怪人二十面相57

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(そのがんこうのおそろしさ。としわかいぼーいはふるえあがって、おもわずみぎの)

その眼光のおそろしさ。年若いボーイはふるえあがって、思わず右の

(ぽけっとのうえを、なにかたいせつなものでもはいっているように)

ポケットの上を、なにかたいせつなものでもはいっているように

(おさえるのでした。)

おさえるのでした。

(きびんなたんていは、そのひょうじょうとてのうごきをみのがしませんでした。いきなり)

機敏な探偵は、その表情と手の動きを見のがしませんでした。いきなり

(とびついていって、おさえているぽけっとにてをいれ、いちまいのしへいを)

とびついていって、おさえているポケットに手を入れ、一枚の紙幣を

(とりだしてしまいました。せんえんさつです。えれべーたーぼーいは、)

取りだしてしまいました。千円札です。エレベーター・ボーイは、

(にじゅうめんそうのぶかのために、せんえんさつでばいしゅうされてたのでした。)

二十面相の部下のために、千円札で買収されてたのでした。

(ぞくはそうして、ごふんかじゅっぷんのあいだ、たんていをえれべーたーのなかに)

賊はそうして、五分か十分のあいだ、探偵をエレベーターの中に

(とじこめておいて、そのひまにかいだんのほうからこっそりにげさろうと)

とじこめておいて、そのひまに階段のほうからコッソリ逃げさろうと

(したのです。いくらだいたんふてきのにじゅうめんそうでも、もうしょうたいがわかって)

したのです。いくら大胆不敵の二十面相でも、もう正体がわかって

(しまったいま、たんていとかたをならべて、ほてるのひとたちやとまりのきゃくの)

しまった今、探偵と肩をならべて、ホテルの人たちや泊りの客の

(むらがっているげんかんを、とおりぬけるゆうきはなかったのです。あけちは)

むらがっている玄関を、通りぬける勇気はなかったのです。明智は

(けっしてとらえないといっていますけれど、ぞくのみにしては、)

けっしてとらえないといっていますけれど、賊の身にしては、

(それをことばどおりしんようするわけにはいきませんからね。)

それをことばどおり信用するわけにはいきませんからね。

(めいたんていはえれべーたーをとびだすと、ろうかをひととびに、げんかんへかけだし)

名探偵はエレベーターをとびだすと、廊下を一とびに、玄関へかけだし

(ました。すると、ちょうどまにあって、にじゅうめんそうのつじのしがおもてのいしだんを、)

ました。すると、ちょうどまにあって、二十面相の辻野氏が表の石段を、

(ゆうぜんとおりていくところでした。)

ゆうぜんとおりていくところでした。

(「や、しっけい、しっけい、ちょっとえれべーたーにこしょうがあったもの)

「や、しっけい、しっけい、ちょっとエレベーターに故障があったもの

(ですからね、ついおくれてしまいましたよ。」)

ですからね、ついおくれてしまいましたよ。」

(あけちは、やっぱりにこにこわらいながら、うしろからつじのしのかたをぽん)

明智は、やっぱりにこにこ笑いながら、うしろから辻野氏の肩をポン

など

(とたたきました。)

とたたきました。

(はっとふりむいて、あけちのすがたをみとめた、つじのしのかおといったら)

ハッとふりむいて、明智の姿をみとめた、辻野氏の顔といったら

(ありませんでした。ぞくはえれべーたーのけいりゃくが、てっきりせいこうするもの)

ありませんでした。賊はエレベーターの計略が、てっきり成功するもの

(としんじきっていたのですから。かおいろをかえるほどおどろいたのも、)

と信じきっていたのですから。顔色をかえるほどおどろいたのも、

(けっしてむりではありません。)

けっしてむりではありません。

(「ははは・・・・・・、どうかなすったのですか、つじのさん、すこしおかおいろが)

「ハハハ……、どうかなすったのですか、辻野さん、少しお顔色が

(よくないようですね。ああ、それから、これをね、あのえれべーたー)

よくないようですね。ああ、それから、これをね、あのエレベーター・

(ぼーいから、あなたにわたしてくれってたのまれてきました。ぼーいが)

ボーイから、あなたにわたしてくれってたのまれてきました。ボーイが

(いってましたよ、あいてがわるくてえれべーたーのうごかしかたをしっていたので、)

いってましたよ、相手が悪くてエレベーターの動かし方を知っていたので、

(どうもめいれいどおりにながくとめておくわけにはいきませんでした。)

どうも命令どおりに長くとめておくわけにはいきませんでした。

(あしからずってね。ははは・・・・・・。」)

あしからずってね。ハハハ……。」

(あけちはさもゆかいそうに、おおわらいをしながら、れいのせんえんさつを、にじゅうめんそう)

明智はさもゆかいそうに、大笑いをしながら、例の千円札を、二十面相

(のめんぜんでに、さんどひらひらさせてから、それをあいてのてににぎらせますと、)

の面前で二、三度ヒラヒラさせてから、それを相手の手ににぎらせますと、

(「では、さようなら。いずれちかいうちに。」)

「では、さようなら。いずれ近いうちに。」

(といったかとおもうと、くるっとむきをかえて、なんのみれんもなく、)

といったかと思うと、クルッと向きをかえて、なんのみれんもなく、

(あとをもみずにさってしまいました。)

あとをも見ずにさってしまいました。

(つじのしはせんえんさつをにぎったまま、あっけにとられて、めいたんていのうしろ)

辻野氏は千円札をにぎったまま、あっけにとられて、名探偵のうしろ

(すがたをみおくっていましたが、)

姿を見おくっていましたが、

(「ちぇっ。」)

「チェッ。」

(と、いまいましそうにしたうちすると、そこにまたせてあったじどうしゃを)

と、いまいましそうに舌うちすると、そこに待たせてあった自動車を

(よぶのでした。)

呼ぶのでした。

(このようにしてめいたんていとだいとうぞくのしょたいめんのこてしらべは、みごとに)

このようにして名探偵と大盗賊の初対面の小手しらべは、みごとに

(たんていのしょうりにきしました。ぞくにしてみれば、いつでもとらえようと)

探偵の勝利に帰しました。賊にしてみれば、いつでもとらえようと

(おもえばとらえられるのを、そのままみのがしてもらったわけですから、)

思えばとらえられるのを、そのまま見のがしてもらったわけですから、

(にじゅうめんそうのなにかけて、これほどのちじょくはないわけです。)

二十面相の名にかけて、これほどの恥辱はないわけです。

(「このしかえしは、きっとしてやるぞ。」)

「このしかえしは、きっとしてやるぞ。」

(かれはあけちのうしろすがたに、にぎりこぶしをふるって、おもわずのろいの)

彼は明智のうしろ姿に、にぎりこぶしをふるって、思わずのろいの

(ことばをつぶやかないではいられませんでした。)

ことばをつぶやかないではいられませんでした。

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