【洒落怖】公衆電話のボックス
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問題文
(これは、おれがこうこうせいだった)
これは、俺が高校生だった
(じゅうねんほどまえにたいけんしたはなしだ。)
十年ほど前に体験した話だ。
(がっこうのせいもんまえには)
学校の正門前には
(1だいのこうしゅうでんわのぼっくすがあった。)
1台の公衆電話のボックスがあった。
(それじたいにはなんのいわくもないし)
それ自体には何の曰くもないし
(すでにけいたいでんわのぜんせいきだ。)
既に携帯電話の全盛期だ。
(つかってるやつもほとんどみたこともなかった。)
使ってる奴もほとんど見たこともなかった。
(それはちょうどいまくらいのじき、)
それはちょうど今くらいの時期、
(あめのうっとおしいつゆどきのはなしだ)
雨のうっとおしい梅雨時の話だ
(ぶかつがえりのおれとゆうじんがせいもんをぬけたとき、)
部活帰りの俺と友人が正門を抜けた時、
(こうしゅうでんわから)
公衆電話から
(「るるるるるるー」)
「ルルルルルルー」
(ってよびだしおんがなってたんだ。)
って呼び出し音が鳴ってたんだ。
(けっこうこわいものしらずだったゆうじんは、)
結構怖いもの知らずだった友人は、
(なんかのとしでんせつてきなあれか!)
何かの都市伝説的なあれか!
(ってなことをいいつつ)
ってなことを言いつつ
(でてみるといいだした。)
出てみると言い出した。
(ゆうじんはふつうに)
友人は普通に
(「もしもしー」)
「もしもしー」
(なんていいつつでんわをとったんだが)
なんて言いつつ電話をとったんだが
(とくにあいてのはんのうもなくむおんだといって)
特に相手の反応もなく無音だと言って
(おれにもきいてみろよとぼっくすからでてきた。)
俺にも聞いてみろよとボックスから出てきた。
(おれも)
俺も
(「nttのほしゅさぎょうかなにかあるんじゃね」)
「NTTの保守作業か何かあるんじゃね」
(っとためしにぼっくすにはいって)
っと試しにボックスに入って
(じゅわきのおとをきいてみた。)
受話器の音を聞いてみた。
(するとさ、)
するとさ、
(さーってかんじののいずっぽいおとと)
サーって感じのノイズっぽい音と
(かさかさってなにかのすれるようなおと、)
カサカサって何かの擦れるような音、
(そしてちいさくてよくわからないが)
そして小さくてよく分からないが
(こえっぽいものがきこえる。)
声っぽいものが聞こえる。
(そのじてんではとくにこわくもかんじなかったが)
その時点では特に怖くも感じなかったが
(こっちのおとはきかせたくなかったので)
こっちの音は聞かせたくなかったので
(まいくがわをおさえるようにして)
マイク側を押える様にして
(こっそりとおとをきいてた。)
こっそりと音を聞いてた。
(だんだんこえはさらにふせんめいになっていったんだが)
段々声は更に不鮮明になっていったんだが
(かり、かり、とゆっくりとじゅわきをつめでひっかくようなおとと)
カリ、カリ、とゆっくりと受話器を爪でひっかくような音と
(ひとのいきづかいっぽいのいずおんがする。)
人の息遣いっぽいノイズ音がする。
(あいてもこっちをうかがってる!)
相手もこっちをうかがってる!
(これは、)
これは、
(やばいんじゃっておもったときだ。)
やばいんじゃって思った時だ。
(きゅうにばん!)
急にバン!
(っとぼっくすがたたかれた。)
っとボックスが叩かれた。
(そうとうびっくりしてふりむくと)
相当びっくりして振り向くと
(たたいたのはゆうじんだったんだが)
叩いたのは友人だったんだが
(ひどくおどろいたようなかおで)
ひどく驚いたような顔で
(さらにぼっくすをたたいてくる。)
更にボックスを叩いてくる。
(すると、じゅわきから)
すると、受話器から
(「かりかりかりかりかり・・・・・・」)
「カリカリカリカリカリ……」
(って)
って
(すごいいきおいでひっかくおとがきこえる。)
すごい勢いでひっかく音が聞こえる。
(おれもびびってじゅわきをなげて)
俺もびびって受話器を投げて
(ぼっくすからでようとするが)
ボックスから出ようとするが
(どあがすこしひらいたら)
ドアが少し開いたら
(なにかにひっかかるかんじできちんとひらいてくれない。)
何かにひっかかる感じできちんと開いてくれない。
(もうぼっくすをはかいするつもりでけりとばしたりしてたが)
もうボックスを破壊するつもりで蹴り飛ばしたりしてたが
(どうにもならない。)
どうにもならない。
(そのうえかりかりっておとがするんだよ、)
その上カリカリって音がするんだよ、
(うしろから。)
後ろから。
(それはでんわきのぼたんをひっかくようのおとだ。)
それは電話機のボタンを引っ掻くような音だ。
(それがもとはでんわのむこうにいて)
それが元は電話の向こうにいて
(こっちにきてしまったのか)
こっちに来てしまったのか
(もともとそこにいたのかはわからない)
元々そこにいたのかは分からない
(ただ、かりかりっておとはだんだんはやくなり)
ただ、カリカリって音は段々早くなり
(いきづかいをうしろからかんじた。)
息遣いを後ろから感じた。
(ぜったいにうしろはみられない、)
絶対に後ろは見られない、
(そうおもった。)
そう思った。
(そんなときだった。)
そんな時だった。
(がっこうからぶかつのがいぶこもん)
学校から部活の外部顧問
((とうじかんぬしさんとだけきいていたじいちゃん))
(当時神主さんとだけ聞いていたじいちゃん)
(がゆみもってつっぱしってきて)
が弓もって突っ走ってきて
(げんをうった。)
弦を打った。
(とたんにぼっくすのどあは)
途端にボックスのドアは
(なにもなかったかのようにひらいて)
何も無かったかのように開いて
(おれはそとにとびだした。)
俺は外に飛び出した。
(おれはついふりかえりそうになったんだが)
俺はつい振り返りそうになったんだが
(こもんに)
顧問に
(「みるな!」)
「見るな!」
(といわれ)
と言われ
(「つぎのどこかにいくまでそこにいるからちかづくな」)
「次のどこかにいくまでそこに居るから近づくな」
(といわれた。)
と言われた。
(それいこう、)
それ以降、
(そのこうしゅうでんわをつかったことはない。)
その公衆電話を使ったことはない。
(あとにあれがなんだったのかきいたが)
後にあれが何だったのか聞いたが
(こもんは)
顧問は
(「わるいもの」)
「悪いもの」
(とだけしかいわず)
とだけしか言わず
(ゆうじんは)
友人は
(「たいりょうのてがはえたきゅうたいでかみのけがさだこみたいにたれさがってた」)
「大量の手が生えた球体で髪の毛が貞子みたいにたれ下がってた」
(といっていた。)
と言っていた。
(もうそのこうしゅうでんわもてっきょされてしまったが)
もうその公衆電話も撤去されてしまったが
(それはいまもどこかのこうしゅうでんわをいどうしているのだろうか。)
それは今もどこかの公衆電話を移動しているのだろうか。