ニワカアメ

(ふいにふりだすあめのおと)

ふいに降り出す雨の音

(こえをあげてなくくもたち)

声をあげて鳴く雲たち

(どうしてだろうあなたのいないひびはなれたはずなのに)

どうしてだろうあなたのいない日々は慣れたはずなのに

(むねにしずめたあくまが)

胸に沈めた悪魔が

(こうしてかおをあらわすのは)

こうして顔を表すのは

(なにもかもをおいてこれなかったばつなのでしょうか)

何もかもを置いて来れなかった罰なのでしょうか

(あおいそらのしたそのふちで)

青い空の下その淵で

(あなたはだれかといきをする)

あなたは誰かと息をする

(しあわせですか)

しあわせですか

(わたしのこどくはおもたかったでしょうか)

わたしの孤独は重たかったでしょうか

(なきながらわらってわらってあるきました)

泣きながら笑って笑って歩きました

(やさしいにわかあめといっしょに)

やさしい俄雨と一緒に

(ただしろくにじむふうけいのように)

ただ白く滲む風景のように

(わたしはきえたかった)

わたしは消えたかった

(あなたからとおくとおくはなれたなら)

あなたから遠く遠く離れたなら

(このあめはとまるのでしょうか)

この雨は止まるのでしょうか

(わたしはまだふりそそぐあめのなかで)

わたしはまだ降り注ぐ雨の中で

(あなたをまってます)

あなたを待ってます

(ふたつそろえたかっぷと)

ふたつ揃えたカップと

(あなたのすきないろのはし)

あなたの好きな色の箸

(なにひとつがいろあせぬそのままねむりつづけてる)

何ひとつが色褪せぬそのまま眠り続けてる

(ごみをまとめたべらんだであなたのざんがいがゆれてる)

ゴミをまとめたベランダであなたの残骸が揺れてる

(いくあてないこのかんじょうごとすてられたらいいのに)

行く宛てないこの感情ごと捨てられたらいいのに

(なきながらわらってわらってあるきました)

泣きながら笑って笑って歩きました

(ひだまりにさくにじさがして)

ひだまりに咲く虹探して

(あなたなどおいつけないところまでわたしはいきたかった)

あなたなど追い着けない所までわたしは行きたかった

(あめのなかはしるはしるかかとのおと)

雨の中走る走る踵の音

(あなたにはきこえるでしょうか)

あなたには聞こえるでしょうか

(もうにどともどれないかえりみちで)

もう二度と戻れない帰り道で

(わたしはさまよう)

わたしは彷徨う

(なきながらわらってわらってあるきました)

泣きながら笑って笑って歩きました

(やさしいにわかあめといっしょに)

やさしい俄雨と一緒に

(ただしろくにじむふうけいのようにわたしはきえたかった)

ただ白く滲む風景のようにわたしは消えたかった

(あなたからとおくとおくはなれたなら)

あなたから遠く遠く離れたなら

(このあめはとまるのでしょうか)

この雨は止まるのでしょうか

(わたしはまだふりそそぐあめのなかで)

わたしはまだ降り注ぐ雨の中で

(あなたをまってます)

あなたを待ってます

(あなたをまってます)

あなたを待ってます