白面の兵士 4
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問題文
(「「れんたいでかれよりゆうかんなおとこはいなかった。あるとき、ぼーあへいたちとじゅうげきせんの)
「『連隊で彼より勇敢な男はいなかった。ある時、ボーア兵達と銃撃戦の
(さいちゅうに、わたしをきゅうしゅつしてくれたことがある。かれがいなかったら、きっとわたしは)
最中に、私を救出してくれたことがある。彼がいなかったら、きっと私は
(いまここにいないだろう」」「ろうしつじはやせこけたてをこすりあわせました」)
今ここにいないだろう』」「老執事はやせこけた手をこすり合わせました」
(「「そうですか、そうですか、ごどふりーわかしゅじんはどこでもそうなんです。)
「『そうですか、そうですか、ゴドフリー若主人はどこでもそうなんです。
(いつもゆうかんでした。わかしゅじんがのぼったことがないにわのきはいっぽんもないんです。)
いつも勇敢でした。若主人が登ったことがない庭の木は一本もないんです。
(なにがあってもやめませんでした。すばらしいこどもでした、・・・・いえ、)
何があってもやめませんでした。素晴らしい子供でした、・・・・いえ、
(すばらしいにんげんでした」」「わたしはさっとたちあがりました」)
素晴らしい人間でした』」「私はさっと立ち上がりました」
(「「ちょっとまて!」わたしはさけびました。「でした、といったな。)
「『ちょっと待て!』私は叫びました。『でした、と言ったな。
(まるでかれがしんだみたいじゃないか。いったいぜんたいどういうことなんだ?)
まるで彼が死んだみたいじゃないか。一体全体どういうことなんだ?
(ごどふりー・えむすわーすになにがおきたんだ?」」「わたしはろうじんのかたを)
ゴドフリー・エムスワースに何が起きたんだ?』」「私は老人の肩を
(つかみましたが、かれはふりはらいました」「「なにをおっしゃっているのか)
つかみましたが、彼は振り払いました」「『何をおっしゃっているのか
(わかりません。ごどふりーわかしゅじんのことはしゅじんにおたずねください。)
分かりません。ゴドフリー若主人のことは主人にお尋ねください。
(しゅじんがごぞんじのはずです。わたしがとやかくいうことではありません」」)
主人がご存知のはずです。私がとやかく言うことではありません』」
(「かれはへやからでようとしました。しかしわたしはかれのてをつかみました」)
「彼は部屋から出ようとしました。しかし私は彼の手をつかみました」
(「「いいか」わたしはいいました。「でていくまえにしつもんにこたえてもらう。)
「『いいか』私はいいました。『出て行く前に質問に答えてもらう。
(そうでなければひとばんじゅうでもかえすわけにはいかん。ごどふりーはしんだのか?」」)
そうでなければ一晩中でも帰すわけにはいかん。ゴドフリーは死んだのか?』」
(「かれはわたしのめをみることができませんでした。さいみんじゅつにかけられた)
「彼は私の目を見ることができませんでした。催眠術に掛けられた
(おとこのようでした。ゆっくりとへんじがくちからでてきました。それはおそろしく、)
男のようでした。ゆっくりと返事が口から出てきました。それは恐ろしく、
(またよそうもしないものでした」「「それだったらよかったのに!」)
また予想もしないものでした」「『それだったら良かったのに!』
(かれはさけび、てをふりほどいてへやからとびだしていきました」)
彼は叫び、手を振りほどいて部屋から飛び出していきました」
(「そうぞうがつくでしょうが、ほーむずさん、わたしはあんたんたるきもちで)
「想像がつくでしょうが、ホームズさん、私は暗澹たる気持ちで
(こしをおろしました。あのろうじんのことばからそうぞうできるのは)
腰を下ろしました。あの老人の言葉から想像できるのは
(ただひとつしかありませんでした。あきらかに、あわれなゆうじんはなにかのはんざいに)
ただ一つしかありませんでした。明らかに、哀れな友人は何かの犯罪に
(まきこまれたか、すくなくとも、かぞくのめいよにきずがつくはずべきじけんを)
巻き込まれたか、少なくとも、家族の名誉に傷がつく恥ずべき事件を
(おこしたのです。あのきびしいちちおやはむすこをおいだし、なんらかのすきゃんだるが)
起こしたのです。あの厳しい父親は息子を追い出し、なんらかのスキャンダルが
(おもてざたにならないようにがいかいからしゃだんした。ごどふりーはむてっぽうなおとこでした。)
表沙汰にならないように外界から遮断した。ゴドフリーは無鉄砲な男でした。
(かんたんにまわりのにんげんにえいきょうされました。まちがいなくかれはわるいなかまにつかまって)
簡単に周りの人間に影響されました。間違いなく彼は悪い仲間につかまって
(みちをあやまり、はめつしたのです。もしほんとうにそうなら、これはかなしいじけんです。)
道を誤り、破滅したのです。もし本当にそうなら、これは悲しい事件です。
(しかしそれでもかれをさがしだし、なにかてだすけできることがないかかくにんするのは、)
しかしそれでも彼を探し出し、何か手助けできることがないか確認するのは、
(ゆうじんとしてのぎむでした。わたしはいっしんにそのことをかんがえていましたが、ふとめを)
友人としての義務でした。私は一心にその事を考えていましたが、ふと目を
(あげたとき、なんとめのまえにごどふりー・えむすわーすがたっていたのです」)
上げた時、なんと目の前にゴドフリー・エムスワースが立っていたのです」
(いらいにんはかんきわまったようにことばをつまらせた。)
依頼人は感極まったように言葉を詰まらせた。
(「おつづけください」わたしはいった。「あなたのじけんはひじょうにかわった)
「お続けください」私は言った。「あなたの事件は非常に変わった
(ようそうをおびています」「かれはまどのそとにいました、ほーむずさん。かおをがらすに)
様相を帯びています」「彼は窓の外にいました、ホームズさん。顔をガラスに
(おしつけていました。さきほど、わたしはまどのそとのよるのけしきをながめたとはなしました。)
押し付けていました。さきほど、私は窓の外の夜の景色を眺めたと話しました。
(そのさい、かーてんをすこしあけておきました。そのすきまにかれのからだがたって)
その際、カーテンを少し開けておきました。その隙間に彼の体が立って
(いました。まどはじめんまであったのでぜんしんがみえましたが、めをうばわれたのは)
いました。窓は地面まであったので全身が見えましたが、目を奪われたのは
(そのかおでした。おそろしいほどそうはくでした、・・・・にんげんのかおがあれほどしろいのは)
その顔でした。恐ろしいほど蒼白でした、・・・・人間の顔があれほど白いのは
(みたことがありません。ゆうれいなら、こんないろかもしれないとおもいました。)
見たことがありません。幽霊なら、こんな色かもしれないと思いました。
(しかしわたしをみたそのめはいきたにんげんのものでした。かれは、わたしがみているのに)
しかし私を見たその目は生きた人間のものでした。彼は、私が見ているのに
(きづくと、ぱっとあとずさりしてやみのなかにきえてしまいました」)
気づくと、ぱっと後ずさりして闇の中に消えてしまいました」
(「そのじんぶつにはなにかふゆかいなものをかんじました、ほーむずさん。)
「その人物には何か不愉快なものを感じました、ホームズさん。
(たんにちーずのようにしろいゆうれいのようなかおがくらやみにみえたというだけでは)
単にチーズのように白い幽霊のような顔が暗闇に見えたというだけでは
(ありません。もっとせんさいなものがありました、・・・・どこかこそこそした、)
ありません。もっと繊細なものがありました、・・・・どこかコソコソした、
(ひとめをさけるような、やましいような、・・・・わたしがしっている)
人目を避けるような、やましいような、・・・・私が知っている
(そっちょくでおとこらしいごどふりーにはにつかわしくない)
率直で男らしいゴドフリーには似つかわしくない
(かんじでした。だから、いっそうけんおかんをおぼえました」)
感じでした。だから、いっそう嫌悪感を覚えました」
(「しかしぼーあへいをあいてにいちねんかにねん、へいしをしていれば、)
「しかしボーア兵を相手に一年か二年、兵士をしていれば、
(しょうしょうのことではどうじなくなりこうどうもすばやくなります。わたしが)
少々の事では動じなくなり行動も素早くなります。私が
(まどのところにいったときごどふりーはほとんどみえなくなっていました。)
窓のところに行ったときゴドフリーはほとんど見えなくなっていました。
(まどのとめがねがなかなかひらかず、それをもちあげるまでにちょっと)
窓の留め金がなかなか開かず、それを持ち上げるまでにちょっと
(じかんがかかりました。そのごわたしはさっとでて、かれがさったとおもわれるほうこうへ、)
時間がかかりました。その後私はさっと出て、彼が去ったと思われる方向へ、
(にわのみちをはしっていきました」)
庭の道を走って行きました」
(「にわのみちはながくまんぞくなあかりもありませんでしたが、わたしにはなにかが)
「庭の道は長く満足な明かりもありませんでしたが、私には何かが
(わたしのまえでうごいていたようにみえました。わたしははしりつづけてかれのなまえを)
私の前で動いていたように見えました。私は走り続けて彼の名前を
(よびました。しかしむだでした。わたしがそのみちのはしまできたとき、)
呼びました。しかし無駄でした。私がその道の端まで来た時、
(たくさんのなやにつうじるこみちがさまざまなほうこうにえだわかれしていました。)
沢山の納屋に通じる小道がさまざまな方向に枝分かれしていました。
(わたしはどうしたらよいかわからずにたっていました。そうしていると、)
私はどうしたらよいか分からずに立っていました。そうしていると、
(あきらかにとびらをしめるおとがきこえました。それはわたしのうしろのいえではなく、)
明らかに扉を閉める音が聞こえました。それは私の後ろの家ではなく、
(ぜんぽうのくらやみのなかのどこかにあるいえでした。わたしのみたものがまぼろしでないことと)
前方の暗闇の中のどこかにある家でした。私の見たものが幻でない事と
(かくしんするにはこれでじゅうぶんでした、ほーむずさん。)
確信するにはこれで十分でした、ホームズさん。
(ごどふりーはわたしからはしってにげ、そしてかれはどこかのいえにはいって)
ゴドフリーは私から走って逃げ、そして彼はどこかの家に入って
(とびらをしめた。これはまちがいないとおもいました」)
扉を閉めた。これは間違いないと思いました」