坊ちゃん(15)

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夏目漱石の坊ちゃん(15)です。
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1 しゅみタイピング 4857 B 5.1 94.1% 444.1 2299 142 41 2024/04/04

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問題文

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(それからまいにちまいにちがっこうへでてはきそくどおりはたらく、)

それから毎日毎日学校へ出ては規則通り働く、

(まいにちまいにちかえってくるとしゅじんがおちゃをいれましょうとでてくる。)

毎日毎日帰って来ると主人がお茶を入れましょうと出てくる。

(いっしゅうかんばかりしたらがっこうのようすもひととおりはのみこめたし、)

一週間ばかりしたら学校の様子もひと通りは飲み込めたし、

(やどのふうふのじんぶつもたいがいはわかった。)

宿の夫婦の人物も大概は分った。

(ほかのきょうしにきいてみるとじれいをうけていっしゅうかんからいっかげつぐらいのあいだは)

ほかの教師に聞いてみると辞令を受けて一週間から一ヶ月ぐらいの間は

(じぶんのひょうばんがいいだろうか、わるいだろうかひじょうにきにかかるそうであるが、)

自分の評判がいいだろうか、悪いだろうか非常に気に掛かるそうであるが、

(おれはいっこうそんなかんじはなかった。)

おれは一向そんな感じはなかった。

(きょうじょうでおりおりしくじるとそのときだけはやなこころもちだが)

教場で折々しくじるとその時だけはやな心持ちだが

(さんじゅっぷんばかりたつときれいにきえてしまう。)

三十分ばかり立つと奇麗に消えてしまう。

(おれはなにごとによらずながくしんぱいしようとおもってもしんぱいができないおとこだ。)

おれは何事によらず長く心配しようと思っても心配が出来ない男だ。

(きょうじょうのしくじりがせいとにどんなえいきょうをあたえて、)

教場のしくじりが生徒にどんな影響を与えて、

(そのえいきょうがこうちょうやきょうとうにどんなはんのうをていするかまるでむとんちゃくであった。)

その影響が校長や教頭にどんな反応を呈するかまるで無頓着であった。

(おれはまえにいうとおりあまりどきょうのすわったおとこではないのだが、)

おれは前に云う通りあまり度胸の据った男ではないのだが、

(おもいきりはすこぶるいいにんげんである。)

思い切りはすこぶるいい人間である。

(このがっこうがいけなければすぐどっかへゆくかくごでいたから、)

この学校がいけなければすぐどっかへ行く覚悟でいたから、

(たぬきもあかしゃつも、ちっともおそろしくはなかった。)

狸も赤シャツも、ちっとも恐しくはなかった。

(ましてきょうじょうのこぞうどもなんかにはあいきょうもおせじもつかうきになれなかった。)

まして教場の小僧共なんかには愛嬌もお世辞も使う気になれなかった。

(がっこうはそれでいいのだがげしゅくのほうはそうはいかなかった。)

学校はそれでいいのだが下宿の方はそうはいかなかった。

(ていしゅがちゃをのみにくるだけならがまんもするが、いろいろなものをもってくる。)

亭主が茶を飲みに来るだけなら我慢もするが、いろいろな者を持ってくる。

(はじめにもってきたのはなんでもいんざいで、とおばかりならべておいて、)

始めに持って来たのは何でも印材で、十ばかり並べておいて、

など

(みんなでさんえんならやすいものだおかいなさいという。)

みんなで三円なら安い物だお買いなさいと云う。

(いなかめぐりのへぼえしじゃあるまいし、そんなものははいらないといったら、)

田舎巡りのヘボ絵師じゃあるまいし、そんなものは入らないと云ったら、

(こんどはかざんとかなんとかいうおとこのかちょうのかけものをもってきた。)

今度は華山とか何とか云う男の花鳥の掛物をもって来た。

(じぶんでとこのまへかけて、いいできじゃありませんかというから、)

自分で床の間へかけて、いい出来じゃありませんかと云うから、

(そうかなといいかげんにあいさつをすると、かざんにはふたりある、)

そうかなと好加減に挨拶をすると、華山には二人ある、

(ひとりはなんとかかざんで、ひとりはなんとかかざんですが、)

一人は何とか華山で、一人は何とか華山ですが、

(このふくはそのなんとかかざんのほうだと、くだらないこうしゃくをしたあとで、)

この幅はその何とか華山の方だと、くだらない講釈をしたあとで、

(どうです、あなたならじゅうごえんにしておきます。おかいなさいとさいそくをする。)

どうです、あなたなら十五円にしておきます。お買いなさいと催促をする。

(かねがないとことわると、かねなんか、いつでもようございますとなかなかがんこだ。)

金がないと断わると、金なんか、いつでもようございますとなかなか頑固だ。

(かねがあってもかわないんだと、そのときはおっぱらっちまった。)

金があっても買わないんだと、その時は追っ払っちまった。

(そのつぎにはおにがわらぐらいなおおすずりをかつぎこんだ。)

その次には鬼瓦ぐらいな大硯を担ぎ込んだ。

(これはたんけいです、たんけいですとにへんもさんぺんもたんけいがるから、)

これは端渓です、端渓ですと二遍も三遍も端渓がるから、

(おもしろはんぶんにたんけいたなにだいときいたら、すぐこうしゃくをはじめだした。)

面白半分に端渓た何だいと聞いたら、すぐ講釈を始め出した。

(たんけいにはじょうそうちゅうそうかそうとあって、いまどきのものはみんなじょうそうですが、)

端渓には上層中層下層とあって、今時のものはみんな上層ですが、

(これはたしかにちゅうそうです、このがんをごらんなさい。がんがみっつあるのはめずらしい。)

これはたしかに中層です、この眼をご覧なさい。眼が三つあるのは珍らしい。

(はつぼくのぐあいもしごくよろしい、ためしてごらんなさいと、)

溌墨の具合も至極よろしい、試してご覧なさいと、

(おれのまえへおおきなすずりをつきつける。)

おれの前へ大きな硯を突きつける。いくらだと聞くと、

(もちぬしがしなからもってかえってきてぜひうりたいといいますから、)

持主が支那から持って帰って来て是非売りたいと云いますから、

(おやすくしてさんじゅうえんにしておきましょうという。)

お安くして三十円にしておきましょうと云う。

(このおとこはばかにそういない。がっこうのほうはどうかこうかぶじにつとまりそうだが)

この男は馬鹿に相違ない。学校の方はどうかこうか無事に勤まりそうだが

(こうこっとうぜめにあってはとてもながくつづきそうにない。)

こう骨董責めに逢ってはとても長く続きそうにない。

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