怪人二十面相_6

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(「わしは、おまえがいなくなってから、きゅうろしあこうていのほうかんをかざっていた)

「わしは、おまえがいなくなってから、旧ロシア皇帝の宝冠をかざっていた

(だいやもんどを、てにはいれたのだよ。ぞくはそれをぬずんでみせるというのだ。」)

ダイヤモンドを、手に入れたのだよ。賊はそれをぬずんでみせるというのだ。」

(そうして、そうたろうしは、「にじゅうめんそう」のぞくについて、またそのよこくじょうについて)

そうして、壮太郎氏は、「二十面相」の賊について、またその予告状について

(くわしくはなしてきかせました。)

くわしく話して聞かせました。

(「しかし、こんやはおまえがいてくれるので、こころじょうぶだ。)

「しかし、今夜はおまえがいてくれるので、心じょうぶだ。

(ひとつ、おまえとふたりで、ほうせきのまえで、ねずのばんでもするかな。」)

ひとつ、おまえとふたりで、宝石の前で、寝ずの番でもするかな。」

(「ええ、それがよろしいでしょう。ぼくはわんりょくにかけてはじしんがあります。)

「ええ、それがよろしいでしょう。ぼくは腕力にかけては自信があります。

(きたくそうそうおやくにたてばうれしいとおもいます。」)

帰宅そうそうお役にたてばうれしいと思います。」

(たちまち、ていないにげんじゅうなけいかいがしかれました。)

たちまち、邸内にげんじゅうな警戒がしかれました。

(あおくなったこんどうしはいにんのさしずで、ごごはちじというのに、)

青くなった近藤支配人のさしずで、午後八時というのに、

(もうおもてもんをはじめ、あらゆるでいりぐちがぴったりとしめられ、)

もう表門をはじめ、あらゆる出入り口がピッタリとしめられ、

(うちがわからじょうがおろされました。)

内がわから錠がおろされました。

(「こんやだけは、どんなおきゃくさまでも、おことわりするのだぞ。」)

「今夜だけは、どんなお客さまでも、おことわりするのだぞ。」

(ろうじんがめしつかいたちにげんめいしました。)

老人が召使いたちに厳命しました。

(よるをとおして、さんにんのひばんけいかんと、さんにんのひしょと、じどうしゃうんてんしゅとが、)

夜を徹して、三人の非番警官と、三人の秘書と、自動車運転手とが、

(てわけをして、かくでいりぐちをかため、あるいはていないを)

手わけをして、各出入り口をかため、あるいは邸内を

(じゅんしするてはずでした。)

巡視する手はずでした。

(はしばふじんとさなえさんとそうじくんとは、はやくからしんしつに)

羽柴夫人と早苗さんと壮二君とは、早くから寝室に

(ひきこもるようにいいつけられました。)

ひきこもるようにいいつけられました。

(おおぜいのしようにんたちは、ひとつのへやにあつまって、)

大ぜいの使用人たちは、一つの部屋にあつまって、

など

(おびえたようにぼそぼそとささやきあっています。)

おびえたようにボソボソとささやきあっています。

(そうたろうしとそういちくんは、ようかんのにかいのしょさいにろうじょうすることになりました。)

壮太朗氏と壮一君は、洋館の二階の書斎に籠城することになりました。

(しょさいのてーぶるには、さんどいっちとぶどうしゅをよういさせて、)

書斎のテーブルには、サンドイッチとぶどう酒を用意させて、

(てつやのかくごです。)

徹夜のかくごです。

(しょさいのどあやまどにはみな、そとがわからあかぬように、)

書斎のドアや窓にはみな、外がわからあかぬように、

(かぎやかけきんがかけられました。)

かぎや掛け金がかけられました。

(ほんとうにありのはいいるすきまもないわけです。)

ほんとうにアリのはいいるすきまもないわけです。

(さて、しょさいにこしをおろすと、そうたろうしがくしょうしながらいいました。)

さて、書斎に腰をおろすと、壮太朗氏が苦笑しながらいいました。

(「すこしようじんがおおげさすぎたかもしれないね。」)

「少し用心が大げさすぎたかもしれないね。」

(「いや、あいつにかかっては、どんなようじんだって、)

「いや、あいつにかかっては、どんな用心だって、

(おおげさすぎることはありますまい。)

大げさすぎることはありますまい。

(ぼくはさっきから、しんぶんのとじこみで、)

ぼくはさっきから、新聞のとじこみで、

(「にじゅうめんそう」のじけんを、すっかりけんきゅうしてみましたが、)

『二十面相』の事件を、すっかり研究してみましたが、

(よめばよむほど、おそろしいやつです。」)

読めば読むほど、おそろしいやつです。」

(そういちくんはしんけんなかおで、さもふあんらしくこたえました。)

壮一君は真剣な顔で、さも不安らしく答えました。

(「では、おまえはこれほどげんじゅうなぼうびをしても、)

「では、おまえはこれほどげんじゅうな防備をしても、

(まだ、ぞくがやってくるかもしれないというのかね。」)

まだ、賊がやってくるかもしれないというのかね。」

(「ええ、おくびょうのようですけれど、なんだかそんなきがするのです。」)

「ええ、おくびょうのようですけれど、なんだかそんな気がするのです。」

(「だが、いったいどこから?・・・ぞくがほうせきをてにいれるためには、)

「だが、いったいどこから?…賊が宝石を手に入れるためには、

(まず、たかいへいをのりこえなければならない。)

まず、高い塀をのりこえなければならない。

(そこから、おおぜいのめをかすめて、たとえここまできたとしても、)

そこから、大ぜいの目をかすめて、たとえここまで来たとしても、

(どあをうちやぶらなくてはならない。そして、わたしたち)

ドアを打ちやぶらなくてはならない。そして、わたしたち

(ふたりともたたかわなければならない。)

ふたりともたたかわなければならない。

(しかも、それでおしまいじゃないのだ。)

しかも、それでおしまいじゃないのだ。

(ほうせきは、だいやるのもじのくみあわせをしらなくては、)

宝石は、ダイヤルの文字のくみあわせを知らなくては、

(ひらくことのできないきんこのなかにはいっているのだよ。)

ひらくことのできない金庫の中にはいっているのだよ。

(いくらにじゅうめんそうがまほうつかいだって、このしじゅうごじゅうのかんもんを)

いくら二十面相が魔法使いだって、この四重五重の関門を

(どうしてくぐりぬけられるものか。ははは・・・・・・。」)

どうしてくぐりぬけられるものか。ハハハ……。」

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