江戸川乱歩 赤い部屋㉑(終)

投稿者nyokesiプレイ回数1253
難易度(4.8) 2017打 長文 長文モード可タグ長文 小説 文豪 江戸川乱歩
順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 aria 7938 8.2 96.3% 244.0 2013 76 41 2021/11/07
2 おちり 7846 8.1 96.6% 245.7 1998 70 41 2021/10/20
3 berry 6829 S++ 7.1 95.5% 279.1 1998 92 41 2021/11/04
4 うねりん 6067 A++ 6.2 96.8% 318.9 1999 64 41 2021/11/04
5 とむとむ 6037 A++ 6.2 96.5% 320.0 2003 71 41 2021/10/27

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問題文

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(「くくくくく・・・」)

「ククククク・・・」

(とつじょ、おんなのすすりなきのほかに、もうひとつのいようなこえがきこえてきた。)

突如、女のすすり泣きの他に、もう一つの異様な声が聞こえて来た。

(それは、もはやもがくことをやめて、ぐったりとしにんのようによこたわっていた、)

それは、最早藻掻くことを止めて、ぐったりと死人の様に横たわっていた、

(tしのくちからもれるらしくかんじられた。)

T氏の口から洩れるらしく感じられた。

(こおりのようなせんりつがわたしのせなかをはいあがった。)

氷の様な戦慄が私の背中を這い上がった。

(「くっくっくっくっ・・・」)

「クックックックッ・・・」

(そのこえはみるみるおおきくなっていった。そして、はっとおもうあいだに、)

その声は見る見る大きくなって行った。そして、ハッと思う間に、

(ひんしのtしのからだがひょろひょろとたちあがった。)

瀕死のT氏の身体がヒョロヒョロと立ち上がった。

(たちあがってもまだ「くっくっくっくっ」というへんなこえはやまなかった。)

立ち上がってもまだ「クックックックッ」という変な声はやまなかった。

(それはむねのそこからしぼりだされるくつうのうなりごえのようでもあった。)

それは胸の底からしぼり出される苦痛の唸り声の様でもあった。

(だが・・・、もしや・・・)

だが・・・、もしや・・・

(おお、やはりそうだったのか、かれはいがいにも、)

オオ、やはりそうだったのか、彼は意外にも、

(さいぜんからたまらないおかしさをじっとかみころしていたのだった。)

さい前から堪らないおかしさをじっと噛み殺していたのだった。

(「みなさん」かれはもうおおごえにわらいだしながらさけんだ。)

「皆さん」彼はもう大声に笑い出しながら叫んだ。

(「みなさん。わかりましたか、これが」)

「皆さん。分りましたか、これが」

(すると、ああ、これはまたどうしたことであろう。)

すると、ああ、これは又どうしたことであろう。

(いまのいままであのようになきいっていたきゅうじおんなが、)

今の今まであの様に泣き入っていた給仕女が、

(いきなりかいかつにたちあがったかとおもうと、もうもうたまらないというように、)

いきなり快活に立ち上がったかと思うと、もうもう堪らないという様に、

(からだをくのじにして、これもまたわらいこけるのだった。)

身体をくの字にして、これも亦笑いこけるのだった。

(「これはね」やがてtしは、あっけにとられたわたしたちのまえに、)

「これはね」やがてT氏は、あっけにとられた私達の前に、

など

(ひとつのちいさなえんとうけいのものを、てのひらにのせてさしだしながらせつめいした。)

一つの小さな円筒形のものを、掌にのせてさし出しながら説明した。

(「うしのぼうこうでつくったたまなのですよ。なかにあかいんきが)

「牛の膀胱で作った弾丸(たま)なのですよ。中に赤インキが

(いっぱいいれてあって、めいちゅうすれば、それがながれだすしかけです。)

一杯入れてあって、命中すれば、それが流れ出す仕掛けです。

(それからね。このたまがにせものだったとおなじように、)

それからね。この弾丸が偽物だったと同じ様に、

(さっきからのわたしのみのうえばなしというものはね、はじめからしまいまで、)

さっきからの私の身の上話というものはね、始めからしまいまで、

(みんなつくりごとなんですよ。でも、わたしはこれで、)

みんな作りごとなんですよ。でも、私はこれで、

(なかなかおしばいはうまいものでしょう・・・。)

なかなかお芝居はうまいものでしょう・・・。

(さて、たいくつやのみなさん。こんなことでは、)

さて、退屈屋の皆さん。こんなことでは、

(みなさんがしじゅうおもとめなすっている、あのしげきとやらには)

皆さんが始終お求めなすっている、あの刺戟とやらには

(なりませんでしょうかしら・・・」)

なりませんでしょうかしら・・・」

(かれがこうたねあかしをしているあいだに、いままでかれのじょしゅをつとめた)

彼がこう種明かしをしている間に、今まで彼の助手を勤めた

(きゅうじおんなのきてんでかいかのすいっちがひねられたのであろう、)

給仕女の気転で階下のスイッチがひねられたのであろう、

(とつじょまひるのようなでんとうのひかりが、わたしたちのめをげんわくさせた。)

突如真昼の様な電燈の光が、私達の目を眩惑させた。

(そして、そのしろくあかるいこうせんは、たちまちにして、)

そして、その白く明るい光線は、たちまちにして、

(へやのなかにただよっていた、あのむげんてきなくうきをいっそうしてしまった。)

部屋の中に漂っていた、あの夢幻的な空気を一掃してしまった。

(そこには、ばくろされたてじなのたねが、みにくいむくろをさらしていた。)

そこには、曝露された手品の種が、醜いむくろを曝していた。

(ひいろのたれぎぬにしろ、ひいろのじゅうたんにしろ、おなじてーぶるかけやひじかけいす、)

緋色の垂絹にしろ、緋色の絨毯にしろ、同じテーブル掛けや肘掛椅子、

(はては、あのよしありげなぎんのしょくだいまでが、)

はては、あのよしありげな銀の燭台までが、

(なんとみすぼらしくみえたことよ。)

何とみすぼらしく見えたことよ。

(「あかいへや」のなかには、どこのすみをさがしてみても、)

「赤い部屋」の中には、どこの隅を探して見ても、

(もはや、ゆめもまぼろしも、かげさえとどめていないのだった。)

最早、夢も幻も、影さえ止(とど)めていないのだった。

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