剣道の話 -5-(完)
師匠シリーズ
以前cicciさんが更新してくださっていましたが、更新が止まってしまってしまったので、続きを代わりにアップさせていただきます。
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| 順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | berry | 7516 | 神 | 7.7 | 97.4% | 416.3 | 3214 | 85 | 65 | 2026/03/05 |
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問題文
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(ししょうはちゅうだん、きょうすけさんもちゅうだんにかまえていたが、とちゅうからししょうのほうだけ)
師匠は中段、京介さんも中段に構えていたが、途中から師匠の方だけ
(げだんにかまえをかえた。どうやらぼうぎょにおもきをおいたかまえらしいのだが、)
下段に構えを変えた。どうやら防御に重きを置いた構えらしいのだが、
(まったくそれがそうこうしてないようで、)
全くそれが奏功してないようで、
(あいかわらずめんにこてにとばんばんうちこまれていた。)
相変わらず面に小手にとバンバン打ち込まれていた。
(「あのおねえさん、つよいの?」)
「あのお姉さん、強いの?」
(おそるおそるきいてみると、しょうねんは「そうですねぇ」とすこしかんがえてからこたえた。)
恐る恐る訊いてみると、少年は「そうですねぇ」と少し考えてから答えた。
(「だんいでいうとよんだんですけど、こうしきせんではそれほどじっせきがないですね。)
「段位で言うと四段ですけど、公式戦ではそれほど実績がないですね。
(ちゅうがくのときはすごかったらしいですけど。でもたぶんいまのほうがつよいですよ。)
中学の時は凄かったらしいですけど。でもたぶん今の方が強いですよ。
(ぜんかいのぜんにほんのよせんでもにかいせんでけいさつけんれんのゆうしょうこうほのひとに)
前回の全日本の予選でも二回戦で警察剣連の優勝候補の人に
(あたっちゃってまけちゃいましたけど、ないようじたいはおしかったですしね」)
当たっちゃって負けちゃいましたけど、内容自体は惜しかったですしね」
(よんだん?)
四段?
(よんだんというと、けんどうさんばいだんのほうそくからするとじゅうにだんのからてかで)
四段というと、剣道三倍段の法則からすると十二段の空手家で
(ごかくというつよさではないのか。)
互角という強さではないのか。
(あたまのなかできんいろのおびをしめたからてかときょうすけさんがむきあっている)
頭の中で金色の帯を締めた空手家と京介さんが向き合っている
(ばかなえずらがうかんでしまった。)
バカな絵面が浮かんでしまった。
(「まあ、ぼくのほうがつよいですけど」)
「まあ、僕の方が強いですけど」
(しょうねんはかわいいかおをしてさらりとそんなことをいった。くったくのないえがおだった。)
少年は可愛い顔をしてさらりとそんなことを言った。屈託のない笑顔だった。
(しかしししょうをしゃくどにかんがえると、どうかんがえてもきょうすけさんのほうが)
しかし師匠を尺度に考えると、どう考えても京介さんの方が
(ぼこぼこにしている。さっきはそんなにてをぬいていたというのだろうか。)
ボコボコにしている。さっきはそんなに手を抜いていたというのだろうか。
(「めんあり!」)
「面あり!」
など
(なかまちさんのかけごえがどうじょうないにひびく。)
中町さんの掛け声が道場内に響く。
(しょうめんからめんをうとうとしたししょうにたいし、きょうすけさんはひだりへからだをさばきながら)
正面から面を打とうとした師匠に対し、京介さんは左へ身体を捌きながら
(あいてのしないをはらいあげるようにながして、ひらいためんへすばやいいちげきをみまったのだ。)
相手の竹刀を払い上げるように流して、開いた面へ素早い一撃を見舞ったのだ。
(「めんすりあげめん」というわざらしい。)
「面すりあげ面」という技らしい。
(「あれ、とくいわざなんですよ。ぼくもよくやられます」)
「あれ、得意技なんですよ。僕もよくやられます」
(しょうねんはなにももっていないりょうてをむねのまえでにぎってしないをあやつるどうさをする。)
少年は何も持っていない両手を胸の前で握って竹刀を操る動作をする。
(しかしそのくびがいぶかしげにひねられた。)
しかしその首が訝しげに捻られた。
(「でもなんか、あのひとのうごき、へんなんですよね」)
「でもなんか、あの人の動き、変なんですよね」
(「へんって?」)
「変って?」
(そうとうと、「ううん」とうなってししょうのうごきをぎょうしする。)
そう問うと、「ううん」と唸って師匠の動きを凝視する。
(「ぼくとやってたときはもっとまともなうごきだったとおもうんですけど。)
「僕とやってたときはもっとまともな動きだったと思うんですけど。
(なんていうか、いまはようしょようしょでみょうなうごきがはいるんですよね。)
なんていうか、今は要所要所で妙な動きが入るんですよね。
(それもだんだんひどくなってる」)
それもだんだん酷くなってる」
(ほら、あのま。)
ほら、あの間。
(そんなふうにゆびをさされたが、なにがなんだかさっぱりわからない。)
そんな風に指をさされたが、なにがなんだかさっぱり分からない。
(しあいはじゅっぽんいじょうきょうすけさんがれんしゅして、ろくれんしょうだとかななれんしょうだとかしたあたりで)
試合は十本以上京介さんが連取して、六連勝だとか七連勝だとかしたあたりで
(なかまちさんが「しょうぶあり」といったあと、「もうよかろう」と)
中町さんが「勝負あり」と言った後、「もうよかろう」と
(おたがいにさとすようなくちょうでつげた。)
お互いに諭すような口調で告げた。
(ししょうはちからがぬけたようにてんをあおいだあと、ゆっくりをうなずいた。)
師匠は力が抜けたように天を仰いだ後、ゆっくりを頷いた。
(きょうすけさんもそれにならい、たがいにれいをした。)
京介さんもそれに倣い、互いに礼をした。
(ししょうはこちらへひきあげてきながら、ぜんしんでいきをしていた。)
師匠はこちらへ引き上げてきながら、全身で息をしていた。
(そうとうにつかれているようだ。「くそう」とくやしそうにはきすてながらめんをはずす。)
相当に疲れているようだ。「くそう」と悔しそうに吐き捨てながら面を外す。
(かおじゅうからあせがしたたりおちてくる。)
顔中から汗が滴り落ちてくる。
(ぼうぐをはずしおわったししょうに、なかまちさんがあゆみよってきてこういった。)
防具を外し終わった師匠に、中町さんが歩み寄ってきてこう言った。
(「けんどうではありませんな」)
「剣道ではありませんな」
(ししょうはこわばったような、それでいてうすらわらいのようなひょうじょうをうかべて)
師匠はこわばったような、それでいて薄ら笑いのような表情を浮かべて
(「しゅぎょうがたりませんでした」)
「修行が足りませんでした」
(とだけへんじをした。)
とだけ返事をした。
(なかまちさんはすこしけわしいかおをしたあとで、ちからをぬいたようにためいきをひとつつくと)
中町さんは少し険しい顔をした後で、力を抜いたように溜め息を一つつくと
(「おつかれさまでした」とねぎらった。そしておたがいにかおをさげて、はなれる。)
「お疲れ様でした」とねぎらった。そしてお互いに顔を下げて、離れる。
(みょうなやりとりだった。)
妙なやりとりだった。
(きょうすけさんはどうじょうのまんなかにたったまま、めんをはずしてこちらをみている。)
京介さんは道場の真ん中に立ったまま、面を外してこちらを見ている。
(あれほどあっとうてきにかちきったというのに、)
あれほど圧倒的に勝ち切ったというのに、
(そのひょうじょうはあわれむでもさげすむでもなく、かといってこうようかんやたっせいかんも)
その表情は哀れむでも蔑むでもなく、かと言って高揚感や達成感も
(みじんもかんじられないようなふくざつなさまをみせていた。)
微塵も感じられないような複雑なさまを見せていた。
(ただ、そのそうぼうはなにじあいもれんぞくでたたかったばかりだというのにこうちょうをみせず、)
ただ、その相貌は何試合も連続で戦ったばかりだというのに紅潮を見せず、
(それどころかいようなほどそうはくだった。)
それどころか異様なほど蒼白だった。
(そしてそのりょうめはいきをのんだようにししょうをみつめている。)
そしてその両目は息を飲んだように師匠を見つめている。
(まるでぎりぎりのいのちのやりとりをしたばかりとでもいうように。)
まるでギリギリの命のやりとりをしたばかりとでも言うように。
(ししょうはそのしせんからめをそらし、じさんしたふくろからきがえをとりだしはじめる。)
師匠はその視線から目を逸らし、持参した袋から着替えを取り出し始める。
(「あっ」)
「あっ」
(こもったねっきにきがついてしょうねんがまどにかけよる。)
こもった熱気に気がついて少年が窓に駆け寄る。
(そうしてあけはなったまどからここちよいかぜがふいてきて、)
そうして開け放った窓から心地よい風が吹いてきて、
(あせにぬれたふたりのかみをぬらした。)
汗に濡れた二人の髪を濡らした。
(いたのまの、どこかなつかしいようなきのかおりがした。)
板の間の、どこか懐かしいような木の香りがした。