星を見る少女 -7-

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師匠シリーズ
以前cicciさんが更新してくださっていましたが、更新が止まってしまってしまったので、続きを代わりにアップさせていただきます。
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順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 berry 8459 8.5 99.0% 351.8 3006 30 63 2026/02/27
2 ぎんなんまる 8377 8.6 97.3% 353.8 3046 82 63 2026/02/27
3 HAKU 7752 8.0 96.5% 379.5 3050 108 63 2026/02/28
4 Jyo 5919 A+ 6.1 96.1% 487.9 3007 119 63 2026/02/26

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問題文

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(はしのしたのかわもにうつったきょうぞうのなかからのしせんが、) 橋の下の川面に映った鏡像の中からの視線が、 (はしのうえにいるぼくのほうへのびてくる。) 橋の上にいる僕の方へ伸びてくる。 (おもわずそのしせんをさけて、のけぞるようにかおをそむける。) 思わずその視線を避けて、のけぞるように顔を背ける。 (しぜんとそのしせんをかしてきでりったいてきなものとしてとらえ、) 自然とその視線を可視的で立体的なものとしてとらえ、 (そのゆくえをおいかける。) その行方を追いかける。 (しせんはぼくのいたばしょをとおりすぎ、そのままつきぬけるようにそらへと) 視線は僕のいた場所を通り過ぎ、そのまま突き抜けるように空へと (むかっていった。わずかなくものうかぶあおぞらへ。) 向かっていった。わずかな雲の浮かぶ青空へ。 (そのしゅんかん、ぼくのなかにすさまじい、かんじょうともかいかんともつかない、) その瞬間、僕の中に凄まじい、感情とも快感ともつかない、 (なにかみぶんかのほんりゅうのようなものがはしりぬけた。) なにか未文化の奔流のようなものが走り抜けた。 (そらをみるしょうじょ!) 空を見る少女! (せんぱいはたしかにそういった。うわさのげんけいはそれなのだ。) 先輩は確かにそう言った。噂の原型はそれなのだ。 (いいまちがいでもききまちがいでもなかった。) 言い間違いでも聞き間違いでもなかった。 (どおりでよるにはみられないはずだ。) どおりで夜には見られないはずだ。 (そうなのだ。この、そらをみるしょうじょこそが!) そうなのだ。この、空を見る少女こそが! (ほうしんしたぼくのほおをかぜがなでた。あたたかいはるのかぜが。) 放心した僕の頬を風が撫でた。暖かい春の風が。 (はっときづいてかわをみおろす。) ハッと気づいて川を見下ろす。 (もうみなもはたなびくかぜになみだちはじめていた。) もう水面はたなびく風に波立ち始めていた。 (まんしょんも、へやのまども、そのむこうにはかなげにたつしょうじょのすがたも、) マンションも、部屋の窓も、その向こうに儚げに立つ少女の姿も、 (なにもかもがとけあうようにうつろにゆらめいている。) なにもかもが溶け合うように虚ろに揺らめいている。 (もうみえない。) もう見えない。
など
(かわのかみりゅうにめをやると、なみだったみずがどこまでものびている。) 川の上流に目をやると、波立った水がどこまでも伸びている。 (すくなくとも、じょうりゅうのあのなみだったすいめんがこのはしのしたをとおりすぎるまで、) 少なくとも、上流のあの波立った水面がこの橋の下を通り過ぎるまで、 (もうかがみのようなすがたにはもどらないだろう。) もう鏡のような姿には戻らないだろう。 (それまでにまたかぜがふいてもだめだ。) それまでにまた風が吹いてもだめだ。 (ぼくはちからがぬけたようにらんかんへみをもたせかけた。) 僕は力が抜けたように欄干へ身をもたせ掛けた。 (そしてはしのしたにめをむけ、もうみえなくなったあのせんさいはきょうぞうを、) そして橋の下に目を向け、もう見えなくなったあの繊細は鏡像を、 (あのかおを、そこにみようとする。) あの顔を、そこに見ようとする。 (ほしをみるしょうじょにこいしただいがくせいのきもちが、すこしわかったようなきがした。) 星を見る少女に恋した大学生の気持ちが、少し分かったような気がした。 (てのとどかないものだからこそ、うつくしいのだ。) 手の届かないものだからこそ、美しいのだ。 (ぼくはもういちど、こんどはこころのなかでおもいえがいた。) 僕はもう一度、今度は心の中で思い描いた。 (きまぐれにあらわれたきせきのようなじかん、たしかにそこにあったまぼろしを。) 気まぐれに現れた奇蹟のような時間、確かにそこにあった幻を。 (そのよる。) その夜。 (ししょうのへやにのりこんだぼくは、ことのしだいをつげた。) 師匠の部屋に乗り込んだ僕は、ことの次第を告げた。 (にやにやしながらもししょうはくちをはさまないままききおわる。) ニヤニヤしながらも師匠は口を挟まないまま聞き終わる。 (そしてやおらおしいれにじょうはんしんをつっこむと、ごそごそとなかをさぐり、) そしてやおら押入れに上半身を突っ込むと、ごそごそと中を探り、 (いっさつのばいんだーをだしてきた。) 一冊のバインダーを出してきた。 (ぱらぱらとめくっているのをみると、) パラパラと捲っているのを見ると、 (いろいろなしんぶんきじなどのすくらっぷのようだった。) いろいろな新聞記事などのスクラップのようだった。 (「おまえがみたのが、まさにうわさのしょうたいだ。そらをみるしょうじょ。かわのなかから) 「お前がみたのが、まさに噂の正体だ。空を見る少女。川の中から (そらをみあげているそのすがたを、たまたまみてしまったひとがいたんだろうな。) 空を見上げているその姿を、たまたま見てしまった人がいたんだろうな。 (れいかんと、かがみのようなすいめん。そのふたつがぐうぜんかさならないとみられない、) 霊感と、鏡のような水面。その二つが偶然重ならないと見られない、 (じつにれあなおばけだ」) 実にレアなお化けだ」 (ぺーじをめくりながらししょうはいう。) ページを捲りながら師匠は言う。 (「おばけ」とひょうげんされると、ろまんてぃっくなきもちにひたったままのぼくは、) 「お化け」と表現されると、ロマンティックな気持ちに浸ったままの僕は、 (なにかしゃくぜんとしないものがあった。) なにか釈然としないものがあった。 (「もともとはそのただしいうわさがあったのかもしれない。) 「元々はその正しい噂があったのかも知れない。 (しかし「ほしをみるしょうじょ」という、もっとゆうめいでかつにたなまえのとしでんせつが) しかし「星を見る少女」という、もっと有名でかつ似た名前の都市伝説が (あったために、こんどうされてしまったんだ。) あったために、混同されてしまったんだ。 (そらをみるしょうじょのほうはめったにみるひともいないんだから、) 空を見る少女の方はめったに見る人もいないんだから、 (うわさのこんどうぶぶんのひりつではしぜんにまいのりてぃになってしまう。) 噂の混同部分の比率では自然にマイノリティになってしまう。 (けっきょく、さまざまにばーじょんのひろがった「ほしをみるしょうじょ」のなかに、) 結局、様々にバージョンの広がった「星を見る少女」の中に、 (とりこまれちまったんだ」) 取り込まれちまったんだ」 (「あった、これだ」と、ししょうはふるびたしんぶんがみのきりぬきをとりだした。) 「あった、これだ」と、師匠は古びた新聞紙の切り抜きを取り出した。 (じもとしのちいきらんだ。ひづけはじゅうななねんまえ。) 地元紙の地域欄だ。日付は十七年前。 (なにかうらをとったのか、このひとは。かんたんがのどもとまででかかる。) 何か裏を取ったのか、この人は。感嘆が喉元まで出掛かる。 (きじには「じょしこうせいすいし」というもじがおおきくいんじされている。) 記事には「女子高生水死」という文字が大きく印字されている。 (ばしょはあのかわで、まさにりばーさいどまんしょんのていぼうのすぐまえのあたりだ。) 場所はあの川で、まさにリバーサイドマンションの堤防のすぐ前のあたりだ。 (それほどすいしんもなさそうだったのに。) それほど水深もなさそうだったのに。 (きじをよむかぎりすいしのげんいんはわかっていないようだ。) 記事を読む限り水死の原因は分かっていないようだ。 (しぼうしたじょしこうせいのじゅうしょもでていたが、りばーさいどまんしょんではなかった。) 死亡した女子高生の住所も出ていたが、リバーサイドマンションではなかった。 (「そりゃそうさ。このこは、りばーさいどまんしょんになにかしゅうちゃくがあって、) 「そりゃそうさ。この子は、リバーサイドマンションになにか執着があって、 (そこにまよいでてきてるわけじゃない」) そこに迷い出てきてるわけじゃない」 (ししょうはきじをひらひらさせながら、せっきょうじみたくちょうでつづけた。) 師匠は記事をひらひらさせながら、説教じみた口調で続けた。
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