楠山正雄「ジャックと豆の木」8/8
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(そうこうするうち、おおおとこがおっついてきて、)
そうこうするうち、大男が追っついてきて、
(もうかたあし、はしごにかけました。「おかあさん、おなきでない。」と、)
もう片足、はしごにかけました。「おかあさん、お泣きでない。」と、
(じゃっくは、うえからせいいっぱいよびました。「それよか、おのをもってきて)
ジャックは、上からせいいっぱいよびました。「それよか、斧をもってきて
(おくれ。はやく、はやく。」もういっぷんもまたれません。おおおとこはみしり、みしり、)
おくれ。はやく、はやく。」もう一分もまたれません。大男はみしり、みしり、
(はしごをつたわってきます。じゃっくは、きがきではありません、)
はしごをつたわって来ます。ジャックは、気が気ではありません、
(みのかるいのをさいわいに、はーぷをかかえたなり、はしごのとちゅう、)
身のかるいのをさいわいに、ハープをかかえたなり、はしごの途中、
(つばめのようなはやわざで、くるりとひっくりかえって、たかいうえから)
つばめのようなはやわざで、くるりとひっくりかえって、たかい上から
(とびおりました。そこへおかあさんが、おのをもってかけつけたので、)
とびおりました。そこへおかあさんが、斧をもってかけつけたので、
(じゃっくはおのをふるって、いきなり、はしごのねもとから、ぷっつり)
ジャックは斧をふるって、いきなり、はしごの根もとから、ぷっつり
(きりはなしました。そのとき、まだ、はしごのなかほどをおりかけていたおおおとこが、)
切りはなしました。そのとき、まだ、はしごの中ほどをおりかけていた大男が、
(きれたまめのつるをつかんだまま、おおきなからだのおもみで、ずしんと、)
切れた豆のつるをつかんだまま、大きなからだのおもみで、ずしんと、
(それこそじべたが、めりこむようなおとをたてて、おちてきました。)
それこそ地べたが、めりこむような音を立てて、落ちてきました。
(そして、それなり、めをまわしてしんでしまいました。ちょうどそのとき、)
そして、それなり、目をまわして死んでしまいました。ちょうどそのとき、
(いつぞや、はじめてじゃっくにあって、みちをおしえてくれたようじょが、)
いつぞや、はじめてジャックにあって、道をおしえてくれた妖女が、
(こんどはまるでちがって、めのさめるようにうつくしいおんなのひとのすがたになって、)
こんどはまるでちがって、目のさめるように美しい女の人の姿になって、
(またそこへでてきました。きらびやかにひんのいいきふじんのようなみなりをして、)
またそこへ出て来ました。きらびやかに品のいい貴婦人のような身なりをして、
(しろいつえをてにもっていました。つえのあたまには、じゅんきんのくじゃくを、)
白い杖を手にもっていました。杖のあたまには、純金のくじゃくを、
(とまらせていました。そしてふしぎなまめが、じゃっくのてにはいるように)
とまらせていました。そしてふしぎな豆が、ジャックの手にはいるように
(なったのも、じゃっくをためすために、じぶんがはからってしたことだといって、)
なったのも、ジャックをためすために、自分がはからってしたことだといって、
(「あのとき、まめのはしごをみて、すぐとそのまま、どこまでものぼって)
「あのとき、豆のはしごをみて、すぐとそのまま、どこまでものぼって
など
(いこうというきをおこしたのが、そもそもじゃっくのうんのひらける)
行こうという気をおこしたのが、そもそもジャックの運のひらける
(はじめだったのです。あれを、ただぼんやり、ふしぎだなあとおもって)
はじめだったのです。あれを、ただぼんやり、ふしぎだなあとおもって
(ながめたなり、すぎてしまえば、とりかえっこしためうしは、)
ながめたなり、すぎてしまえば、とりかえっこした牝牛は、
(よしてにもどることがあるにしても、あなたたちは、あいかわらずびんぼうで)
よし手にもどることがあるにしても、あなたたちは、あいかわらず貧乏で
(くらさなければならない。だから、まめのきのはしごをのぼったのが、)
くらさなければならない。だから、豆の木のはしごをのぼったのが、
(とりもなおさず、こううんのはしごをのぼったわけなのだよ。」)
とりもなおさず、幸運のはしごをのぼったわけなのだよ。」
(と、こうようじょは、いいきかせて、じゃっくにも、じゃっくのおかあさんにも)
と、こう妖女は、いいきかせて、ジャックにも、ジャックのおかあさんにも
(わかれて、かえっていきました。)
わかれて、かえって行きました。