坊ちゃん⑼

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問題文
(するととうきょうはよいところでございましょうといったからあたりまえだとこたえてやった。)
すると東京はよい所でございましょうと云ったから当り前だと答えてやった。
(ぜんをさげたげじょがだいどころへいったじぶん、おおきなわらいごえがきこえた。)
膳を下げた下女が台所へいった時分、大きな笑い声が聞えた。
(くだらないから、すぐねたが、なかなかねられない。)
くだらないから、すぐ寝たが、なかなか寝られない。
(あついばかりではない。そうぞうしい。げしゅくのごばいぐらいやかましい。)
熱いばかりではない。騒々しい。下宿の五倍ぐらいやかましい。
(うとうとしたらきよのゆめをみた。)
うとうとしたら清の夢を見た。
(きよがえちごのささあめをささぐるみ、むしゃむしゃくっている。)
清が越後の笹飴を笹ぐるみ、むしゃむしゃ食っている。
(ささはどくだからよしたらよかろうというと、)
笹は毒だからよしたらよかろうと云うと、
(いえこのささがおくすりでございますといってうまそうにくっている。)
いえこの笹がお薬でございますと云って旨そうに食っている。
(おれがあきれかえっておおきなくちをあいてははははとわらったらめがさめた。)
おれがあきれ返って大きな口を開いてハハハハと笑ったら眼が覚めた。
(げじょがあまどをあけている。あいかわらずそらのそこがつきぬけたようなてんきだ。)
下女が雨戸を明けている。相変らず空の底が突き抜けたような天気だ。
(どうちゅうをしたらちゃだいをやるものだときいていた。)
道中をしたら茶代をやるものだと聞いていた。
(ちゃだいをやらないとそまつにとりあつかわれるときいていた。)
茶代をやらないと粗末に取り扱われると聞いていた。
(こんな、せまくてくらいへやへおしこめるのもちゃだいをやらないせいだろう。)
こんな、狭くて暗い部屋へ押し込めるのも茶代をやらないせいだろう。
(みすぼらしいなりをして、ずっくのかばんとけじゅすのこうもりかさをさげてるからだろう)
見すぼらしい服装をして、ズックの革鞄と毛繻子の蝙蝠傘を提げてるからだろう
(いなかもののくせにひとをみくくったな。いちばんちゃだいをやっておどろかしてやろう。)
田舎者の癖に人を見括ったな。一番茶代をやって驚かしてやろう。
(おれはこれでもがくしのあまりをさんじゅうえんほどふところにいれてとうきょうをでてきたのだ。)
おれはこれでも学資のあまりを三十円ほど懐に入れて東京を出て来たのだ。
(きしゃときせんのきっぷだいとざっぴをさしひいて、まだじゅうよえんほどある。)
汽車と汽船の切符代と雑費を差し引いて、まだ十四円ほどある。
(みんなやったってこれからはげっきゅうをもらうんだからかまわない。)
みんなやったってこれからは月給を貰うんだから構わない。
(いなかものはしみったれだからごえんもやればおどろいてめをまわすにきまっている。)
田舎者はしみったれだから五円もやれば驚ろいて眼を廻すに極っている。
(どうするかみろとすましてかおをあらって、へやへかえってまってると、)
どうするか見ろと済して顔を洗って、部屋へ帰って待ってると、
(ゆうべのげじょがぜんをもってきた。)
夕べの下女が膳を持って来た。
(ぼんをもってきゅうじをしながら、やににやにやわらってる。しっけいなやつだ。)
盆を持って給仕をしながら、やににやにや笑ってる。失敬な奴だ。
(かおのなかをおまつりでもとおりゃしまいし。)
顔のなかをお祭りでも通りゃしまいし。
(これでもこのげじょのつらよりよっぽどじょうとうだ。)
これでもこの下女の面よりよっぽど上等だ。
(めしをすましてからにしようとおもっていたが、しゃくにさわったから、)
飯を済ましてからにしようと思っていたが、癪に障ったから、
(ちゅうとでごえんさつをいちまいだして、あとでこれをちょうばへもっていけといったら、)
中途で五円札を一枚出して、あとでこれを帳場へ持って行けと云ったら、
(げじょはへんなかおをしていた。それからめしをすましてすぐがっこうへでかけた。)
下女は変な顔をしていた。それから飯を済ましてすぐ学校へ出懸けた。
(くつはみがいてなかった。)
靴は磨いてなかった。
(がっこうはきのうくるまでのりつけたから、たいがいのけんとうはわかっている。)
学校は昨日車で乗りつけたから、大概の見当は分っている。
(よつかどをにさんどまがったらすぐもんのまえへでた。)
四つ角を二三度曲がったらすぐ門の前へ出た。
(もんからげんかんまではみかげいしでしきつめてある。)
門から玄関までは御影石で敷きつめてある。
(きのうこのしきいしのうえをくるまでがらがらととおったときは、)
きのうこの敷石の上を車でがらがらと通った時は、
(むやみにぎょうさんなおとがするのですこしよわった。)
無暗に仰山な音がするので少し弱った。
(とちゅうからおぐらのせいふくをきたせいとにたくさんあったが、)
途中から小倉の制服を着た生徒にたくさん逢ったが、
(みんなこのもんをはいっていく。)
みんなこの門をはいって行く。
(なかにはおれよりせがたかくってつよそうなのがいる。)
中にはおれより背が高くって強そうなのが居る。
(あんなやつをおしえるのかとおもったらなんだかきみがわるくなった。)
あんな奴を教えるのかと思ったら何だか気味が悪るくなった。
(めいしをだしたらこうちょうしつへとおした。)
名刺を出したら校長室へ通した。
(こうちょうはうすひげのある、いろのくろい、めのおおきなたぬきのようなおとこである。)
校長は薄髯のある、色の黒い、目の大きな狸のような男である。
(やにもったいぶっていた。)
やにもったいぶっていた。
(まあせいだしてべんきょうしてくれといって、うやうやしくおおきないんのだつった、じれいをわたした。)
まあ精出して勉強してくれと云って、恭しく大きな印の捺った、辞令を渡した。
(このじれいはとうきょうへかえるときまるめてうみのなかへほりこんでしまった。)
この辞令は東京へ帰るとき丸めて海の中へ抛り込んでしまった。
(こうちょうはいまにしょくいんにしょうかいしてやるから、)
校長は今に職員に紹介してやるから、
(いちいちそのひとにこのじれいをみせるんだといってきかした。よけいなてすうだ。)
一々その人にこの辞令を見せるんだと云って聞かした。余計な手数だ。
(そんなめんどうなことをするよりこのじれいをみっかかんしょくいんしつへはりつけるほうがましだ。)
そんな面倒な事をするよりこの辞令を三日間職員室へ張り付ける方がましだ。