白面の兵士 9
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問題文
(「だれもえいごをはなせるものはいないようだったが、)
「誰も英語を話せるものはいないようだったが、
(じょじょにじょうきょうがはっきりしてきた。あたまのおおきなにんげんはだんだんはげしくおこりだし、)
徐々に状況がはっきりしてきた。頭の大きな人間はだんだん激しく怒り出し、
(そして、やじゅうのようなさけびごえをあげて、かれはへんけいしたてをぼくにかけ、)
そして、野獣のような叫び声をあげて、彼は変形した手を僕にかけ、
(きずからせんけつがながれるのもかまわずべっどからひきおろしはじめた。)
傷から鮮血が流れるのも構わずベッドから引き下ろしはじめた。
(このちいさいおとこはおうしのようにちからがあった。)
この小さい男は雄牛のように力があった。
(そして、もしあきらかにせきにんしゃふうのろうじんが、このさわぎをききつけて)
そして、もし明らかに責任者風の老人が、この騒ぎを聞きつけて
(へやにやってこなかったら、かれがぼくをどうしていたかはわからない。)
部屋にやってこなかったら、彼が僕をどうしていたかは分からない。
(かれはおらんだごでひとことふたことしかりつけ、それでぼくをくるしめていたおとこは)
彼はオランダ語で一言二言叱りつけ、それで僕を苦しめていた男は
(ちぢみあがった。それからかれはぼくのほうをふりかえると、)
縮み上がった。それから彼は僕のほうを振り返ると、
(きょうがくしたようすでぼくをじっとみつめた」)
驚愕した様子で僕をじっと見つめた」
(「いったいぜんたいなんだってここにきたんですか?」かれはおどろいてたずねた。)
「一体全体なんだってここに来たんですか?」彼は驚いて尋ねた。
(「ちょっとまってください!みたところ、あなたはかなり)
「ちょっと待ってください!見たところ、あなたはかなり
(ひろうこんぱいしているし、そのかたのきずはてあてしなければなりません。)
疲労困憊しているし、その肩の傷は手当てしなければなりません。
(わたしはいしゃです。すぐにほうたいをまかせましょう。しかし、)
私は医者です。すぐに包帯を巻かせましょう。しかし、
(なんということでしょう!あなたはせんじょうにいたときよりも)
なんということでしょう!あなたは戦場にいた時よりも
(ずっときけんなばしょにいるんですよ。ここははんせんびょういんです。)
ずっと危険な場所にいるんですよ。ここはハンセン病院です。
(そしてあなたははんせんびょうかんじゃのべっどでねていたんですよ」)
そしてあなたはハンセン病患者のベッドで寝ていたんですよ」
(「これいじょういうひつようがあるか、じみー?どうやらこういうことのようだった、)
「これ以上言う必要があるか、ジミー?どうやらこういうことのようだった、
(せんとうがちかづいてきそうだったので、かわいそうなかんじゃはまえのひにひなんしていた。)
戦闘が近づいてきそうだったので、かわいそうな患者は前の日に避難していた。
(そのご、いぎりすぐんがしんぐんしてきたので、かれらはこのいりょうかんとくしゃによって)
その後、イギリス軍が進軍してきたので、彼らはこの医療監督者によって
(もどされていた、かれはぼくにだんげんした。じぶんはこのびょうきにたいして)
戻されていた、彼は僕に断言した。自分はこの病気に対して
(めんえきがあるとしんじてはいるが、たとえそうであってもぼくがしたようなことは)
免疫があると信じてはいるが、たとえそうであっても僕がしたようなことは
(けっしてやりたくないと。かれはぼくをこしつにつれていき、ていねいにちりょうした。)
決してやりたくないと。彼は僕を個室に連れて行き、丁寧に治療した。
(そしていっしゅうかんかそこらで、ぼくはぷれとりあのいっぱんびょういんにいそうされた」)
そして一週間かそこらで、僕はプレトリアの一般病院に移送された」
(「これでぼくのひげきがわかっただろう。ぼくはまんにひとつのきぼうをかけた。)
「これで僕の悲劇が分かっただろう。僕は万に一つの希望をかけた。
(しかしいえにもどるまえに、きみがみているようにかおにおそろしいしるしがあらわれ、)
しかし家に戻る前に、君が見ているように顔に恐ろしいしるしが現れ、
(かんせんをまぬがれていないことがわかった。できることは、このさびしいいえに)
感染を免れていないことが分かった。できることは、この寂しい家に
(いることだけだった。ここにはかんぜんにしんようがおけるふたりのしようにんがいて、)
いることだけだった。ここには完全に信用が置ける二人の使用人がいて、
(せいかつできるいえがあった。ひみつをまもるというやくそくで、けんとさんは、)
生活できる家があった。秘密を守るという約束で、ケントさんは、
(ーーかれはげかいですがーー、わたしのそばについていてくれました。)
――彼は外科医ですが――、私のそばについていてくれました。
(こうするしかなかった。そうでなければおそろしいことになっていたはずだ、)
こうするしかなかった。そうでなければ恐ろしい事になっていたはずだ、
(・・・みしらぬひとといっしょに、いつでられるというのぞみもなくかくりされてしまう。)
・・・見知らぬ人と一緒に、いつ出られるという望みもなく隔離されてしまう。
(しかしひみつをかんぺきにまもることがひつようだった。そうでなければこのしずかな)
しかし秘密を完璧に守ることが必要だった。そうでなければこの静かな
(いなかといえども、おおさわぎになっていただろう。そしてぼくはおそろしいはめつへと)
田舎といえども、大騒ぎになっていただろう。そして僕は恐ろしい破滅へと
(ひきずりだされていたにちがいない。きみにさえ、じみー、)
引きずり出されていたにちがいない。君にさえ、ジミー、
(・・・・きみにさえひみつにしておくひつようがあった。なぜちちがたいどをやわらげたかは)
・・・・君にさえ秘密にしておく必要があった。なぜ父が態度を和らげたかは
(ぼくにはそうぞうもつかない」えむすわーすたいさはわたしをゆびさした。)
僕には想像もつかない」エムスワース大佐は私を指差した。
(「このおとこがむりやりにそうさせたのだ」かれはわたしが「はんせんびょう」とかいた)
「この男が無理やりにそうさせたのだ」彼は私が『ハンセン病』と書いた
(かみきれをひろげた。「かれがそこまでしっているなら、)
紙切れを広げた。「彼がそこまで知っているなら、
(なにもかもうちあけるほうがまだましだとおもったのだ」)
何もかも打ち明ける方がまだましだと思ったのだ」
(「そのとおりかもしれません」わたしはいった。「いいけっかにならないとだれに)
「その通りかもしれません」私は言った。「いい結果にならないと誰に
(いえるでしょうか?きいたところではけんとししかかんじゃをしんさつしていない。)
言えるでしょうか?聞いたところではケント氏しか患者を診察していない。
(しつれいですが、こういうびょうきについてくわしいか、おたずねしていいでしょうか?)
失礼ですが、こういう病気について詳しいか、お尋ねしていいでしょうか?
(わたしのしるかぎり、ねったいかあねったいせいのびょうきでしょう?」)
私の知る限り、熱帯か亜熱帯性の病気でしょう?」
(「きちんときょういくをうけたいしゃとして、ひととおりのちしきはもっている」)
「きちんと教育を受けた医者として、一通りの知識は持っている」
(かれはちょっとむっとしたようにいった。)
彼はちょっとむっとしたように言った。
(「あなたがきわめてゆうのうないしゃであることをうたがってはいません。しかし、)
「あなたが極めて有能な医者であることを疑ってはいません。しかし、
(こういうばあいにはせかんど・おぴにおんがゆうえきだということは、)
こういう場合にはセカンド・オピニオンが有益だということは、
(とうぜんどういされるだろうとおもいます。きくかぎりでは、かんじゃをかくりするようにという)
当然同意されるだろうと思います。聞く限りでは、患者を隔離するようにという
(あつりょくがかかることになるのをおそれてそれをさけてきた」)
圧力がかかることになるのを恐れてそれを避けてきた」
(「そのとおりだ」えむすわーすたいさがいった。)
「その通りだ」エムスワース大佐が言った。
(「そうではないかとおもっていました」わたしはせつめいした。)
「そうではないかと思っていました」私は説明した。
(「だからわたしはひみつほじにかんしてかんぜんにしんようできるゆうじんをつれてきています。)
「だから私は秘密保持に関して完全に信用できる友人を連れてきています。
(わたしはいぜんかれにしごとでおやくにたてたことがあり、かれはよろこんで)
私は以前彼に仕事でお役に立てたことがあり、彼は喜んで
(せんもんいとしてではなくゆうじんとしてじょげんしてくれるつもりです。)
専門医としてではなく友人として助言してくれるつもりです。
(かれのなまえは、さー・じぇいむず・さんだーずです」)
彼の名前は、サー・ジェイムズ・サンダーズです」
(ただのいちしょういがろばーつげんすいとあえるといわれても、いまけんとしの)
ただの一少尉がロバーツ元帥と会えると言われても、今ケント氏の
(かおにうかんでいるようなおどろきとよろこびのひょうじょうはうかばなかっただろう。)
顔に浮かんでいるような驚きと喜びの表情は浮かばなかっただろう。
(「ほんとうになんというこうえいでしょうか」かれはつぶやいた。)
「本当になんという光栄でしょうか」彼はつぶやいた。
(「ではさー・じぇいむずにこちらにくるようにおねがいしましょう。)
「ではサー・ジェイムズにこちらに来るようにお願いしましょう。
(かれはいま、げんかんのそとのばしゃのなかです。それまでのあいだ、えむすわーすたいさ、)
彼は今、玄関の外の馬車の中です。それまでの間、エムスワース大佐、
(あなたのしょさいにあつまりましょう。そこならわたしがひつようなせつめいをできますので」)
あなたの書斎に集まりましょう。そこなら私が必要な説明をできますので」
(ここでわたしはわとそんがいないのがつらかった。うまいしつもんやおどろきのさけびで、)
ここで私はワトソンがいないのが辛かった。上手い質問や驚きの叫びで、
(かれはぼくのたんじゅんなぎじゅつをきせきにまでたかめてくれただろう。)
彼は僕の単純な技術を奇跡にまで高めてくれただろう。
(もちろん、これはごくふつうのしこうによってくみたてられただけなのだ。)
もちろん、これはごく普通の思考によって組み立てられただけなのだ。
(わたしがじぶんではなしをするばあいはそういうてだすけがない。)
私が自分で話をする場合はそういう手助けがない。
(それでもわたしはえむすわーすたいさのしょさいのなかで、すうにんをまえにして)
それでも私はエムスワース大佐の書斎の中で、数人を前にして
(はなしたそのままのかたちで、しこうのかていをせつめいしよう。)
話したそのままの形で、思考の過程を説明しよう。
(ごどふりーのははおやもそのばにくわわっていた。)
ゴドフリーの母親もその場に加わっていた。