江戸川乱歩:人間椅子2

奥様、~なるでございましょう。まで。3に続きます。
順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | いんちき | 6522 | S+ | 6.8 | 95.6% | 157.3 | 1075 | 49 | 26 | 2025/03/05 |
関連タイピング
-
少しでも、好きになってもらえれば幸いです。
プレイ回数239長文かな426打 -
岡本綺堂 半七捕物帳シリーズ
プレイ回数960長文3799打 -
好評だった小説の続きです
プレイ回数4891長文797打 -
シートン動物記
プレイ回数959長文1876打 -
夏目漱石「こころ」3-37
プレイ回数795長文かな1865打 -
江戸川乱歩の小説「心理試験」です。
プレイ回数1215長文1076打 -
夏目漱石「こころ」3-36
プレイ回数739長文1664打 -
少年探偵団シリーズ第2作品『少年探偵団』
プレイ回数592長文4370打
問題文
(おくさま、)
奥様、
(おくさまのほうでは、すこしもごぞんじのないおとこから、)
奥様の方では、少しも御存じのない男から、
(とつぜん、このようなぶしつけなおてがみを、さしあげますつみを、)
突然、此様な無躾な御手紙を、差上げます罪を、
(いくえにもおゆるしくださいませ。)
幾重にもお許し下さいませ。
(こんなことをもうしあげますと、おくさまは、)
こんなことを申上げますと、奥様は、
(さぞかしびっくりなさることでございましょうが、)
さぞかしびっくりなさる事で御座いましょうが、
(わたしはいま、あなたのまえに、)
私は今、あなたの前に、
(わたしのおかしてきました、よにもふしぎなざいあくを、)
私の犯して来ました、世にも不思議な罪悪を、
(こくはくしようとしているのでございます。)
告白しようとしているのでございます。
(わたしはすうかげつのあいだ、まったくにんげんかいからすがたをかくして、)
私は数か月の間、全く人間界から姿を隠して、
(ほんとうに、あくまのようなせいかつをつづけてまいりました。)
本当に、悪魔の様な生活を続けて参りました。
(もちろん、ひろいせかいにだれひとり、)
勿論、広い世界に誰一人、
(わたしのしょぎょうをしるものはありません。)
私の所業を知るものはありません。
(もし、なにごともなければ、わたしは、このままえいきゅうに、)
若し、何事もなければ、私は、このまま永久に、
(にんげんかいにたちかえることはなかったかもしれないのでございます。)
人間界に立帰ることはなかったかも知れないのでございます。
(ところが、ちかごろになりまして、)
ところが、近頃になりまして、
(わたしのこころにあるふしぎなへんかがおこりました。)
私の心にある不思議な変化が起りました。
(そして、どうしても、この、わたしのいんがのみのうえを、)
そして、どうしても、この、私の因果の身の上を、
(ざんげしないではいられなくなりました。)
懺悔しないではいられなくなりました。
(ただ、かようにもうしましたばかりでは、)
ただ、かように申しましたばかりでは、
(いろいろごふしんにおぼしめすてんもございましょうが、)
色々御不審に思召す点もございましょうが、
(どうか、ともかくも、)
どうか、兎も角も、
(このてがみをおわりまでおよみくださいませ。)
この手紙を終りまで御読み下さいませ。
(そうすれば、なぜ、わたしがそんなきもちになったのか。)
そうすれば、何故、私がそんな気持ちになったのか。
(またなぜ、このこくはくを、ことさらおくさまにきいていただかねばならぬのか、)
又何故、この告白を、殊更奥様に聞いて頂かねばならぬのか、
(それらのことが、ことごとくめいはくになるでございましょう。)
それらのことが、悉く明白になるでございましょう。