蛙の王様 2
金田鬼一訳
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問題文
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(ところがあるとき、どうしたのかこのこがねのまりがおひめさまのさしあげていた)
ところが或る時、どうしたのかこのこがねの鞠がお姫様の差し上げていた
(かわいらしいてのなかへおちてこず、すれちがいにじめんへすとんとおちて、)
かわいらしい手の中へ落ちてこず、すれ違いに地面へすとんと落ちて、
(そのままころころとみずのなかへころがりこんでしまいました。)
そのままころころと水の中へ転がり込んでしまいました。
(おひめさまはまりのころがったほうにめをつけましたが、)
お姫様は鞠の転がった方に眼をつけましたが、
(まりはかげもかたちもありませんでした。)
鞠は影も形もありませんでした。
(いずみはそれはそれはふかくって、とてもそこはみえなかったのです。)
泉はそれはそれは深くって、とても底は見えなかったのです。
(おひめさまはなきだしました。)
お姫様は泣出しました。
(なくこえをだんだんおおきくしました。)
泣く声をだんだん大きくしました。
(けれどもいくらないてもどうしてもあきらめがつきませんでした。)
けれどもいくら泣いてもどうしても諦めがつきませんでした。
(こうやってなげきかなしんでいるところへ、だれだかおひめさまに)
こうやって嘆き悲しんでいるところへ、誰だかお姫様に
(「どうなさった?おひめさま。そうおなきでは)
『どうなさった? お姫様。そうお泣きでは
(さだめしいしもあなたをおかわいそうにおもうことでございましょう。」)
定めし石もあなたをおかわいそうに思うことでございましょう。』
(とよびかけたものがありました。)
と呼びかけたものがありました。
(おひめさまはそのこえがどこからでてくるのかとおもってあたりをみまわしましたら、)
お姫様はその声がどこから出てくるのかと思って辺りを見廻しましたら、
(ふとったいやらしいあたまをみずからつきだしているいっぴきのかえるがめにとまりました。)
太ったいやらしい頭を水から突き出している一匹のカエルが目にとまりました。