては
(ならないとおもいました。そうおもって、とてもいさましいきになって、)
ならないとおもいました。そうおもって、とてもいさましい気になって、
(おなかのすいていることも、つかれていることも、きれいにわすれてしまいました。)
お腹のすいていることも、つかれていることも、きれいに忘れてしまいました。
(そこで、ようじょにおれいをいってわかれますと、さっそく、おにのすんでいるおしろに)
そこで、妖女にお礼をいってわかれますと、さっそく、鬼の住んでいるお城に
(むかって、いそいでいきました。)
むかって、いそいで行きました。