ツルゲーネフ はつ恋 ③

投稿者cojicojiプレイ回数317
難易度(4.5) 3327打 長文 長文モード推奨タグ小説 長文 文豪
順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 HAKU 6988 S++ 7.2 96.4% 458.5 3327 123 56 2020/09/28
2 おっ 6463 S 6.8 94.8% 484.7 3311 178 56 2020/10/15
3 うねりん 5426 B++ 5.6 96.3% 587.7 3316 127 56 2020/10/23
4 rui 5347 B++ 5.4 98.3% 608.9 3311 55 56 2020/10/23
5 とろ 5012 B+ 5.3 93.4% 611.9 3298 231 56 2020/09/29

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問題文

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(に わたしはまいにち、ゆうがたになると、てっぽうをもってうちのにわをぶらついて、)

二 わたしは毎日、夕方になると、鉄砲を持ってうちの庭をぶらついて、

(からすのばんにんをするのがしゅうかんだった。--このゆだんのない、どんよくでわるいとりにたいして、)

鴉の番人をするのが習慣だった。--この油断のない、貪欲で悪い鳥に対して、

(わたしはずっとまえからぞうおをいだいていたのである。)

わたしはずっと前から憎悪をいたいていたのである。

(さていましがたはなしにでたひも、わたしはやはりにわへでていってーー)

さて今しがた話に出た日も、わたしはやはり庭へ出て行ってーー

(なみきみちというなみきみちをむなしくあるきまわったあげく)

並木道という並木道をむなしく歩き回ったあげく

((からすはわたしをちゃんとしっていて、ただとおくのほうできれぎれに)

(鴉はわたしをちゃんと知っていて、ただ遠くの方できれぎれに

(なくばかりだった)、ふとひくいかきねにちかづいた。)

鳴くばかりだった)、ふと低い垣根に近づいた。

(それは、みぎてのはなれのむこうへのびて、そのいえにぞくしているほそいおびのようなにわと)

それは、右手の傍屋の向こうへ延びて、その家に属している細い帯のような庭と

(うちのりょうぶんとのさかいをなしているのだった。わたしは、うなだれてあるいていた。)

うちの領分との境をなしているのだった。わたしは、うなだれて歩いていた。

(するとふいにがやがやとひとごえがした。わたしはひょいとかきねごしにながめて)

すると不意に、がやがやと人声がした。わたしはひょいと垣根ごしに眺めて

(ーーかせきしたようになってしまった。)

ーー化石したようになってしまった。

(・・・きみょうなこうけいがわたしのめにうつったのである。)

・・・奇妙な光景がわたしの眼に映ったのである。

(わたしからほんのご、ろっぽはなれたところーーあおあおとしたえぞいちごのしげみにかこまれたあきちに、)

私からほんの五,六歩離れた所ーー青々としたエゾ苺の茂みに囲まれた空地に、

(すらりとせのたかいしょうじょが、しまのはいったばらいろのふくをきて、)

すらりと背の高い少女が、縞の入ったバラ色の服を着て、

(しろいぷらとーくをあたまにかぶってたっていた。そのまわりにはよにんのせいねんが)

白いプラトークを頭にかぶって立っていた。そのまわりには四人の青年が

(ぎっしりよりあって、そしてしょうじょはじゅんぐりにせいねんたちのおでこを、)

ぎっしり寄り合って、そして少女は順ぐりに青年たちのおでこを、

(ちいさなはいいろのはなのたばでたたいているのだった。)

小さな灰色の花の束で叩いているのだった。

(そのはなのなをわたしはしらないけれどこどもたちにはなじみのふかいはなである。)

その花の名をわたしはしらないけれど子供たちには馴染みの深い花である。

(それはちいさなふくろのかたちをしたはなで、それでなにかかたいものをたたくと、)

それは小さな袋の形をした花で、それで何か堅いものを叩くと、

(ぽんぽんはじけかえるのであった。)

ぽんぽんはじけ返るのであった。

など

(せいねんたちはさもうれしそうに、てんでにおでこをさしだす。)

青年たちはさも嬉しそうに、てんでにおでこを差出す。

(いっぽうしょうじょのみぶりには(わたしはよこあいからみていたのだが)、)

一方少女の身振りには(わたしは横合いから見ていたのだが)、

(みになんともいえずみわくてきな、たかびしゃな、あいぶするような、あざわらうような、)

実になんとも言えず魅惑的な、高飛車な、愛撫するような、あざ笑うような、

(しかもかわいらしいようすがあったので、わたしはおどろきとうれしさのあまり、)

しかも可愛らしい様子があったので、わたしは驚きと嬉しさのあまり、

(あやうくこえをたてんばかりになって、じぶんもあのてんにょのようなゆびで、)

あやうく声を立てんばかりになって、自分もあの天女のような指で、

(おでこをはじいてもらえさえしたら、そのばでせかいじゅうのものをなげだしても)

おでこをはじいてもらえさえしたら、その場で世界じゅうのものを投げ出しても

(かまわないと、そんなきがした。てっぽうはくさのうえへすべりおち、)

かまわないと、そんな気がした。鉄砲は草の上へ滑り落ち、

(わたしはなにもかもわすれて、そのすらりとしたからだつきや、ほっそりとしたくびのねや、)

私は何もかも忘れて、そのすらりとした体つきや、ほっそりとした頸の根や、

(きれいなあわいろのきんぱつや、)

綺麗な両手や、白いプラトークの下からのぞいているやや乱れた淡色の金髪や、

(そのなかばねむったりこうそうなめもとや、そのまつげや、そのしたにあるあでやかなほおなど)

その半ば眠った利口そうな眼もとや、その睫毛や、その下にある艶やかな頬など

(を、むさぼるようにみつめていた。・・・)

を、むさぼるように見つめていた。・・・

(「きみ、おいきみったら」と、ふいにわたしのそばで、だれかのこえがした。ーー)

「君、おい君ったら」と、不意にわたしのそばで、誰かの声がした。ーー

(「よそのおじょうさんを、そんなふうにみつめてもいいのかい?」)

「よそのお嬢さんを、そんな風に見つめてもいいのかい?」

(わたしは、ぎょっとふるえあがって、ぼうぜんとしてしまった。)

わたしは、ぎょっと震えあがって、茫然としてしまった。

(・・・すぐそばの、かきねのむこうに、くろいかみをみじかくかりこんだみしらぬおとこが)

・・・すぐそばの、垣根の向こうに、黒い髪を短く刈りこんだ見知らぬ男が

(たっていて、ひにくなめつきでわたしをじろじろみていた。)

立っていて、皮肉な眼つきでわたしをじろじろ見ていた。

(ちょうどそのしゅんかん、しょうじょもわたしをふりむいた。・・・わたしが、くりくりと)

ちょうどその瞬間、少女もわたしを振向いた。・・・わたしが、くりくりと

(よくうごくかっきづいたそのかおに、おおきなはいいろのめをみてとったのもつかのまーー)

よく動く活気づいたその顔に、大きな灰色の眼をみてとったのもつかの間ーー

(そのかおぜんたいが、いきなりぶるぶるふるえて、わらいだして、しろいはなみがきらめいて)

その顔全体が、いきなりぶるぶる震えて、笑い出して、白い歯なみがきらめいて

(まゆげがさもおもしろそうにつりあがった。)

眉毛がさも面白そうに釣り上がった。

(・・・わたしはさっとせきめんすると、じべたのてっぽうをひっつかんで、よくとおる、)

・・・わたしはさっと赤面すると、地べたの鉄砲を引っつかんで、よく徹る、

(しかしいじのわるくないたかわらいにおわれながら、いちもくさんにじぶんのへやへ)

しかし意地の悪くない高笑いに追われながら、一目散に自分の部屋へ

(にげこんで、べっどにころがりこむと、りょうてでかおをかくした。)

逃げ込んで、ベッドにころがり込むと、両手で顔を隠した。

(しんぞうはいまにもわれそうにおどっていた。わたしはひどくはずかしく、)

心臓は今にも割れそうに踊っていた。わたしはひどく恥ずかしく、

(またひどくゆかいだった。わたしはまだみにおぼえのないほどのこうふんをかんじた。)

またひどく愉快だった。わたしはまだ身に覚えのないほどの興奮を感じた。

(ひとやすみすると、わたしはかみをなでつけ、ふくをはらって、)

ひと休みすると、わたしは髪を撫でつけ、服を払って、

(おちゃをのみにおりていった。)

お茶を飲みに下りて行った。

(うらわかいむすめのおもかげは、めのまえにちらついて、どうきはもうおちついていたけれど、)

うら若い娘の面影は、眼の前にちらついて、動悸はもう落ち着いていたけれど、

(むねがなにかこころよくしめつけられるおもいだった。)

胸が何か快く締め付けられる思いだった。

(「どうかしたのか?」と、ふいにちちがきいた。--「からすをしとめたのかい?」)

「どうかしたのか?」と、不意に父が訊いた。--「鴉を仕留めたのかい?」

(わたしはすっかりちちにはなしてしまおうかとおもったけれど、じっとこらえて、)

わたしはすっかり父に話してしまおうかと思ったけれど、じっとこらえて、

(にやりとひとりわらいをしただけだった。ねじたくをしながらわたしは、)

にやりと独り笑いをしただけだった。寝支度をしながらわたしは、

(どういうつもりだかしらないが、さんべんほどかたあしでくるくるまわって、)

どういうつもりだか知らないが、三遍ほど片足でくるくる回って、

(かみにぽまーどをぬりたくってよこになるなり、まるでしにんのように、)

髪にポマードを塗りたくって横になるなり、まるで死人のように、

(ぐっすりあさまでねむった。よあけがたにちょっとめをさまして、あたまをもたげ、)

ぐっすり朝まで眠った。夜明け方にちょっと目をさまして、頭をもたげ、

(かんきわまってあたりをぐるぐるみまわしたがーーそれなりまたねいってしまった。)

感きわまってあたりをぐるぐる見回したがーーそれなりまた寝入ってしまった。

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