猫物語(白)冒頭

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問題文
(はねかわつばさというわたしのものがたりを、しかしわたしはかたることができない。)
羽川翼という私の物語を、しかし私は語ることができない。
(というのも、わたしにとってわたしとは、)
というのも、私にとって私とは、
(どこまでがわたしなのかをまずもってていぎできないからだ。)
どこまでが私なのかをまずもって定義できないからだ。
(ふとのばしたあしのつまさきまでがじぶんであるとはとてもおもえないとしるしたぶんごうがいた)
ふと伸ばした足の爪先までが自分であるとはとても思えないと記した文豪がいた
(はずだが、わたしだったらあしをのばすまでもない、)
はずだが、私だったら足を伸ばすまでもない、
(こころそのものが、じぶんのものであるかどうかがうたがわしい。)
心そのものが、自分のものであるかどうかが疑わしい。
(わたしはわたしなのか?)
私は私なのか?
(わたしとはなんなのか?)
私とは何なのか?
(わたしとはだれなのか?)
私とは誰なのか?
(だれとはわたしで。)
誰とは私で。
(なにがわたしなのか。)
何が私なのか。
(たとえばこんなふうにやくたいもないことをつらつらかんがえているしこうは、)
たとえばこんな風に益体もないことをつらつら考えている思考は、
(はたしてわたしといえるだろうか?)
果たして私と言えるだろうか?
(いえるのかもしれない、いうだけなら。)
言えるのかもしれない、言うだけなら。
(だけれどこれはただのおもいであり、かんがえであり、ひょっとすると)
だけれどこれはただの思いであり、考えであり、ひょっとすると
(きおくかもしれないけれど、いうならばちしきのつみかさねでしかない。)
記憶かもしれないけれど、言うならば知識の積み重ねでしかない。
(けいけんこそがわたしというなら、ならばわたしとまったくおなじけいけんをしたにんげんは、)
経験こそが私と言うなら、ならば私とまったく同じ経験をした人間は、
(ひょっとするとわたしだといってしまってよいのだろうか。)
ひょっとすると私だと言ってしまってよいのだろうか。
(わたしいがいにわたしがいても、それはわたしで。)
私以外に私がいても、それは私で。
(だったらわたしらしくないわたしは、わたしではなくなってしまうのか)
だったら私らしくない私は、私ではなくなってしまうのか
(どうかんがえ、どうおもう?)
どう考え、どう思う?
(そもそもはねかわつばさというなまえがすでにふあんていだ。)
そもそも羽川翼という名前が既に不安定だ。
(わたしはいくどかみょうじがかわっている。)
私は幾度か苗字が変わっている。
(だからなまえにあいでんてぃてぃをもとめられないのである、すこしも、まったく。)
だから名前にアイデンティティを求められないのである、少しも、まったく。
(なまえなんてただのきごうだというはっそうを、かなりねぶかいいみで)
名前なんてただの記号だという発想を、かなり根深い意味で
(わたしはりかいしてしまっている、いうならばたいかんれべるで。)
私は理解してしまっている、言うならば体感レベルで。