江戸川乱歩 赤い部屋⑥
順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 123 | 6160 | A++ | 6.4 | 96.2% | 293.5 | 1882 | 74 | 32 | 2024/10/25 |
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問題文
(じどうしゃのうんてんしゅとmいしともに、それぞれせきにんのあることは)
自動車の運転手とM医師ともに、それぞれ責任のあることは
(いうまでもありません。そしてそこにほうりつじょうのしょばつがあるとすれば、)
云うまでもありません。そしてそこに法律上の処罰があるとすれば、
(それはおそらくうんてんしゅのかしつにたいしておこなわれるのでしょうが、)
それは恐らく運転手の過失に対して行われるのでしょうが、
(じじつじょうもっともじゅうだいなせきにんしゃはこのわたしだったのではありますまいか。)
事実上最も重大な責任者はこの私だったのではありますまいか。
(もしそのさいわたしがmいいんでなくてkびょういんをおしえてやったとすれば、)
もしその際私がM医院でなくてK病院を教えてやったとすれば、
(すこしのへまもなくけがにんはたすかったのかもしれないのです。)
少しのへまもなく怪我人は助かったのかも知れないのです。
(うんてんしゅはたんにけがをさせたばかりです。ころしたわけではないのです。)
運転手は単に怪我をさせたばかりです。殺した訳ではないのです。
(mいしはいじゅつじょうのぎりょうがおとっていたためにしくじったのですから、)
M医師は医術上の技倆が劣っていた為にしくじったのですから、
(これもあながちとがめるところはありません。)
これもあながち咎める所はありません。
(よしまたかれにせめをおうべきてんがあったとしても、そのもとはといえば)
よし又彼に責めを追うべき点があったとしても、その元はと云えば
(わたしがふてきとうなmいいんをおしえたのがわるいのです。)
私が不適当なM医院を教えたのが悪いのです。
(つまり、そのときのわたしのさしずしだいによって、)
つまり、その時の私の指図次第によって、
(ろうじんをいかすこともころすこともできたわけなのです。)
老人を生かすことも殺すことも出来た訳なのです。
(それはけがをさせたのはいかにもうんてんしゅでしょう。)
それは怪我をさせたのは如何にも運転手でしょう。
(けれどころしたのはこのわたしだったのではありますまいか。)
けれど殺したのはこの私だったのではありますまいか。
(これはわたしのさしずがまったくぐうぜんのかしつだったとかんがえたばあいですが、)
これは私の指図が全く偶然の過失だったと考えた場合ですが、
(もしそれがかしつではなくて、そのろうじんをころしてやろうという)
もしそれが過失ではなくて、その老人を殺してやろうという
(わたしのこいからでたものだったとしたら、いったいどういうことになるでしょう。)
私の故意から出たものだったとしたら、一体どういうことになるでしょう。
(いうまでもありません。わたしはじじつじょうさつじんざいをおかしたものではありませんか。)
いうまでもありません。私は事実上殺人罪を犯したものではありませんか。
(しかしほうりつはたとえうんてんしゅをばっすることはあっても、)
しかし法律はたとえ運転手を罰することはあっても、
(じじつじょうのさつじんしゃであるわたしというものにたいしては、)
事実上の殺人者である私というものに対しては、
(おそらくうたがいをかけさえしないでしょう。なぜといって、)
恐らく疑いをかけさえしないでしょう。なぜといって、
(わたしとしんだろうじんとはまるきりかんけいのないことがよくわかっているのですから。)
私と死んだ老人とはまるきり関係のない事がよく分っているのですから。
(そしてたとえうたがいをかけられたとしても、わたしはただ)
そしてたとえ疑いをかけられたとしても、私はただ
(げかいいんのあることなどわすれていたとこたえさえすればよいではありませんか。)
外科医院のあることなど忘れていたと答えさえすればよいではありませんか。
(それはぜんぜんこころのなかのもんだいなのです。)
それは全然心の中の問題なのです。
(みなさん。みなさんはかつてこういうさつじんほうについてかんがえられたことが)
皆さん。皆さんはかつてこういう殺人法について考えられたことが
(おありでしょうか。わたしはこのじどうしゃじけんではじめてそこへきがついたのですが、)
おありでしょうか。私はこの自動車事件ではじめてそこへ気がついたのですが、
(かんがえてみますと、このよのなかはなんというけんのんしごくなばしょなのでしょう。)
考えて見ますと、この世の中は何という剣呑至極な場所なのでしょう。
(いつわたしのようなおとこが、なんのりゆうもなくこいにまちがったいしゃをおしえたりして、)
いつ私の様な男が、何の理由もなく故意に間違った医者を教えたりして、
(そうでなければとりとめることができたいのちを、)
そうでなければ取り止めることが出来た命を、
(ふとうにうしなってしまうようなめにあうかわかったものではないのです。)
不当に失ってしまう様な目に合うか分ったものではないのです。