白面の兵士 10
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問題文
(「しこうのてんかいは」わたしはいった。「このぜんていからはじまる。)
「思考の展開は」私は言った。「この前提から始まる。
(ふかのうなものをすべてさくじょしたとき、なにがのころうとも、)
不可能なものを全て削除した時、何が残ろうとも、
(それがいかにありそうでなくとも、しんじつにちがいない。)
それがいかにありそうでなくとも、真実に違いない。
(ふくすうのかいしゃくがのこるばあいがあるかもしれない。そういうばあいは)
複数の解釈が残る場合があるかもしれない。そういう場合は
(そのうちのどれかになっとくできるだけのしょうこがえられるまでなんども)
そのうちのどれかに納得できるだけの証拠が得られるまで何度も
(けんしょうをくりかえす。いまこのげんりをげんざいのじけんにあてはめてみよう。)
検証を繰り返す。今この原理を現在の事件に当てはめてみよう。
(しゅっぱつてんのじょうたいでは、ちちおやのやしきのはなれのなかにこのだんせいがかくり、ないしは)
出発点の状態では、父親の屋敷の離れの中にこの男性が隔離、ないしは
(かんきんされているということにかんして、かのうなかいしゃくはみっつあった。)
監禁されているという事に関して、可能な解釈は三つあった。
(そのみっつのかいしゃくとは、かれがはんざいをおかしてかくれているということ、)
その三つの解釈とは、彼が犯罪を犯して隠れているということ、
(またはかれがしょうきをうしなってかぞくがせいしんびょういんにいれたくないとおもっていること、)
または彼が正気を失って家族が精神病院に入れたくないと思っていること、
(またはかれがかくりされるようなびょうきにかかっていることだった。これいがいに)
または彼が隔離されるような病気にかかっていることだった。これ以外に
(みこみのあるせつめいはかんがえられなかった。つぎのだんかいとして、わたしは)
見込みのある説明は考えられなかった。次の段階として、私は
(このみっつをふるいにかけ、おたがいのかのうせいをひょうかしなければならなかった」)
この三つをふるいにかけ、お互いの可能性を評価しなければならなかった」
(「はんざいせつはくわしくしらべるまでもない。あのちほうでみかいけつのじけんは)
「犯罪説は詳しく調べるまでもない。あの地方で未解決の事件は
(ほうこくされていない。わたしはそれをはっきりしっていた。)
報告されていない。私はそれをはっきり知っていた。
(もしまだはんめいしていないはんざいだったとすれば、あきらかにかぞくには、はんにんを)
もしまだ判明していない犯罪だったとすれば、明らかに家族には、犯人を
(いえにかくしておくよりも、おいだしてがいこくにいかせるほうがよかったはずだ。)
家に隠しておくよりも、追い出して外国に行かせる方がよかったはずだ。
(わたしはいちれんのこうどうにせつめいをみだすことができなかった」)
私は一連の行動に説明を見出すことができなかった」
(「きょうきせつはもっとありえそうだった。)
「狂気説はもっとありえそうだった。
(はなれにふたりめのおとこがいるということは、かれがかんしにんであることをにおわせる。)
離れに二人目の男がいるという事は、彼が監視人であることを匂わせる。
(かれがでていったときにとびらにかぎをかけたというじじつは、このかせつをきょうかし、)
彼が出て行ったときに扉に鍵をかけたという事実は、この仮説を強化し、
(こうそくされているというかんがえがうかぶ。いっぽう、このこうそくは)
拘束されているという考えが浮かぶ。一方、この拘束は
(げんみつなものではありえなかった。そうでなければせいねんがそこからでて、)
厳密なものではありえなかった。そうでなければ青年がそこから出て、
(ゆうじんをひとめみようとやってこれなかったはずだ。どっどさん、)
友人を一目見ようとやって来れなかったはずだ。ドッドさん、
(ぼくがかくしょうをえようとしていたことを、おぼえているでしょう。)
僕が確証を得ようとしていたことを、覚えているでしょう。
(たとえばけんとしがよんでいたしんぶんについてあなたにたずねましたね?)
たとえばケント氏が読んでいた新聞についてあなたに尋ねましたね?
(もしそれがらんせっとかえいいがくかいほうなら、やくにたったのですがね。)
もしそれがランセットか英医学会報なら、役に立ったのですがね。
(しかしせいしんびょうかんじゃをこじんたくにおくことは、しかるべきにんげんがついていて)
しかし精神病患者を個人宅におくことは、しかるべき人間がついていて
(とうきょくにきちんとれんらくしているかぎりひごうほうではない。)
当局にきちんと連絡している限り非合法ではない。
(ではなぜみんながこのようにひっしになってかくしたがるのか?)
ではなぜみんながこのように必死になって隠したがるのか?
(またわたしはこれらのじじつにてきごうするりろんをみいだせなかった」)
また私はこれらの事実に適合する理論を見出せなかった」
(「のこったのはさんばんめのかのうせいだった。これは、ひじょうにまれなことで、)
「残ったのは三番目の可能性だった。これは、非常にまれなことで、
(ありそうもないようだが、すべてがぴったりとふごうするようにおもえた。)
ありそうもないようだが、全てがぴったりと符合するように思えた。
(はんせんびょうはみなみあふりかではまれなびょうきではない。なんらかのきょくげんじょうきょうで)
ハンセン病は南アフリカではまれな病気ではない。何らかの極限状況で
(このせいねんがそれにかかったかもしれない。かぞくはかれをかくりからすくいたいと)
この青年がそれにかかったかもしれない。家族は彼を隔離から救いたいと
(ねがっただろうから、ひじょうにむずかしいたちばにたたされただろう。)
願っただろうから、非常に難しい立場に立たされただろう。
(うわさがひろまることをふせぐのに、たいへんなひみつほじがひつようだった。もしうわさがたてば、)
噂が広まることを防ぐのに、大変な秘密保持が必要だった。もし噂が立てば、
(つづいてとうきょくがかいにゅうすることになるだろう。じゅうぶんにほうしゅうをつめば、)
続いて当局が介入することになるだろう。十分に報酬を積めば、
(びょうにんをめんどうみるせんぞくのいしゃをみつけることはかんたんだったろう。)
病人を面倒見る専属の医者を見つけることは簡単だったろう。
(くらくなったあと、かんじゃをじゆうにしてはいけないりゆうはなかっただろう。)
暗くなった後、患者を自由にしてはいけない理由はなかっただろう。
(ひふがしろくなるのはそのびょうきのいっぱんてきなしょうじょうだ。)
皮膚が白くなるのはその病気の一般的な症状だ。
(これはきょうこなせつめいだった、ーーひじょうにきょうこだったのでわたしはそれがじっさいに)
これは強固な説明だった、――非常に強固だったので私はそれが実際に
(しょうめいされたかのようにこうどうすることをけついした。ここについたとき、)
証明されたかのように行動することを決意した。ここに着いた時、
(わたしはしょくじをはこんでいたらるふが、しょうどくやくをしみこませたてぶくろをしていたのに、)
私は食事を運んでいたラルフが、消毒薬をしみこませた手袋をしていたのに、
(きづいた。わたしのさいごのぎねんがとりのぞかれた。ひとつのたんごであなたに)
気づいた。私の最後の疑念が取り除かれた。一つの単語であなたに
(ひみつがあばかれたことをしらせた。そしてわたしがくちでいわずにかきしるしたのは、)
秘密が暴かれたことを知らせた。そして私が口で言わずに書き記したのは、
(あなたにわたしがひみつをもらすようなじんぶつではないとわかってもらうためだった」)
あなたに私が秘密を漏らすような人物ではないと分かってもらうためだった」
(わたしがこのじけんのせつめいをおえようとしていたとき、とびらがあいて、)
私がこの事件の説明を終えようとしていた時、扉が開いて、
(しゅぎょうそうのようなようぼうのいだいなひふびょうせんもんいがまねきいれられた。しかし)
修行僧のような容貌の偉大な皮膚病専門医が招き入れられた。しかし
(こんかいばかりはすふぃんくすのようなひょうじょうがゆるみ、めにはあたたかいにんげんみが)
今回ばかりはスフィンクスのような表情が緩み、目には暖かい人間味が
(うかんでいた。かれはえむすわーすたいさにあゆみよりてをにぎりしめた。)
浮かんでいた。彼はエムスワース大佐に歩み寄り手を握りしめた。
(「わるいしらせをはこぶのがわたしのしゅくめいで、いいしらせというのは)
「悪い知らせを運ぶのが私の宿命で、いい知らせというのは
(ほとんどないのですが」かれはいった。)
ほとんどないのですが」彼は言った。
(「こんかいはそれいじょうによろこばしいものです。はんせんびょうではありません」)
「今回はそれ以上に喜ばしいものです。ハンセン病ではありません」
(「なんですと?」)
「なんですと?」
(「にせはんせんびょうとかぎょりんせんといわれるびょうきのてんけいてきなしょうじょうです。)
「偽ハンセン病とか魚鱗癬と言われる病気の典型的な症状です。
(これははだがうろこのようになるびょうきです。)
これは肌がうろこのようになる病気です。
(みためがわるくなおりにくいびょうきですが、ちりょうかのうです。)
見た目が悪く直りにくい病気ですが、治療可能です。
(さらに、でんせんせいはまったくありません。それにしても、ほーむずさん、)
さらに、伝染性は全くありません。それにしても、ホームズさん、
(おどろくべきぐうぜんのいっちですね。しかしほんとうにぐうぜんのいっちなのでしょうか?)
驚くべき偶然の一致ですね。しかし本当に偶然の一致なのでしょうか?
(わたしたちがほとんどしらないちからがさようしているのではないでしょうか?)
私達がほとんど知らない力が作用しているのではないでしょうか?
(きっとこのせいねんはびょうげんきんにさらされていらいずっとひじょうに)
きっとこの青年は病原菌にさらされて以来ずっと非常に
(おびえてきたはずです。そのおびえがしんぱいしてきたものにそっくりなぶつりてきしょうじょうを)
怯えてきたはずです。その怯えが心配してきた物にそっくりな物理的症状を
(しょうじさせたのではないと、かくしんをもっていえるでしょうか?)
生じさせたのではないと、確信を持って言えるでしょうか?
(ともあれ、わたしはせんもんかとしてのめいよにかけてだんげんします・・・・おや、)
ともあれ、私は専門家としての名誉にかけて断言します・・・・おや、
(じょせいがきをうしなってしまいましたね!このよろこびのしょうげきからかいふくするまで、)
女性が気を失ってしまいましたね!この喜びの衝撃から回復するまで、
(けんとしにかのじょのせわをおねがいしたほうがよさそうですね」)
ケント氏に彼女の世話をお願いした方がよさそうですね」