白痴 20

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問題文
(けれどもまいにちけいかいけいほうがなる。)
けれども毎日警戒警報がなる。
(ときにはくうしゅうけいほうもなる。)
時には空襲警報もなる。
(するとかれはひじょうにふゆかいなせいしんじょうたいになるのであった。)
すると彼は非常に不愉快な精神状態になるのであった。
(それはかれのるすたくのちかいところにくうしゅうがあり)
それは彼の留守宅の近いところに空襲があり
(しらないへんかがげんにおこっていないかというけねんであったが、)
知らない変化が現に起っていないかという懸念であったが、
(そのけねんのゆいいつのりゆうはただおんながとりみだして、)
その懸念の唯一の理由はただ女がとりみだして、
(とびだしてすべてがきんりんへしれわたっていないかというふあんなのだった。)
とびだしてすべてが近隣へ知れ渡っていないかという不安なのだった。
(かれにはわすれえぬふたつのはくちのかおがあった。)
彼には忘れ得ぬ二つの白痴の顔があった。
(まちかどをまがるときだの、かいしゃのかいだんをのぼるときだの、)
街角を曲る時だの、会社の階段を登る時だの、
(でんしゃのひとごみをぬけでるときだの、)
電車の人ごみを脱けでる時だの、
(はからざるずいしょにふたつのかおをふとおもいだし、)
はからざる随所に二つの顔をふと思いだし、
(そのたびにかれのいっさいのしねんがこおり、)
そのたびに彼の一切の思念が凍り、
(そしていっしゅんのぎゃくじょうがぜつぼうてきにこおりついているのであった。)
そして一瞬の逆上が絶望的に凍りついているのであった。
(そのかおのひとつはかれがはじめてはくちのにくたいにふれたときのはくちのかおだ。)
その顔の一つは彼が始めて白痴の肉体にふれた時の白痴の顔だ。
(そしてそのできごとじたいはそのよくじつには)
そしてその出来事自体はその翌日には
(いちねんむかしのきおくのかなたへとおざけられているのであったが、)
一年昔の記憶の彼方へ遠ざけられているのであったが、
(ただかおだけがきりはなされておもいだされてくるのである。)
ただ顔だけが切り放されて思いだされてくるのである。
(そのひからはくちのおんなはただまちもうけているにくたいであるにすぎず)
その日から白痴の女はただ待ちもうけている肉体であるにすぎず
(そのほかのなんのせいかつも、)
その外の何の生活も、
(ただひときれのかんがえすらもないのであった。)
ただひときれの考えすらもないのであった。
(つねにただまちもうけていた。)
常にただ待ちもうけていた。
(いざわのてがおんなのにくたいのいちぶにふれるというだけで、)
伊沢の手が女の肉体の一部にふれるというだけで、
(おんなのいしきするぜんぶのことはにくたいのこういであり、)
女の意識する全部のことは肉体の行為であり、
(そしてしんたいも、そしてかおも、ただまちもうけているのみであった。)
そして身体も、そして顔も、ただ待ちもうけているのみであった。
(おどろくべきことに、しんや、いざわのてがおんなにふれるというだけで、)
驚くべきことに、深夜、伊沢の手が女にふれるというだけで、
(ねむりおこしれたにくたいがどういつのはんのうをおこし、)
眠り痴しれた肉体が同一の反応を起し、
(にくたいのみはつねにいき、)
肉体のみは常に生き、
(ただまちもうけているのである。ねむりながらも!)
ただ待ちもうけているのである。眠りながらも!
(けれども、めざめているおんなのあたまになにごとがかんがえられているかといえば、)
けれども、目覚めている女の頭に何事が考えられているかと云えば、
(もともとただのくうきょであり、)
元々ただの空虚であり、
(あるものはただたましいのこんすいと、)
在るものはただ魂の昏睡と、
(そしていきているにくたいのみではないか。)
そして生きている肉体のみではないか。
(めざめたときもたましいはねむり、ねむったときもそのにくたいはめざめている。)
目覚めた時も魂はねむり、ねむった時もその肉体は目覚めている。
(あるものはただむじかくなにくよくのみ。)
在るものはただ無自覚な肉慾のみ。
(それはあらゆるじかんにめざめ、)
それはあらゆる時間に目覚め、
(むしのごときうまざるはんのうのしゅんどうをおこすにくたいであるにすぎない。)
虫の如き倦(う)まざる反応の蠢動を起す肉体であるにすぎない。