ボヘミアの醜聞 7

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投稿者投稿者大樹野いいね0お気に入り登録
プレイ回数3032難易度(5.0) 4038打 長文
【シャーロック・ホームズの冒険】より
長文なので、読書感覚でお楽しみください

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問題文

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(「ぼくははんぶんひきずられるようにしてさいだんまでのぼらされた。)

「僕は半分引きずられるようにして祭壇まで登らされた。

(じょうきょうがのみこめないまま、みみもとでささやかれたとおりにへんとうし、)

状況が飲み込めないまま、耳元でささやかれた通りに返答し、

(なにひとつしらないことのほしょうにんとなった。ようするにみこんじょせい)

何一つ知らないことの保証人となった。要するに未婚女性

(あいりーん・あどらーとどくしんだんせいごどふりー・のーとんのけっこんを)

アイリーン・アドラーと独身男性ゴドフリー・ノートンの結婚を

(せいりつさせるえんじょをしていた。それはすべていっしゅんのことだった。)

成立させる援助をしていた。それはすべて一瞬のことだった。

(ぼくのかたがわにはれいをいっているおとこが、はんたいがわにはじょせいが、)

僕の片側には礼を言っている男が、反対側には女性が、

(しんぷはしょうめんでぼくにほほえみかけている。それはぼくがうまれてから)

神父は正面で僕に微笑みかけている。それは僕が生まれてから

(おちいったなかでもっともばかばかしいたちばだった。さっきぼくがわらったのは、)

陥った中で最も馬鹿馬鹿しい立場だった。さっき僕が笑ったのは、

(これをおもいだしたからだ。どうやら、かれらのけっこんきょかをだすのに)

これを思い出したからだ。どうやら、彼らの結婚許可を出すのに

(なにかけいしきがととのわないてんがあった。それでぼくしはだれかしょうにんの)

なにか形式が整わない点があった。それで牧師は誰か証人の

(たちあいなしにけっこんをみとめることをだんことしてきょひした。)

立会いなしに結婚を認める事を断固として拒否した。

(そこへぼくがうまいぐあいにあらわれたのでしんろうはろじょうにとびだして)

そこへ僕が上手い具合に現れたので新郎は路上に飛び出して

(かいぞえにんをさがさなくてよくなったわけだ。)

介添え人を探さなくてよくなったわけだ。

(しんぷはぼくにそぶりんきんかをくれたよ。このできごとの)

新婦は僕にソブリン金貨をくれたよ。この出来事の

(きねんにかいちゅうどけいのくさりにつけてもちあるくつもりだ」)

記念に懐中時計の鎖につけて持ち歩くつもりだ」

(「それはまったくよきしないてんかいだな」わたしはいった。)

「それは全く予期しない展開だな」私は言った。

(「で、それからどうなった?」「ここで、ぼくはじぶんの)

「で、それからどうなった?」「ここで、僕は自分の

(けいかくがしんこくなきょういにさらされていることをしった。)

計画が深刻な脅威にさらされていることを知った。

(ふたりはすぐにもしゅっぱつしそうだったから、こちらとしては)

二人はすぐにも出発しそうだったから、こちらとしては

(ひじょうにすばやくだんことしたしゅだんにうったえるしかなくなっている。)

非常に素早く断固とした手段に訴えるしかなくなっている。

など

(しかし、きょうかいのいりぐちでふたりはわかれた。かれはてんぷるにもどり、)

しかし、教会の入り口で二人は別れた。彼はテンプルに戻り、

(かのじょはじたくへむかった。「いつもどおり5じにあのこうえんで」)

彼女は自宅へ向かった。『いつもどおり5時にあの公園で』

(かのじょはさりぎわにかれにいった。それいがいはきこえなかった。)

彼女は去り際に彼に言った。それ以外は聞こえなかった。

(ふたりはそれぞれべつほうこうにさり、ぼくはじぶんのてはずをととのえにでかけた」)

二人はそれぞれ別方向に去り、僕は自分の手筈を整えに出かけた」

(「どんな?」「こーるどびーふとびーるをいっぱいだ」)

「どんな?」「コールドビーフとビールを一杯だ」

(かれはべるをならしながらこたえた。)

彼はベルを鳴らしながら答えた。

(「いそがしくてしょくじのことをかんがえるまもなかった。しかもこんばんは)

「忙しくて食事のことを考える間もなかった。しかも今晩は

(さらにいそがしくなりそうだ。ところで、わとそん、)

さらに忙しくなりそうだ。ところで、ワトソン、

(きみにきょうりょくをたのみたいのだが」「よろこんで」)

君に協力を頼みたいのだが」「喜んで」

(「ほうにふれることでもかまわないか?」「まったくかまわん」)

「法に触れることでも構わないか?」「全く構わん」

(「たいほのきけんがあっても?」「せいとうなりゆうがあれば」)

「逮捕の危険があっても?」「正当な理由があれば」

(「りゆうはすばらしいものがある」「では、おもうようにつかってくれ」)

「理由は素晴らしいものがある」「では、思うように使ってくれ」

(「きみはたよりになるとおもっていたよ」「で、どうしてほしいんだ?」)

「君は頼りになると思っていたよ」「で、どうして欲しいんだ?」

(「たーなーふじんがしょくじをもってきたら、はっきりさせるよ。きたきた」)

「ターナー婦人が食事を持ってきたら、はっきりさせるよ。来た来た」

(かれはたーなーふじんがよういしたかんたんなしょくじをむさぼるようにたべながら)

彼はターナー婦人が用意した簡単な食事をむさぼるように食べながら

(いった。「じかんがそんなにないから、たべながらはなさないといけない。)

言った。「時間がそんなにないから、食べながら話さないといけない。

(もうすぐごじだ。にじかんごにはせんとうげんばにいなければならない。)

もうすぐ五時だ。二時間後には戦闘現場にいなければならない。

(あいりーんじょうは、いまはふじんというべきかな、しちじにがいしゅつから)

アイリーン嬢は、今は夫人と言うべきかな、七時に外出から

(かえってくる。ぶらいあに・ろっじでかのじょとあうひつようがある」)

帰ってくる。ブライアニ・ロッジで彼女と会う必要がある」

(「それでどうする?」「それはぼくにまかせておいてくれ。)

「それでどうする?」「それは僕にまかせておいてくれ。

(すでにてはずはととのえてある。いってんだけどうしてもいっておかねばならない。)

すでに手筈は整えてある。一点だけどうしても言っておかねばならない。

(なにがおきてもぜったいにかいにゅうしてはいけない。いいか?」)

何が起きても絶対に介入してはいけない。いいか?」

(「ちゅうりつをたもつということだな?」「ともかくなにもしない。たぶんちょっとした)

「中立を保つということだな?」「ともかく何もしない。多分ちょっとした

(いいあいがあるとおもう。それにはかかわるな。けっきょくぼくをへやにはこびいれる)

言い合いがあると思う。それには関わるな。結局僕を部屋に運び入れる

(というけっかになる。4、5ふんしたらいまのまどがあく。)

という結果になる。4、5分したら居間の窓が開く。

(きみはひらいたまどのちかくにじんどっていてくれ」「わかった」)

君は開いた窓の近くに陣取っていてくれ」「分かった」

(「ぼくからめをはなすな。ぼくはきみからずっとみえているはずだから」「わかった」)

「僕から目を離すな。僕は君からずっと見えているはずだから」「分かった」

(「そしてぼくがてをあげたら、そう、ぼくがわたすものをへやになげいれろ。)

「そして僕が手を上げたら、そう、僕が渡すものを部屋に投げ入れろ。

(それとどうじにおおごえでかじだとさけぶ。ここまではだいじょうぶだな?」)

それと同時に大声で火事だと叫ぶ。ここまでは大丈夫だな?」

(「まったくもんだいない」)

「まったく問題ない」

(「こわいことはなにもない」かれはぽけっとからながいはまきがたのぶったいを)

「怖いことは何も無い」彼はポケットから長い葉巻型の物体を

(とりだしながらいった。「これはありふれたはいかんこうようのはつえんとうだ。)

取り出しながら言った。「これはありふれた配管工用の発煙筒だ。

(りょうがわにらいかんをつけてじどうてんかできるようにしてある。)

両側に雷管をつけて自動点火できるようにしてある。

(きみがたんとうするしごとはこれだけだ。きみがかじだというさけびごえをあげると、)

君が担当する仕事はこれだけだ。君が火事だという叫び声をあげると、

(たくさんのにんげんがそれをふくしょうしてくれる。きみはとおりのはずれまであるいて)

たくさんの人間がそれを復唱してくれる。君は通りのはずれまで歩いて

(いってかまわない。ぼくは10ふんできみとごうりゅうする。わかりやすくせつめいできたか?」)

行ってかまわない。僕は10分で君と合流する。分かりやすく説明できたか?」

(「わたしはちゅうりつをたもつ、まどのちかくにいく、きみをちゅうしして、あいずでこのぶったいを)

「私は中立を保つ、窓の近くに行く、君を注視して、合図でこの物体を

(なげいれる、つぎにかじだとさけびごえをあげる、そしてとおりのかどできみをまつ」)

投げ入れる、次に火事だと叫び声をあげる、そして通りの角で君を待つ」

(「そのとおりだ」「それならまかしておいてくれ」)

「その通りだ」「それなら任しておいてくれ」

(「それはよかった。そうだ、たぶん、そろそろつぎにひとしばいうつやくの)

「それはよかった。そうだ、多分、そろそろ次に一芝居打つ役の

(じゅんびをするじかんだ」かれはしんしつにきえ、あいそのよい、)

準備をする時間だ」彼は寝室に消え、愛想のよい、

(おひとよしのぷろてすたんとぼくしになってすうふんごにもどってきた。)

お人好しのプロテスタント牧師になって数分後に戻ってきた。

(つばひろのくろいぼうし、だぶだぶのずぼん、しろいたい、おもいやりに)

ツバ広の黒い帽子、だぶだぶのズボン、白いタイ、思いやりに

(みちたえがお、めをそらさずにみつめてくる、しんせつだがおせっかいやきという、)

満ちた笑顔、目をそらさずに見つめてくる、親切だがお節介やきという、

(てんけいてきなふんいきのぼくし、かれはこのようなすがたになっていた。)

典型的な雰囲気の牧師、彼はこのような姿になっていた。

(これはかのめいゆうじょん・へあぐらいしかひってきするものがない。)

これはかの名優ジョン・ヘアぐらいしか匹敵するものがない。

(それはほーむずがたんにいふくをかえたというだけではない。)

それはホームズが単に衣服を替えたというだけではない。

(ひょうじょう、しぐさ、せいかくぜんたいがえんじるべきあたらしいやくがらにおうじてかんぜんに)

表情、しぐさ、性格全体が演じるべき新しい役柄に応じて完全に

(かわっているようにおもえた。かれがはんざいのせんもんかになったとき、)

変わっているように思えた。彼が犯罪の専門家になった時、

(えんげきかいはゆうしゅうなだんゆうをうしない、どうじにかがくかいはするどいりろんかをうしなったのだ。)

演劇界は優秀な男優を失い、同時に科学界は鋭い理論家を失ったのだ。

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