【洒落怖】シルエット
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問題文
(いつだったか、ひっこしするまえのれんきゅうのあけがた。)
いつだったか、引っ越しする前の連休の明け方。
(じゅーすをかいにいこうと、そとにでた。)
ジュースを買いに行こうと、外に出た。
(まだそとはくらく、ろうかでえれべーたをまっていると(まんしょんね)、)
まだ外は暗く、廊下でエレベータを待っていると(マンションね)、
(うえのほうでがしゃーんとがらすのわれるおとがした。)
上のほうでガシャーンとガラスの割れる音がした。
(なんだろとおもって、)
なんだろと思って、
(ふきぬけのてすりのところにちかづいた。)
吹き抜けの手すりの所に近付いた。
(そこからならたしょう、うえがみえる。)
そこからなら多少、上が見える。
(みあげるまでもなかった。)
見上げるまでも無かった。
(くろいしるえっと、)
黒いシルエット、
(にんげんのじょうはんしんがたれさがっていた。)
人間の上半身が垂れ下がっていた。
(うではだらりとしたになり、あたまはつるりとしていた。)
腕はだらりと下になり、頭はつるりとしていた。
(つうじょうなら、そんなことぜったいにできないことがいっしゅんでわかる。)
通常なら、そんな事絶対に出来ない事が一瞬で分かる。
(なぜなら、まんしょん1かいぶんしかへだてていないといっても、)
なぜなら、マンション1階分しか隔てていないと言っても、
(のりだしてしたをみおろすほどはなれてはいないから。)
乗り出して下を見下ろすほど離れては居ないから。
(かげをみたのは10びょうくらいだったか、)
影を見たのは10秒くらいだったか、
(やがてつばをごく、とのんだしゅんかん、)
やがて唾をごく、と飲んだ瞬間、
(しるえっとはぞわっとなにかにひきあげられるようにうえへときえた。)
シルエットはぞわっと何かに引き上げられるように上へと消えた。
(そのときはこわいというよりも、)
その時は怖いと言うよりも、
(なんだ・・・?というきもちがつよかった。)
なんだ・・・?という気持ちが強かった。
(よくあるような「ながいかみのけ」のかげ・・・)
よくあるような「長い髪の毛」の影・・・
(などではなかったから、かもしれない。)
などでは無かったから、かもしれない。
(いちじおいてえれべーたをみると、)
一時置いてエレベータを見ると、
(すでにしたのかいへいってしまっていた。)
既に下の階へ行ってしまっていた。
(しかたない、ともういちどぼたんをおす。)
しかたない、ともう一度ボタンを押す。
(そして、なにげなくみたうすぐらいろうかのむこうから、)
そして、何気なく見た薄暗い廊下の向こうから、
(すべるようにちかづいてくるくろいしるえっと。)
滑るように近付いてくる黒いシルエット。
(しんぞうがとびあがるかんかくとともに、)
心臓が飛び上がる感覚と共に、
(じぶんのへやのかぎをぽけっとからとりだし、)
自分の部屋の鍵をポケットから取り出し、
(へやへとかけこんだ。)
部屋へと駆け込んだ。
(ちぇーんもかけた。)
チェーンもかけた。
(それからはときになにもなかったが、、)
それからは時に何も無かったが、、
(あのまんしょんはじさつとかきいたことのない、)
あのマンションは自殺とか聞いた事の無い、
(ごくふつうのばしょだっただけに、じつにふかかいだった・・・)
極普通の場所だっただけに、実に不可解だった・・・