「こころ」1-7 夏目漱石
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問題文
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(わたくしはぼちのてまえにあるなえばたけのひだりがわからはいって、)
私は墓地の手前にある苗畠の左側からはいって、
(りょうほうにかえでをうえつけたひろいみちをおくのほうへすすんでいった。)
両方に楓を植え付けた広い道を奥の方へ進んで行った。
(するとそのはずれにみえるちゃみせのなかからせんせいらしいひとがふいとでてきた。)
するとその端れに見える茶店の中から先生らしい人がふいと出て来た。
(わたくしはそのひとのめがねのふちがひにひかるまでちかくよっていった。)
私はその人の眼鏡の縁が日に光るまで近く寄って行った。
(そうしてだしぬけに「せんせい」とおおきなこえをかけた。)
そうして出し抜けに「先生」と大きな声を掛けた。
(せんせいはとつぜんたちどまってわたくしのかおをみた。)
先生は突然立ち留まって私の顔を見た。
(「どうして・・・、どうして・・・」)
「どうして…、どうして…」
(せんせいはおなじことばをにへんくりかえした。そのことばはしんかんとしたひるのなかに)
先生は同じ言葉を二遍繰り返した。その言葉は森閑とした昼の中に
(いようなちょうしをもってくりかえされた。わたくしはきゅうになんともこたえられなくなった。)
異様な調子をもって繰り返された。私は急に何とも応えられなくなった。
(「わたしのあとをつけてきたのですか。どうして・・・」)
「私の後をつけて来たのですか。どうして…」
(せんせいのたいどはむしろおちついていた。こえはむしろしずんでいた。)
先生の態度はむしろ落ち着いていた。声はむしろ沈んでいた。
(けれどもそのひょうじょうのなかにははっきりいえないようないっしゅのくもりがあった。)
けれどもその表情の中には判然いえないような一種の曇りがあった。
(わたくしはわたくしがどうしてここへきたかをせんせいにはなした。)
私は私がどうしてここへ来たかを先生に話した。
(「だれのはかへまいりにいったか、さいがそのひとのなをいいましたか」)
「誰の墓へ参りに行ったか、妻がその人の名をいいましたか」
(「いいえ、そんなことはなにもおっしゃいません」)
「いいえ、そんな事は何もおっしゃいません」
(「そうですか。ーーそう、それはいうはずがありませんね、)
「そうですか。ーーそう、それはいうはずがありませんね、
(はじめてあったあなたに。いうひつようがないんだから」)
始めて会ったあなたに。いう必要がないんだから」
(せんせいはようやくとくしんしたらしいようすであった。)
先生はようやく得心したらしい様子であった。
(しかしわたくしにはそのいみがまるでわからなかった。)
しかし私にはその意味がまるで解らなかった。
(せんせいとわたくしはとおりへでようとしてはかのあいだをぬけた。)
先生と私は通りへ出ようとして墓の間を抜けた。
など
(いさべらなになにのはかだの、しんぼくろぎんのはかだのというかたわらに、)
依撒伯拉何々の墓だの、神僕ロギンの墓だのという傍に、
(いっさいしゅじょうしつうぶっしょうとかいたとうばなどがたててあった。)
一切衆生悉有仏生と書いた塔婆などが建ててあった。
(ぜんけんこうしなになにというものもあった。)
全権公使何々というものもあった。
(わたくしはやすとくれつとほりつけたちいさいはかのまえで、「これはなんとよむんでしょう」)
私は安得烈と彫り付けた小さい墓の前で、「これは何と読むんでしょう」
(とせんせいにきいた。「あんどれとでもよませるつもりでしょうね」といって)
と先生に聞いた。「アンドレとでも読ませるつもりでしょうね」といって
(せんせいはくしょうした。)
先生は苦笑した。
(せんせいはこれらのぼひょうがあらわすひとさまざまのようしきにたいして、)
先生はこれらの墓標が現わす人種々の様式に対して、
(わたくしほどにこっけいもあいろにーもみとめてないらしかった。)
私ほどに滑稽もアイロニーも認めてないらしかった。
(わたくしがまるいはかいしだのほそながいみかげのひだのをさして、)
私が丸い墓石だの細長い御影の碑だのを指して、
(しきりにかれこれいいたがるのを、はじめのうちはだまってきいていたが、)
しきりにかれこれいいたがるのを、始めのうちは黙って聞いていたが、
(しまいに「あなたはしというじじつをまだまじめにかんがえたことがありませんね」)
しまいに「あなたは死という事実をまだ真面目に考えた事がありませんね」
(といった。わたくしはだまった。せんせいもそれぎりなんともいわなくなった。)
といった。私は黙った。先生もそれぎり何ともいわなくなった。