通夜 -8-(完)

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問題文
(「まあようするにだ」)
「まあ要するにだ」
(ぐっとしずみこむ。)
ぐっと沈み込む。
(「よりともこう、ようしょうのみぎりのされこうべ、ってやつだな」)
「頼朝公、幼少のみぎりのされこうべ、ってやつだな」
(のばす。)
伸ばす。
(「しんだやつがよにまどうに、しにぎわのすがたででてくるとはかぎらないってことだ」)
「死んだやつが世に惑うに、死に際の姿で出てくるとは限らないってことだ」
(しずみこむ。)
沈み込む。
(「ふさわしいばしょにはふさわしいすがたであらわれる。)
「相応しい場所には相応しい姿で現れる。
(かのじょじしんのおつやにふさわしいのは、あのこどものころのすがただった」)
彼女自身のお通夜に相応しいのは、あの子どものころの姿だった」
(のばす。)
伸ばす。
(「なぜって?ずっとこころにわだかまっていたからだろう。)
「なぜって?ずっと心にわだかまっていたからだろう。
(ずっとむかし、じぶんのそふのしのさいにおきたことが。それがじぶんのしのさいに)
ずっと昔、自分の祖父の死の際に起きたことが。それが自分の死の際に
(よみがえったんだ。からだはしにげしょうをされ、かんおけのなかにおさめられていても、)
蘇ったんだ。身体は死化粧をされ、棺おけの中に収められていても、
(たましいはこんなばしょにかくれていた。おつやにさんかなんかできなかったんだ。)
魂はこんな場所に隠れていた。お通夜に参加なんか出来なかったんだ。
(あのときおこったできごとのいみがわかるまで、ずっと」)
あの時起こった出来事の意味が分かるまで、ずっと」
(そうか。)
そうか。
(だからししょうはくちにしたのだ。あのおもいやりにかけたしんじつを。)
だから師匠は口にしたのだ。あの思いやりに欠けた真実を。
(「じいさんがされたように、あのこもよめにはいびられたみたいだね」)
「じいさんがされたように、あの子も嫁にはいびられたみたいだね」
(そうつぶやいてししょうはとおりのほうへあしをむけた。)
そう呟いて師匠は通りの方へ足を向けた。
(ぼくはついていきながら「どうしてです」ときく。)
僕はついて行きながら「どうしてです」と訊く。
(「だって、こえをきいたしゅんかん、おびえたじゃないか」)
「だって、声を聞いた瞬間、怯えたじゃないか」
(あ、そうか。さちこというおんなのこをさがすははおやのこえだ。それをきいたときのはんのうに、)
あ、そうか。サチコという女の子を捜す母親の声だ。それを聞いた時の反応に、
(ぼくはきばこのむこうのおんなのこがさちこというなまえなのだとかんちがいしたのだ。)
僕は木箱の向こうの女の子がサチコという名前なのだと勘違いしたのだ。
(ししょうはへいをよこめにきたみちをもどり、)
師匠は塀を横目に来た道を戻り、
(かもんのうかぶちょうちんがふたつならんでいるもんのまえまできた。)
家紋の浮かぶ提灯が二つ並んでいる門の前まで来た。
(「あの」)
「あの」
(もんのまえでたばこをふかしていただんせいにこえをかける。)
門の前で煙草を吹かしていた男性に声を掛ける。
(「なにか」)
「なにか」
(「ここのおばあちゃん、なくなったんですね」)
「ここのおばあちゃん、亡くなったんですね」
(「ああ。おれのおばなんだけどね。)
「ああ。俺の叔母なんだけどね。
(ほんといきなりぽっくりいったからびっくりしてひこうきにとびのってきたんだ」)
ホントいきなりぽっくり逝ったからびっくりして飛行機に飛び乗ってきたんだ」
(「おばあちゃん、おなまえはなんといいましたっけ?」)
「おばあちゃん、お名前はなんといいましたっけ?」
(ししょうはおしえられたそのなまえをくちのなかでくりかえした。)
師匠は教えられたその名前を口の中で繰り返した。
(「どうもありがとう」)
「どうもありがとう」
(そういってきびすをかえすところをとめられた。)
そう言って踵を返すところを止められた。
(「あれ。かおみていかないの?おつややってるよ」)
「あれ。顔みていかないの?お通夜やってるよ」
(ししょうはかぶりをふった。)
師匠はかぶりを振った。
(「すこし、はなしたことがあるだけですから」)
「少し、話したことがあるだけですから」
(ほほえんだあと、ぼくにむかってかえろうといった。)
微笑んだあと、僕に向かって帰ろうと言った。