「白昼夢」2 江戸川乱歩
江戸川乱歩の小説「白昼夢」です。
今はあまり使われていない、漢字や読み方、表現などがありますが、原文のままです。
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問題文
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(ちかづくにしたがって、おおぜいのえがおときわだったたいしょうをしめしているひとつの)
近付に従って、大勢の笑顔と際立った対照を示している一つの
(まじめくさったかおをはっけんした。そのあおざめたかおは、くちをとがらせて、)
真面目くさった顔を発見した。その青ざめた顔は、口をとがらせて、
(なにごとかねっしんにべんじたてていた。やしのこうじょうにしてはあまりにねっしんすぎた。)
何事か熱心に弁じ立てていた。香具師の口上にしてはあまりに熱心過ぎた。
(しゅうきょうかのつじせっぽうにしてはけんぶつのたいどがふきんしんだった。)
宗教家の辻説法にしては見物の態度が不謹慎だった。
(いったい、これはなにごとがはじまっているのだ。)
一体、これは何事が始まっているのだ。
(わたしはしらずしらずはんえんのぐんしゅうにまじって、ちょうもんしゃのひとりとなっていた。)
私は知らず知らず半円の群衆に混って、聴聞者の一人となっていた。
(えんぜつしゃは、あおっぽいくすんだいろのせるに、きいろのかくおびをきちんとしめた、)
演説者は、青っぽいくすんだ色のセルに、黄色の角帯をキチンと締めた、
(ふうさいのよい、みたところそうとうきょうようもありそうなしじゅうおとこであった。)
風采のよい、見た所相当教養もありそうな四十男であった。
(かつらのようにきれいにひからせたかみのしたに、なかだかのらっきょうがたのあおざめたかお、)
鬘の様に綺麗に光らせた頭髪の下に、中高の薤形の青ざめた顔、
(ほそいめ、りっぱなくちひげでくまどったまっかなくちびる、そのくちびるがぶさほうにつばきを)
細い眼、立派な口髭で隈どった真赤な唇、その唇が不作法につばきを
(とばしてばくばくうごいているのだ。あせをかいたたかいはな、そして、)
飛ばしてバクバク動いているのだ。汗をかいた高い鼻、そして、
(きもののすそからは、すなぼこりにまみれたはだしのあしがのぞいていた。)
着物の裾からは、砂埃にまみれた跣足の足が覗いていた。
(「・・・・・・おれはどんなにおれのにょうぼうをあいしていたか」)
「・・・・・・俺はどんなに俺の女房を愛していたか」
(えんぜつはいまやこうちょうにたっしているらしくみえた。おとこはむりょうのかんがいをこめて)
演説は今や高調に達しているらしく見えた。男は無量の感慨を罩めて
(こういったまま、しばらくけんぶつたちのかおからかおをみまわしていたが、やがて、)
こういったまま、暫く見物達の顔から顔を見廻していたが、やがて、
(じもんにこたえるようにつづけた。)
自問に答える様に続けた。
(「ころすほどあいしていたのだ!」「・・・・・・かなしいかな、あのおんなはうわきものだった」)
「殺す程愛していたのだ!」「・・・・・・悲しい哉、あの女は浮気者だった」
(どっとけんぶつのあいだにわらいごえがおこったので、そのつぎの)
ドッと見物の間に笑い声が起ったので、其次の
(「いつよそのおとことくっつくかもしれなかった」)
「いつ余所の男とくッつくかも知れなかった」
(ということばはあやうくききもらすところだった。)
という言葉は危く聞き洩す所だった。
など
(「いや、もうとっくにくっついていたかもしれないのだ」)
「いや、もうとっくにくッついていたかも知れないのだ」
(そこでまた、まえにもましたたかわらいがおこった。)
そこで又、前にもました高笑いが起った。
(「おれはしんぱいでしんぱいで」かれはそういってかぶきやくしゃのようにくびをふって)
「俺は心配で心配で」彼はそういって歌舞伎役者の様に首を振って
(「しょうばいもてにつかないんだ。おれはまいばんねどこのなかでにょうぼうにたのんだ。)
「商売も手につかないんだ。俺は毎晩寝床の中で女房に頼んだ。
(てをあわせてたのんだ」しょうせい「どうかちかってくれ。おれよりそとのおとこには)
手を合せて頼んだ」笑声「どうか誓って呉れ。俺より外の男には
(こころをうつさないとちかってくれ・・・・・・しかし、あのおんなはどうしてもわたしのたのみを)
心を移さないと誓って呉れ・・・・・・併し、あの女はどうしても私の頼みを
(きいてはくれない。まるでしょうばいにんのようなたくみなきょうたいで、てれんてくだで、)
聞いては呉れない。まるで商売人の様な巧みな嬌態で、手練手管で、
(そのばそのばをごまかすばかりです。だが、それが、)
その場その場をごまかすばかりです。だが、それが、
(てれんてくだが、どんなにわたしをひきつけたか・・・・・・」)
手練手管が、どんなに私を惹きつけたか・・・・・・」