蛙の王様 1
金田鬼一訳
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問題文
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(むかしむかし、まだひとのねがいごとがかなったころのこと、)
昔々、まだ人の願い事がかなった頃のこと、
(ひとりのおうさまがすんでおりました。)
一人の王樣が住んでおりました。
(そのかたのおひめさまがたは、どれもこれもうつくしかったのですが、)
その方のお姬樣がたは、どれもこれも美しかったのですが、
(なかにもいちばんすえのはべっしてうつくしく、)
中にも一番末のは別して美しく、
(おひさまなどはそういうのをたくさんみなれていらっしゃるくせに、)
お日樣などはそういうのをたくさん見慣れていらっしゃるくせに、
(このかたばかりはかおをおてらしになるたんびに)
この方ばかりは顏をお照らしになるたんびに
(ふしぎにおぼしめすほどでありました。)
不思議におぼしめすほどでありました。
(そのおうさまのおしろのちかくに、おおきなくらいもりがあって、)
その王樣のお城の近くに、大きな暗い森があって、
(そのもりのなかには、ぼだいじゅのこぼくのねがたにいずみがいっかしょありました。)
その森の中には、菩提樹の古木の根がたに泉が一個處ありました。
(あつくってしようのないひには、おひめさまはもりのなかへはいって、)
暑くってしようのない日には、お姬樣は森の中へはいって、
(すずしいいずみのふちにすわることにしていました。)
涼しい泉の緣に坐ることにしていました。
(それでたいくつなときには、いつでもこがねのまりをとって、)
それで退屈な時には、いつでもこがねの毬をとって、
(それをたかくほうりあげて、おちてくるのをしたでうけとるのでした。)
それを高く抛りあげて、落ちてくるのを下で受け取るのでした。
(これはおひめさまのなによりすきなゆうぎでありました。)
これはお姬樣の何より好きな遊戲でありました。