マザリンの宝石 1

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投稿者投稿者大樹野いいね0お気に入り登録
プレイ回数5137難易度(5.0) 3840打 長文
【シャーロック・ホームズの事件簿】より
長文なので、読書感覚でお楽しみください
順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 subaru 6616 S+ 7.0 93.7% 535.2 3792 251 60 2024/10/24
2 降谷零 4564 C++ 4.9 91.9% 763.3 3816 332 60 2024/09/30

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問題文

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(わとそんはかせにとって、べーかーがいにかいにあるざつぜんとしたへやにもういちど)

ワトソン博士にとって、ベーカー街二階にある雑然とした部屋にもう一度

(やってくるのはうれしいことだった。ここから、おどろくべきぼうけんがかずかぎりなく)

やって来るのは嬉しいことだった。ここから、驚くべき冒険が数限りなく

(はじまってきたのだ。あたりをみまわすとつぎつぎめにはいってくる・・・、)

始まってきたのだ。あたりを見回すと次々目に入ってくる・・・、

(かべのかがくずひょう、さんにやけたかがくやくひんのだい、へやのすみにたてかけられた)

壁の科学図表、酸に焼けた化学薬品の台、部屋の隅に立てかけられた

(ばいおりんけーす、ふるいぱいぷやたばこがはいったせきたんいれ・・・。)

バイオリンケース、古いパイプや煙草が入った石炭入れ・・・。

(さいごに、わかわかしくにこやかなかおのびりーがめにとまった。かれはわかいが)

最後に、若々しくにこやかな顔のビリーが目にとまった。彼は若いが

(ひじょうにかしこく、きのきくぼーいで、いだいなたんていのむっつりとしたすがたの)

非常に賢く、気の利くボーイで、偉大な探偵のむっつりとした姿の

(まわりにあるこどくとだんぜつのみぞをいくらかうめるやくわりをはたしていた。)

周りにある孤独と断絶の溝をいくらか埋める役割を果たしていた。

(「みんなほとんどかわっていないようだな、びりー。きみもかわらないな。)

「みんなほとんど変わっていないようだな、ビリー。君も変わらないな。

(かれもそうだといいんだが?」びりーはしんぱいそうにしまったままのしんしつのとびらに)

彼もそうだといいんだが?」ビリーは心配そうに閉まったままの寝室の扉に

(めをやった。「べっどのなかでおやすみだとおもいます」かれはいった。)

目をやった。「ベッドの中でお休みだと思います」彼は言った。

(すばらしいなつのひのごごしちじだった。しかしわとそんはかせはきゅうゆうのせいかつじかんが)

素晴らしい夏の日の午後七時だった。しかしワトソン博士は旧友の生活時間が

(ふきそくなのにはなれていたので、それをきいてもまったくおどろかなかった。)

不規則なのには慣れていたので、それを聞いてもまったく驚かなかった。

(「ということはじけんがあるわけだな?」「ええ、ちょうどいま、いっしょうけんめいに)

「ということは事件があるわけだな?」「ええ、ちょうど今、一生懸命に

(なっています。けんこうがしんぱいです。どんどんとやせてかおいろがわるくなっています。)

なっています。健康が心配です。どんどんと痩せて顔色が悪くなっています。

(それになにもめしあがりません。「いつしょくじにすればいいですか?ほーむずさん」)

それに何も召し上がりません。『いつ食事にすればいいですか?ホームズさん』

(はどそんふじんがたずねたんです。「しちじはん、あさっての」)

ハドソン夫人が尋ねたんです。『七時半、あさっての』

(こういいました。あのひとがじけんにねっしんなときのたいどはごぞんじでしょう」)

こう言いました。あの人が事件に熱心な時の態度はご存知でしょう」

(「びりー、わかっているよ」「かれはだれかをおっています。きのうかれはしごとを)

「ビリー、分かっているよ」「彼は誰かを追っています。昨日彼は仕事を

(さがしているさぎょういんのかっこうででていきました。きょうはろうばのかっこうでした。)

探している作業員の格好で出て行きました。今日は老婆の格好でした。

など

(ぼくはあのひとに、かんぜんにだまされました。これまでにやりかたをわかっていても)

僕はあの人に、完全に騙されました。これまでにやり方を分かっていても

(よさそうなものですが」かれはにっこりしてそふぁにたてかけてあるひじょうに)

よさそうなものですが」彼はにっこりしてソファに立てかけてある非常に

(おおきなひがさをゆびさした。「あれがろうばのふんそうのいちぶです」かれはいった。)

大きな日傘を指差した。「あれが老婆の扮装の一部です」彼は言った。

(「しかしようするにどういうことなんだ?びりー」びりーはこっかきみつをかたる)

「しかし要するにどういうことなんだ?ビリー」ビリーは国家機密を語る

(じんぶつのようにこえをひそめた。「あなたにおはなしするのはかまいません。)

人物のように声を潜めた。「あなたにお話しするのは構いません。

(でもほかのひとにはなしてはだめですよ。あのおうかんだいやじけんです」)

でも他の人に話しては駄目ですよ。あの王冠ダイヤ事件です」

(「なに、ーー10まんぽんどのごうとうじけんか?」)

「なに、 ―― 10万ポンドの強盗事件か?」

(「そうです。とりかえさなければなりません。なんと、)

「そうです。取り返さなければなりません。なんと、

(しゅしょうとないむだいじんがそろってそのそふぁにすわっていました。ほーむずさんは)

首相と内務大臣がそろってそのソファに座っていました。ホームズさんは

(ふたりにひじょうにていねいでした。すぐにふたりをおちつかせて、できることは)

二人に非常に丁寧でした。すぐに二人を落ち着かせて、できることは

(なんでもするとやくそくしました。そこに、かんとるまーきょうが・・・」「ああ!」)

何でもすると約束しました。そこに、カントルマー卿が・・・」「ああ!」

(「そうです、どういういみかわかるでしょう。いわせてもらえれば、)

「そうです、どういう意味か分かるでしょう。言わせてもらえれば、

(すくいがたいひとです。しゅしょうとはうまくやっていけます。れいぎただしくしんせつなひと)

救い難い人です。首相とは上手くやっていけます。礼儀正しく親切な人

(みたいですし、ないむだいじんにもいやなところはありません。しかしあのかっかには)

みたいですし、内務大臣にも嫌な所はありません。しかしあの閣下には

(がまんなりません。ほーむずさんもおなじですよ。いいですか、)

我慢なりません。ホームズさんも同じですよ。いいですか、

(かれはほーむずさんをしんようせずにやとうことをはんたいしたんです。)

彼はホームズさんを信用せずに雇うことを反対したんです。

(かれはむしろほーむずさんがしっぱいすればいいとおもっています」)

彼はむしろホームズさんが失敗すればいいと思っています」

(「ほーむずはそれをしっているのか?」「ほーむずさんはしるひつようがあることは)

「ホームズはそれを知っているのか?」「ホームズさんは知る必要があることは

(なんでもごぞんじです」「そうか、ほーむずがうまくやってかんとるまーきょうの)

何でもご存知です」「そうか、ホームズが上手くやってカントルマー卿の

(はなをあかすようにねがおう。ところで、びりー、まどをよこぎっているあのかーてんは)

鼻を明かすように願おう。ところで、ビリー、窓を横切っているあのカーテンは

(なんのためのものだ?」「ほーむずさんがみっかまえにかけさせたんです。)

何のためのものだ?」「ホームズさんが三日前にかけさせたんです。

(あのうしろにちょっとおもしろいものがあるんです」びりーはまえにでて)

あの後ろにちょっと面白いものがあるんです」ビリーは前に出て

(はりだしまどのくぼんだばしょをかくしていたかーてんをあけた。)

張り出し窓のくぼんだ場所を隠していたカーテンを開けた。

(わとそんはかせはおどろきのこえをこらえることができなかった。そこにはほーむずの)

ワトソン博士は驚きの声をこらえることが出来なかった。そこにはホームズの

(ふくせいがあった。がうんをはじめすべてがそっくりだった。かれのかおは)

複製があった。ガウンをはじめすべてがそっくりだった。彼の顔は

(よんぶんのさんほどまどのほうにむけられ、あたかもみえないほんを)

四分の三ほど窓の方に向けられ、あたかも見えない本を

(よんでいるかのようにうつむき、からだはひじかけいすにふかくしずみこんでいた。)

読んでいるかのようにうつむき、体は肘掛け椅子に深く沈みこんでいた。

(びりーはあたまをとりはずしてもちあげた。「いきているようにみせるために、)

ビリーは頭を取り外して持ち上げた。「生きているように見せるために、

(これをいろんなかくどにつけるんです。ぶらいんどがさがっていたから)

これをいろんな角度につけるんです。ブラインドが下がっていたから

(これをもちあげたりしたんですよ。もしぶらいんどをあげたら、)

これを持ち上げたりしたんですよ。もしブラインドを上げたら、

(みちのむこうからでもまるみえですから」「いぜん、これににたものをつかったな」)

道の向こうからでも丸見えですから」「以前、これに似た物を使ったな」

(「ぼくがくるまえですね」びりーはいった。かれはまどのかーてんをひらいて)

「僕が来る前ですね」ビリーは言った。彼は窓のカーテンを開いて

(とおりをのぞきこんだ。「むこうがわにこちらをみはっているひとたちがいます。)

通りを覗き込んだ。「向こう側にこちらを見張っている人たちがいます。

(あのまどにひとりいるのがみえます。ごじぶんでごらんください」)

あの窓に一人いるのが見えます。ご自分で御覧下さい」

(わとそんがいっぽあしをふみだしたとき、しんしつのとびらがひらきほーむずのせのたかい)

ワトソンが一歩足を踏み出した時、寝室の扉が開きホームズの背の高い

(やせたからだがあらわれた。かれのかおいろはわるくやつれていた。しかしあしどりとたいどは)

やせた体が現れた。彼の顔色は悪くやつれていた。しかし足取りと態度は

(むかしのようにいきおいよかった。ひととびでかれはまどぎわまでいき、もういちどぶらいんどを)

昔のように勢いよかった。一飛びで彼は窓際まで行き、もう一度ブラインドを

(おろした。「もういいだろう、びりー」かれはいった。「さっきおまえに)

下ろした。「もういいだろう、ビリー」彼は言った。「さっきお前に

(いのちのきけんがあったんだぞ。いまはまだおまえにしなれてはこまる。さて、わとそん、)

命の危険があったんだぞ。今はまだお前に死なれては困る。さて、ワトソン、

(きみのもとのすみかでもういちどあうのはうれしいな。きみはけっていてきなしゅんかんにやってきた」)

君の元の住処でもう一度会うのは嬉しいな。君は決定的な瞬間にやってきた」

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