江戸川乱歩 赤い部屋⑯

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問題文
(そのがけのましたにはきしゃのせんろがかーぶをえがいてはしっている、)
その崖の真下には汽車の線路がカーブを描いて走っている、
(せんろのむこうがわはこちらとははんたいにふかいけわしいたにになって、)
線路の向こう側はこちらとは反対に深いけわしい谷になって、
(そのそこにちょっとしたたにがわがながれているのが、)
その底にちょっとした谷川が流れているのが、
(かすむほどとおくにみえています。)
霞む程遠くに見えています。
(しばらくすると、あらかじめさだめておいたじかんになりました。)
暫くすると、あらかじめ定めて置いた時間になりました。
(わたしは、だれもみているものはなかったのですけれど、)
私は、誰も見ているものはなかったのですけれど、
(わざわざちょっとつまずくようなかっこうをして、これも)
わざわざちょっとつまずく様な恰好をして、これも
(あらかじめさがしだしておいたひとつのおおきないしころを)
あらかじめ探し出して置いた一つの大きな 石塊(いしころ)を
(けとばしました。それはちょっとけりさえすればきっとがけから)
蹴飛ばしました。それはちょっと蹴りさえすればきっと崖から
(ちょうどせんろのうえあたりへころがりおちるようないちにあったのです。)
丁度線路の上あたりへころがり落ちる様な位置にあったのです。
(わたしはもしやりそこなえばいくどでもほかのいしころで)
私はもしやりそこなえば幾度でも他の石塊で
(やりなおすつもりだったのですが、みればそのいしころはうまいぐあいに)
やり直すつもりだったのですが、見ればその石塊はうまい工合に
(いっぽんのれーるのうえにのっかっています。)
一本のレールの上にのっかっています。
(はんじかんのあとにはくだりれっしゃがそのれーるをとおるのです。)
半時間の後には下り列車がそのレールを通るのです。
(そのじぶんにはもうまっくらになっているでしょうし、)
その時分にはもう真っ暗になっているでしょうし、
(そのいしのあるばしょはかーぶのむこうがわなのですから、)
その石のある場所はカーブの向う側なのですから、
(うんてんしゅがきづくはずはありません。それをみさだめると、)
運転手が気附く筈はありません。それを見定めると、
(わたしはおおいそぎで、mえきへとひきかえし(はんりのやまじですから)
私は大急ぎで、M駅へと引き返し(半里の山路ですから
(それにはじゅうぶんさんじゅっぷんいじょうをついやしました))
それには十分(じゅうぶん)三十分以上を費やしました)
(そこのえきちょうしつへはいっていって「たいへんです」と)
そこの駅長室へ這入って行って「大変です」と
(さもあわてたちょうしでさけんだものです。)
さも慌てた調子で叫んだものです。
(「わたしはここへとうじにきているものですが、いまはんりばかりむこうの、)
「私はここへ湯治に来ているものですが、今半里ばかり向こうの、
(せんろにそったがけのうえへさんぽにいっていて、さかになったところを)
線路に沿った崖の上へ散歩に行っていて、坂になった所を
(かけおりようとするひょうしにふとひとつの、いしころをがけから)
駈けおりようとする拍子にふと一つの、石塊を崖から
(したのせんろのうえへけおとしてしまいました。もしあそこを)
下の線路の上へ蹴落としてしまいました。もしあそこを
(れっしゃがとおればきっとだっせんします。わるくするとたにまへおちるようなことが)
列車が通ればきっと脱線します。悪くすると谷間へ落ちる様なことが
(ないともかぎりません。わたしはそのいしをとりのけようと)
ないとも限りません。私はその石を取りのけ様と
(いろいろみちをさがしたのですけれど、なにぶんふあんないのやまのことですから、)
色々道を探したのですけれど、何分不案内の山のことですから、
(どうにもあのたかいがけをおりるほうほうがないのです。)
どうにもあの高い崖を下りる方法がないのです。
(で、ぐずぐずしているよりはとおもって、ここへかけつけたしだいですが、)
で、ぐずぐずしているよりはと思って、ここへ駈けつけた次第ですが、
(どうでしょう。しきゅうあれを、とりのけていただくわけにはいきませんでしょうか」)
どうでしょう。至急あれを、取りのけて頂く訳には行きませんでしょうか」
(といかにもしんぱいそうなかおをしてもうしました。)
といかにも心配そうな顔をして申しました。