魯迅 狂人日記④

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1 りく 5814 A+ 5.9 98.1% 441.0 2612 48 43 2024/11/06

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(ご このいくにちのあいだはいっぽしりぞいてかんがえてみた。)

五 この幾日の間は一歩退いて考えてみた。

(たといあのおやじがくびきりやくでなく、ほんとうのいしゃであってもやはりひとくいにんげんだ。)

たといあの親爺が首斬役でなく、本当の医者であってもやはり人食人間だ。

(かれらのそし、りじちんがつくった「ほんそうなんとか」をみるとにんげんはせんじてくうべしと)

彼等の祖師、李時珍が作った「本草何とか」を見ると人間は煎じて食うべしと

(あきらかにかいてある。かれはそれでもじんにくをくわぬということがときえようか。)

明かに書いてある。彼はそれでも人肉をくわぬと言うことが説き得ようか。

(うちのあにきときては、まったくそういわれてもしかたがない。かれはほんのこうぎをしたとき、)

家のアニキと来ては、全くそう言われても仕方がない。彼は本の講義をした時、

(あのくちからじかに「こをかへてしかしてくらふ」といったことがある。)

あの口からじかに「子を易へて而して食らふ」と言ったことがある。

(またいちど、ぐうぜんあるよからぬものにたいしてこうろんをしたことがある。)

また一度、偶然ある好からぬ者に対して講論をしたことがある。

(そのときのはなしに、かれはころされるのがとうぜんで、)

その時の話に、彼は殺されるのが当然で、

(まさにそのにくをくらいそのかわにいぬべしといった。)

まさにその肉を食らいその皮に寝ぬべしと言った。

(とうじわたしはまだちいさかったが、しばらくのあいだむねがどきどきしていた。)

当時わたしはまだ小さかったが、しばらくの間胸がドキドキしていた。

(せんじつろうそんのこさくにんがきて、きもをたべたはなしをすると、)

先日狼村の小作人が来て、肝を食べた話をすると、

(かれはかくべつおどろきもせずにたえずくびをゆりうごしていた。)

彼は格別驚きもせずに絶えず首を揺り動していた。

(そらみたことか、おおねがのざんこくだ。)

そら見たことか、おお根が残酷だ。

(「こをかへてしかしてくらふ」がよいことなら、どんなものでもみなかえられる。)

「子を易へて而して食らふ」がよいことなら、どんなものでも皆易えられる。

(どんなひとでもみなくいえられる。わたしはかれのこうぎをうかつにきいていたが、)

どんな人でも皆食い得られる。わたしは彼の講義を迂闊にきいていたが、

(いまあのときのことをかんがえてみると、かれのこうたんにはにんげんのあぶらがついていて、)

今あの時のことを考えてみると、彼の口端には人間の脂がついていて、

(はらのなかにはひとをくいたいとおもうこころがはちきれるばかりだ。)

腹の中には人を食いたいと思う心がハチ切れるばかりだ。

(ろく まっくろけのけで、ひるかしらんよるかしらん。ちょうけのいぬがなきだしやがる。)

六 真黒けのけで、昼かしらん夜かしらん。趙家の犬が哭きだしやがる。

(ししににたきょうしん、うさぎのきょうだ、こりのこうかつ・・・)

獅子に似た兇心、兎の怯懦、狐狸の狡猾・・・

(しち わたしはかれらのしゅだんをさとった。てっとりばやくころしてしまうことは、)

七 わたしは彼等の手段を悟った。手取り早く殺してしまうことは、

など

(いやでもあるし、またやろうともしないのだ。)

いやでもあるし、またやろうともしないのだ。

(つみたたりをおそれているから、みなのものがれんらくをとってあみをはりつめ、)

罪祟りを恐れているから、衆の者が連絡を取って網を張り詰め、

(わたしにじがいをせまっているのだ。しごにちこのかたおうらいのだんじょのようすをみても、)

わたしに自害を迫っているのだ。四五日このかた往来の男女の様子を見ても、

(あにきのこうどうをみてもはちくぶどおりはさとられてきた。)

アニキの行動を見ても八九分通りは悟られて来た。

(いちばんつごうのいいのは、おびをといてはりにかけ、じぶんでくびれてしねば)

一番都合のいいのは、帯を解いて梁に掛け、自分で縊れて死ねば

(かれらにさつじんのざいめいがないわけだ。)

彼等に殺人の罪名がないわけだ。

(そうすればしぜんねがいがとおってみなおおよろこびでねずみなきするだろう。)

そうすれば自然願いが通って皆大喜びで鼠泣きするだろう。

(しかしおどろきおそれうれいかなしんでしんでも、)

しかし驚き恐れ憂い悲しんで死んでも、

(いくらかやせるくらいでまんざらやくにたたないことはない。)

いくらか痩せるくらいでまんざら役に立たないことはない。

(かれらはしにくをたべつつある!--なにかのほんにかいてあったこをおもいだしたが、)

彼等は死肉を食べつつある!--何かの本に書いてあったこを想い出したが、

(「かいおつな」といういっしゅのしろものがある。めつきとようすがとてもみにくい。)

「海乙那」という一種の代物がある。眼光と様子がとても醜い。

(いつもしにくをくって、どんなおおきなほねでもぱりぱりとかみくだき、)

いつも死肉を食って、どんな大きな骨でもパリパりと咬み砕き、

(はらのなかにのみくだしてしまう。おもいだしてもおそろしいものだが、)

腹の中に嚥み下してしまう。想い出しても恐ろしいものだが、

(この「かいおつな」はおおかみのしんるいで、おおかみはいぬのほんけである。)

この「海乙那」は狼の親類で、狼は犬の本家である。

(せんじつちょうけのいぬめがいくどもおれをみたが、さてこそかれもいちみととうで、)

先日趙家の犬めが幾度も乃公を見たが、さてこそ彼も一味徒党で、

(もうひきあいもすんでいるのだろう。あのおやじがいくらじめんをながめたって、)

もう接洽もすんでいるのだろう。あの親爺がいくら地面がを眺めたって、

(おれをごまかすことができるもんか。なかにもきのどくなのはおれのあにきだ。)

乃公を胡魔化すことが出来るもんか。中にも気の毒なのは乃公のアニキだ。

(かれだってにんげんだ。)

彼だって人間だ。

(おそろしいことともおもわずになにゆえなかまをあつめておれをくうのだろう。)

恐ろしい事とも思わずに何ゆえ仲間を集めて乃公を食うのだろう。

(やっぱりながねんのしきたりでわるいこととはおもっていないのだろう。)

やっぱり永年のしきたりで悪い事とは思っていないのだろう。

(それともりょうしんをそうしつしてしまって、しっていながらことさらおかしているのだろう。)

それとも良心を喪失してしまって、知っていながら事さら犯しているのだろう。

(わたしはしょくじんしゃをのろう。)

わたしは食人者を呪う。

(まずかれからほっきしてしょくじんのひとたちをかんゆうし、またかれからせんてをつける。)

まず彼から発起して食人の人達を勧誘し、また彼から先手をつける。

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