怪人二十面相11

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問題文

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(ぼくはひとごろしなんてしませんよ。」)

ぼくは人殺しなんてしませんよ。」

(といいながら、ぴすとるをへやのなかへなげこんで、)

といいながら、ピストルを部屋の中へ投げこんで、

(そのまますがたをけしてしまいました。にかいからにわへととびおりたのです。)

そのまま姿を消してしまいました。二階から庭へととびおりたのです。

(そうたろうしは、またしてもだしぬかれました。)

壮太郎氏は、またしても出しぬかれました。

(ぴすとるはおもちゃだったのです。さいぜんから、おもちゃの)

ピストルはおもちゃだったのです。さいぜんから、おもちゃの

(ぴすとるにおびえて、ひとをよぶこともできなかったのです。)

ピストルにおびえて、人を呼ぶこともできなかったのです。

(しかし、どくしゃしょくんはごきおくでしょう。ぞくのとびおりたまどというのは、)

しかし、読者諸君はご記憶でしょう。賊のとびおりた窓というのは、

(しょうねんそうじくんが、ゆめにみたあのまどです。そのしたには、そうじくんが)

少年壮二君が、夢にみたあの窓です。その下には、壮二君が

(しかけておいたてつのわなが、のこぎりのようなくちをひらいて、)

しかけておいた鉄のわなが、のこぎりのような口をひらいて、

(えものをまちがえているはずです。ゆめはまさゆめでした。)

えものをまちがえているはずです。夢は正夢でした。

(すると、もしかしたら、あのわなもなにかのやくにたつのではありますまいか。)

すると、もしかしたら、あのわなも何かの役にたつのではありますまいか。

(ああ、もしかしたら!)

ああ、もしかしたら!

(いけのなか)

池の中

(ぞくがぴすとるをなげだして、そとへとびおりたのをみると、)

賊がピストルを投げだして、外へとびおりたのを見ると、

(そうたろうしはすぐさま、まどのところへかけつけ、くらいにわをみおろしました。)

壮太郎氏はすぐさま、窓のところへかけつけ、暗い庭を見おろしました。

(くらいといっても、にわには、ところどころに、こうえんのじょうやとうのような、)

暗いといっても、庭には、ところどころに、公園の常夜灯のような、

(でんとうがついているので、ひとのすがたがみえぬほどではありません。)

電燈がついているので、人の姿が見えぬほどではありません。

(ぞくはとびおりたひょうしに、いちどたおれたようすですが、)

賊はとびおりたひょうしに、一度たおれたようすですが、

(すぐむくむくとおきあがって、ひじょうないきおいでかけだしました。)

すぐムクムクとおきあがって、ひじょうな勢いでかけだしました。

(ひじょうないきおいでかけだしました。ところが、あんのじょう、)

ひじょうな勢いでかけだしました。ところが、案のじょう、

など

(かれはれいのかだんへととびこんだのです。そして、に_さんぽかだんのなかを)

彼は例の花壇へととびこんだのです。そして、二_三歩花壇の中を

(はしったかとおもうと、たちまち、がちゃんというはげしいきんぞくの)

走ったかとおもうと、たちまち、ガチャンというはげしい金属の

(おとがして、ぞくのくろいかげは、もんどりうってたおれました。)

音がして、賊の黒い影は、もんどり打ってたおれました。

(「だれかいないか。ぞくだ。ぞくだ。にわへまわれ。」)

「だれかいないか。賊だ。賊だ。庭へまわれ。」

(そうたろうしがおおごえにどなりました。)

壮太郎氏が大声にどなりました。

(もし、わながなかったら、すばやいぞくは、とっくににげさって)

もし、わながなかったら、すばやい賊は、とっくに逃げさって

(いたことでしょう。そうじくんのこどもらしいおもいつきが、)

いたことでしょう。壮二君の子供らしい思いつきが、

(ぐうぜんこうをそうしたのです。ぞくが、わなをはずそうともがいてるあいだに、)

ぐうぜん功を奏したのです。賊が、わなをはずそうともがいてるあいだに、

(しほうからひとびとがかけつけました。せびろふくのおまわりさんたち、)

四ほうから人々がかけつけました。背広服のおまわりさんたち、

(ひしょたち、それからうんてんしゅ、そうぜいななにんです。)

秘書たち、それから運転手、総勢七人です。

(そうたろうしもいそいでかいだんをおり、こんどうろうじんとともに、かいかのまどから、)

壮太郎氏もいそいで会談をおり、近藤老人とともに、階下の窓から、

(でんとうをにわにむけて、とりもののてだすけをしました。)

電燈を庭に向けて、捕り物の手だすけをしました。

(ただみょうにおもわれたのは、せっかくかいいれたもうけんのじょんが、)

ただみょうに思われたのは、せっかく買いいれた猛犬のジョンが、

(このさわぎにすがたをあらわさないことでした。もし、じょんが)

このさわぎに姿をあらわさないことでした。もし、ジョンが

(かせいしてくれたら、まんいちにも、ぞくをとりにがすようなことはなかった)

加勢してくれたら、まんいちにも、賊をとりにがすようなことはなかった

(でしょうに。)

でしょうに。

(にじゅうめんしょうが、やっとわなをはずして、おきあがったときには、)

二十面相が、やっとわなをはずして、起きあがったときには、

(てにてにかいちゅうでんとうをもったおってのひとたちが、もうじゅうめーとるの)

手に手に懐中電燈を持った追っ手の人たちが、もう十メートルの

(まぢかにせまっていました。それもいっぽうからではなくて、)

間近にせまっていました。それもいっぽうからではなくて、

(みぎからも、ひだりからも、しょうめんからもです。)

右からも、左からも、正面からもです。

(ぞくはくろいかぜのようにはしりました。)

賊は黒い風のように走りました。

(いや、だんがんのようにといったほうがいいかもしれません。)

いや、弾丸のようにといったほうがいいかもしれません。

(おってのえんじんのいっぽうをとっぱして、にわのおくへとはしりこみました。)

追っ手の円陣のいっぽうを突破して、庭の奥へと走りこみました。

(にわはこうえんのようにひろいのです。つきやまがあり、いけがあり、もりのような)

庭は公園のように広いのです。築山があり、池があり、森のような

(こだちがあります。くらさはくらし、ななにんのおってでも、けっして、)

木立ちがあります。暗さは暗し、七人の追っ手でも、けっして、

(じゅうぶんとはいえません。ああ、こんなとき、じょんさえいてくれたら。)

じゅうぶんとはいえません。ああ、こんなとき、ジョンさえいてくれたら。

(しかし、おってはひっしでした。ことにさんにんのおまわりさんは、)

しかし、追っ手は必死でした。ことに三人のおまわりさんは、

(とりものにかけては、うでにおぼえのあるひとびとです。ぞくがつきやまのうえの)

捕り物にかけては、腕におぼえのある人々です。賊が築山の上の

(しげみのなかへかけあがったとみると、へいちをはしって、つきやまのむこうがわへと、)

しげみの中へかけあがったと見ると、平地を走って、築山の向こうがわへと、

(さきまわりをしました。あとからのおってと、はさみうちにしようというわけです。)

先回りをしました。あとからの追っ手と、はさみうちにしようというわけです。

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