ツルゲーネフ はつ恋 ④
順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | りく | 5837 | A+ | 5.9 | 97.4% | 475.7 | 2852 | 75 | 47 | 2024/11/03 |
2 | もっちゃん先生 | 4701 | C++ | 4.9 | 95.4% | 568.7 | 2808 | 134 | 47 | 2024/11/09 |
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問題文
(さん ”なんとかして、あのひとたちとしりあいになりたいものだが?”)
三 ”なんとかして、あの人たちとしりあいになりたいものだが?”
(というのが、あくるあさわたしがめをさますがはやいか、まずあたまにうかんだかんがえだった。)
というのが、あくる朝私が目をさますが早いか、まず頭に浮かんだ考えだった。
(わたしはおちゃのまえににわへでてみたが、れいのかきねへはあまりちかよらず、)
わたしはお茶の前に庭へ出てみたが、例の垣根へはあまり近寄らず、
(だれのすがたもみかけなかった。おちゃがすむと、わたしはに、さんべん、べっそうのまえの)
誰の姿も見かけなかった。お茶が済むと、わたしは二、三遍、別荘の前の
(とおりをいったりきたりしてーーとおめにまどをのぞいてみた。)
通りを行ったり来たりしてーー遠目に窓をのぞいてみた。
(・・かーてんのかげに、あのひとのかおがみえたようなきがしたので、わたしはあわてて、)
・・カーテンの陰に、あの人の顔が見えたような気がしたので、私はあわてて、
(さっさとまえをいきすぎた。”だが、どうしてもしりあいにならなくちゃ”と、)
さっさと前を行き過ぎた。”だが、どうしても知り合いにならなくちゃ”と、
(わたしは、ねすくーちぬぃこうえんのまえにひろがっているすなはらを、)
わたしは、ネスクーチヌィ公園の前に拡がっている砂原を、
(めちゃめちゃにあるきまわりながらかんがえた。”しかし、どうしたらいいかな?)
めちゃめちゃに歩き回りながら考えた。”しかし、どうしたらいいかな?
(そこがもんだいだ”わたしは、きのうひょいとであったときのことを、)
そこが問題だ”わたしは、きのうひょいと出会った時のことを、
(ごくこまかなてんまでいちいちおもいうかべてみた。)
ごく細かな点まで一々思い浮かべてみた。
(どうしたわけだが、とりわけはっきりおもいうかぶのは、)
どうしたわけだが、とりわけはっきり思い浮かぶのは、
(かのじょがわたしにあびせたあのわらいごえだった。)
彼女がわたしに浴びせたあの笑い声だった。
(・・・とはいえ、わたしがしきりにきをもんで、いろんなけいかくをたてているうちに、)
・・・とはいえ、私がしきりに気をもんで、いろんな計画を立てているうちに、
(うんめいはちゃんとおぜんだてをしてくれたのである。)
運命はちゃんとお膳立てをしてくれたのである。
(わたしのいないあいだに、はははあたらしいりんじんから、はいいろのかみにしたためたてがみを)
わたしのいない間に、母は新しい隣人から、灰色の髪にしたためた手紙を
(うけとっていた。しかもそれをふうじたくろちゃっしょくのふうろうときたら、)
受け取っていた。しかもそれを封じた黒茶色の封蝋ときたら、
(ゆうびんきょくのつうちじょうかやすぶどうしゅのせんにしかつかわないようなしろものだった。)
郵便局の通知状か安葡萄酒の栓にしか使わないような代物だった。
(そのてがみは、いかにもむじらしいぶんしょうにくわえるにきたならしいひっせきをもって)
その手紙は、いかにも無字らしい文章に加えるに汚らしい筆跡をもって
(かいてあって、ようするにこうしゃくふじんがわたしのははにひごしてもらいたい)
書いてあって、要するに侯爵夫人がわたしの母に庇護してもらいたい
(むねをねがいでたものだった。)
旨を願い出たものだった。
(つまり、こうしゃくふじんのことばによると、わたしのはははに、さんのじゅうようなじんぶつとそうしき)
つまり、侯爵夫人の言葉によると、わたしの母は二、三の重要な人物と相識
(のあいだがらであるが、いまやふじんはすこぶるじゅうだいなそしょうをおこしていて、)
の間柄であるが、今や夫人はすこぶる重大な訴訟を起こしていて、
(かのじょじしんのうんめいもまたそのしじょのうんめいも、)
彼女自身の運命もまたその子女の運命も、
(かかってそれらじんぶつのしゅちゅうにあるというのである。)
かかってそれら人物の手中にあるというのである。
(”そつじながらわたしこと”と、かいてあった、)
”卒事ながらわたし事”と、書いてあった、
(ーー”しゅくじょとしてしゅくじょたるあなたさまにおてがみまいらせそうろう。)
ーー”淑女として淑女たるあなた様にお手紙まいらせ候。
(このきかいにめぐまされそうろうこと、まことによろこばしきかぎりにて”)
この期会にめぐまされ候こと、まことに喜ばしき限りにて”
(しかじかといったちょうしで、おわりにかのじょははにむかって、)
しかじかといった調子で、終わりに彼女は母にむかって、
(ほうもんをおゆるしねがいたいともうしでていた。わたしがそとからかえってみると、)
訪問をお許しねがいたいと申し出ていた。わたしが外から帰ってみると、
(はははごきげんななめのていだった。ちちがふざいなので、)
母はご機嫌斜めのていだった。父が不在なので、
(だれとそうだんしようにもあいてがいなかったのだ。いやしくも”しゅくじょ”であり、)
誰と相談しようにも相手がいなかったのだ。いやしくも”淑女”であり、
(おまけにこうしゃくふじんともあろうひとに、へんじをしないわけにはゆかず、)
おまけに侯爵夫人ともあろう人に、返事をしないわけにはゆかず、
(ではどうへんじをするかというだんになるとーーはははとほうにくれざるをえなかった。)
ではどう返事をするかという段になるとーー母は途方に暮れざるを得なかった。
(へんじをふらんすごでかくのは、ばはずれのようなきがするし、)
返事をフランス語で書くのは、場はずれのような気がするし、
(さりとてろしあごのつづりにかけてはははふえてだったしーー)
さりとてロシア語のつづりにかけては母は不得手だったしーー
(じぶんでもそれをしっていたので、みすみすはじをさらしたくなかったのである。)
自分でもそれを知っていたので、みすみす恥をさらしたくなかったのである。
(はははわたしがかえってきたのをよろこんで、かおをみるなり、)
母はわたしが帰って来たのを喜んで、顔を見るなり、
(これからこうしゃくふじんのところへいって、こうとうをもって、)
これから侯爵夫人のところへ行って、口頭をもって、
(わたしのはははちからのおよぶかぎりいつなんどきでもおくさまのおやくにたちたいとぞんじているむね)
わたしの母は力の及ぶ限りいつ何時でも奥様のお役に立ちたいと存じている旨
(をのべ、じゅうにじすぎにごこうらいをおまちするとつたえるようにいいつけた。)
を述べ、十二時過ぎにご光来をお待ちすると伝えるように言いつけた。
(じぶんのひそかなねんがんが、おもいもかけずさっそくかなうことになったので、)
自分のひそかな念願が、思いもかけず早速かなうことになったので、
(わたしはうれしくもあればそらおそろしくもあった。)
わたしはうれしくもあれば空恐ろしくもあった。
(とはいえわたしは、じぶんをとらえているとうわくをおもてにあらわさずーー)
とはいえわたしは、自分をとらえている当惑を表にあらわさずーー
(まずじぶんのへやへひきとって、あたらしいねくたいとちいさなふろっくこーとを)
まず自分の部屋へ引き取って、新しいネクタイと小さなフロックコートを
(つけることにした。いえにいるときは、まだわたしはみじかいうわぎをきて、)
着けることにした。家にいるときは、まだわたしは短い上着を着て、
(おりえりのからーをしていたのだが、じつはそれがいやでならなかったのである。)
折り襟のカラーをしていたのだが、実はそれが嫌でならなかったのである。