【洒落怖】異形のモノ
問題文
(おれがまいにちつうきんにつかってるみちがある。)
俺が毎日通勤に使ってる道がある。
(いなかだからこうつうりょうはたいしたことないし)
田舎だから交通量は大したことないし
(ほこうしゃなんてひとりもいない。)
歩行者なんて一人もいない。
(でもみちはばだけはむだにひろい)
でも道幅だけは無駄に広い
(いなかにありがちなばいぱす。)
田舎にありがちなバイパス。
(こうこうじだいからげんざい(27さい)まで)
高校時代から現在(27歳)まで
(まいにちといっていいほどつかっているみちだから、)
毎日といっていいほど使っている道だから、
(そのひもとくになにもかんがえずくるまでつうきん。)
その日も特になにも考えず車で通勤。
(このときはなにごともなかった。)
このときは何事もなかった。
(もんだいはかえりみち。)
問題は帰り道。
(そのひはきゅうなしごとで)
その日は急な仕事で
(すこしかえりがおそくなった(23じごろ))
少し帰りが遅くなった(23時頃)
(がいとうもろくになく、)
街灯もロクになく、
(じかんもじかんなのでくるまもほとんどはしってない。)
時間も時間なので車もほとんど走ってない。
(もちろんほこうしゃなんてひとりもいない・・・)
もちろん歩行者なんて一人もいない…
(とおもってたら)
と思ってたら
(ひとりのせのたかいひとが)
一人の背の高い人が
(おうだんほどうのてまえでたちどまっていた。)
横断歩道の手前で立ち止まっていた。
(こんなじかんにこんなくらいみちをさんぽか~)
こんな時間にこんな暗い道を散歩か~
(ものずきやな~)
物好きやな~
(なんてかんがえながら)
なんて考えながら
(おれはしゃないでしんごうがあおになるのをまっていた。)
俺は車内で信号が青になるのを待っていた。
(・・・が、よくかんがえるとおかしい。)
…が、よく考えるとおかしい。
(おれがじどうしゃようのしんごうにひっかかってとまっているんだから)
俺が自動車用の信号に引っ掛かって止まっているんだから
(ほこうしゃしんごうはあおのはず。)
歩行者信号は青のはず。
(なぜわたらないんだ?)
何故渡らないんだ?
(くらいのでめをこらしてそのひとをみると、)
暗いので目を凝らしてその人を見ると、
(ぜんしんまっしろ。)
全身真っ白。
(しろいふくをきているとかそういうことじゃなく、)
白い服を着ているとかそういうことじゃなく、
(ただひたすらしろい。)
ただひたすら白い。
(つぎのしゅんかんおれはぞっとした。)
次の瞬間俺はゾッとした。
(こいつりょううでがねぇ!)
こいつ両腕がねぇ!
(しかもしんちょうがたかいというじげんじゃない、)
しかも身長が高いという次元じゃない、
(ほそながすぎる。)
細長すぎる。
(あとからおもいだすと)
後から思い出すと
(かおまでまっしろで、)
顔まで真っ白で、
(のっぺらぼうじょうたいだったきがする。)
のっぺらぼう状態だった気がする。
(ぶきみでしかたない。)
不気味で仕方ない。
(しんごうがあおになったしゅんかん)
信号が青になった瞬間
(おれはあくせるをべたふみしてきゅうはっしん。)
俺はアクセルをベタ踏みして急発進。
(あんなものをみたのははじめてだったので)
あんなものを見たのは初めてだったので
(いっこくもはやくそのばをはなれれたかった。)
一刻も早くその場を離れたかった。
(さいどみらーにうつるしろいやつが)
サイドミラーに映る白い奴が
(どんどんちいさくなっていく。)
どんどん小さくなっていく。
(べたなかいだんばなしのように)
ベタな怪談話のように
(おっかけてくるけはいもない。)
追っかけてくる気配もない。
(おれはほっとしたが)
俺はホッとしたが
(からだのふるえがとまらない。)
体の震えが止まらない。
(あたたかいのみものでもかおうと)
温かい飲み物でも買おうと
(ばいぱすぞいにあるせぶんいれぶんにくるまをとめた。)
バイパス沿いにあるセブンイレブンに車を停めた。
(くるまからおりると)
車から降りると
(すぐちかくのばすていにあいつがいた。)
すぐ近くのバス停にあいつがいた。
(こちらをみているのかどうかはさっぱりわからないが、)
こちらを見ているのかどうかはさっぱりわからないが、
(こんびにのひかりのせいで)
コンビニの光のせいで
(さきほどよりせんめいにやつのすがたがみえた。)
先程より鮮明に奴の姿が見えた。
(やっぱりりょううでがない。)
やっぱり両腕がない。
(そしてじょうはんしんだけ)
そして上半身だけ
(さゆうにゆらゆらゆれている。)
左右にゆらゆら揺れている。
(やばい、)
ヤバイ、
(ちょっかんてきにそうおもったおれは)
直感的にそう思った俺は
(おりたばかりのくるまにとびのり)
降りたばかりの車に飛び乗り
(いえまでちょっきした。)
家まで直帰した。
(じたくににげるようにかけこむと)
自宅に逃げるように駆け込むと
(いまにははがすわっていた。)
居間に母が座っていた。
(ははがふりむきおれにいった。)
母が振り向き俺に言った。
(あんたどぎゃんした?)
あんたどぎゃんした?
(はなぢたれながしとーがね。)
鼻血垂れ流しとーがね。
(はなぢがでたのなんてうまれてはじめてだった。)
鼻血が出たのなんて産まれて初めてだった。
(これがあいつのせいなのか、)
これがあいつのせいなのか、
(それともただのぐうぜんかはわからない。)
それともただの偶然かはわからない。
(しかしいずれにしても)
しかしいずれにしても
(あのみちはにどとつかわない。)
あの道は二度と使わない。
(よくかんがえると)
よく考えると
(あいつをさいしょにみたこうさてんのすこしおくにはかいだんがあって、)
あいつを最初に見た交差点の少し奥には階段があって、
(そのさきにはくさがおいしげりていれなどまったくされていないじんじゃがある。)
その先には草がおいしげり手入れなど全くされていない神社がある。
(あいつはあのじんじゃかんけいのなにかだったのかもしれない。)
あいつはあの神社関係の何かだったのかもしれない。