ツルゲーネフ はつ恋 ⑨

投稿者cojicojiプレイ回数000
難易度(4.5) 4061打 長文 長文モード推奨タグ小説 長文 文豪
順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 おっ 6525 S+ 6.9 93.7% 576.5 4029 267 65 2020/10/16
2 たなか2 5578 A 5.7 96.8% 696.2 4015 131 65 2020/11/10
3 うねりん 5443 B++ 5.6 96.5% 715.7 4042 146 65 2020/10/27
4 4771 B 5.0 94.0% 797.1 4060 257 65 2020/11/13
5 ゆず彦 4344 C+ 4.6 93.3% 866.6 4055 290 65 2020/10/07

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問題文

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(ろく そのばんいっぱいとあくるあさのあいだじゅう、わたしはなんだかうつうつとしずみこんだ)

六 その晩いっぱいとあくる朝の間じゅう、わたしはなんだか欝々と沈み込んだ

(きもちですごした。わすれもしない、わたしはべんきょうしようとおもって、かいだーのふ)

気持ちで過した。わすれもしない、わたしは勉強しようと思って、カイダーノフ

(をよみはじめたがーーけっきょくこのゆうめいなきょうかしょのぱらりとくんだぺーじが、)

を読み始めたがーー結局この有名な教科書のぱらりと組んだページが、

(めのまえにちらちらするばかりで、なんにもならなかった。じっぺんもたてつづけに)

眼の前にちらちらするばかりで、なんにもならなかった。十遍も立て続けに

(わたしは”ゆりうす・けーざるはぶゆうよにすぐれ”というもんくをよみくだしたがー)

わたしは”ユリウス・ケーザルは武勇世にすぐれ”という文句を読み下したがー

(なにひとつあたまにはいらないので、ほんをなげだしてしまった。ゆうがたになると、)

何ひとつ頭に入らないので、本を投げ出してしまった。夕方になると、

(わたしはまたぽまーどをぬりたくって、またもやふろっくこーととねくたいをつけた)

私はまたポマードを塗りたくって、またもやフロックコートとネクタイを着けた

(「そりゃ、どういうつもりなの?」とはははたずねた。--「おまえはまだ)

「そりゃ、どういうつもりなの?」と母は尋ねた。--「お前はまだ

(だいがくせいじゃないんですよ。それに、)

大学生じゃないんですよ。それに、

(しけんだってうかるかどうかわかりもしないのにさ。あのみじかいうわぎだって、)

試験だってうかるかどうかわかりもしないのにさ。あの短い上着だって、

(まだついこのあいだぬいあわせたばかりじゃないか?もったいないですよ!」)

まだついこのあいだ縫い合わせたばかりじゃないか?勿体ないですよ!」

(「おきゃくさまがくるので」とわたしは、ほとんどひっしになってささやいた。)

「お客様が来るので」とわたしは、ほとんど必死になってささやいた。

(「ばかをおいい!あれがおきゃくさまなものですか!」こうさんするよりほかはなかった。)

「馬鹿をお言い!あれがお客様なものですか!」降参するよりほかはなかった。

(わたしはふろっくをみじかいうわぎにきがえたが、ねくたいはとらなかった。)

わたしはフロックを短い上着に着替えたが、ネクタイは取らなかった。

(こうしゃくふじんはむすめをつれて、ゆうしょくのさんじゅっぷんまえにやってきた。)

侯爵夫人は娘を連れて、夕食の三十分前にやって来た。

(ろうふじんは、すでにわたしにはおなじみのれいのみどりいろのふくのうえにきいろいしょーるを)

老夫人は、すでにわたしにはお馴染みの例の緑色の服の上に黄色いショールを

(ひっかけ、ひのようないろのりぼんかざりのついたきゅうしきのしつないぼうをかぶっていた。)

引っかけ、火のような色のリボン飾りのついた旧式の室内帽をかぶっていた。

(かのじょはたちまちてがたのはなしをやりだして、ためいきをついたり、じぶんのびんぼうを)

彼女はたちまち手形の話をやり出して、溜息をついたり、自分の貧乏を

(うったえたり、”おねだり”をはじめたりするのだったが、れいぎもさほうもさっぱり)

訴えたり、”おねだり”を始めたりするのだったが、礼儀も作法もさっぱり

(おかまいなしで、あいかわらずそうぞうしくかぎたばこをかいだり、いすのうえで)

お構いなしで、相変わらず騒々しく嗅ぎ煙草を嗅いだり、椅子の上で

など

(きままかってにみをねじまげたり、もぞもぞしたりしていた。じぶんがこうしゃくふじんだ)

気まま勝手に身をねじ曲げたり、もぞもぞしたりしていた。自分が侯爵夫人だ

(などということは、てんでねんとうにうかんでもこないらしい。)

などということは、てんで念頭に浮んでも来ないらしい。

(それにひきかえじないーだは、すこぶるつんと、ほとんどごうまんなほどにかまえて、)

それに引替えジナイーダは、すこぶるツンと、ほとんど傲慢なほどに構えて、

(あっぱれこうしゃくれいじょうであった。そのかおには、ぴくりともしないそんだいなひょうじょうが)

あっぱれ侯爵令嬢であった。その顔には、ぴくりともしない尊大な表情が

(あらわれていたのでーーわたしはまるでべつじんのようにみえ、あのまなざしも)

表れていたのでーーわたしはまるで別人のように見え、あの眼差しも

(あのびしょうも、てんでみあたらなかったけれど、それでいてこのあたらしいすがたに)

あの微笑も、てんで見当たらなかったけれど、それでいてこの新しい姿に

(なっても、わたしにはやはりすばらしいおじょうさんとおもわれた。)

なっても、わたしにはやはり素晴らしいお嬢さんと思われた。

(きているのは、ふわりとしたうすいしゃのふくで、うすあおいからくさもようがついていた。)

着ているのは、ふわりとした薄い紗の服で、淡青い唐草模様がついていた。

(かみはいぎりすふうに、ながいふさをなしてりょうのほおにたれかかっていた。このかみかたちが)

髪はイギリス風に、長い房をなして両の頬に垂れかかっていた。この髪かたちが

(かのじょのかおのひややかなひょうじょうに、しっくりあっていた。)

彼女の顔の冷ややかな表情に、しっくり合っていた。

(ちちはしょくじのあいだ、かのじょのよこのせきをしめて、もちまえのゆうびで)

父は食事の間、彼女の横の席を占めて、もちまえの優美で

(おちつきはらったいんぎんさで、りんせきのれいじょうのおあいてをつとめていた。ちちはときおり)

落着き払った慇懃さで、隣席の令嬢のお相手をつとめていた。父は時折

(かのじょのかおをちらりとながめやるーーかのじょのほうでも、ときたまちちをみかえす。)

彼女の顔をちらりと眺めやるーー彼女の方でも、時たま父を見返す。

(そのかのじょのかおつきが、じつにふしぎな、ほとんどてきいをふくんだものだった。)

その彼女の顔つきが、じつに不思議な、ほとんど敵意をふくんだものだった。

(ふたりはふらんすごではなしあっていたが、わたしはいまでもおもいだす、)

二人はフランス語で話し合っていたが、わたしは今でも思い出す、

(じないーだのはつおんのきれいさに、びっくりしたものである。)

ジナイーダの発音の奇麗さに、びっくりしたものである。

(こうしゃくふじんはしょくじのあいだも、れいによってちっともえんりょせずに、さかんにたべては、)

侯爵夫人は食事の間も、例によってちっとも遠慮せずに、さかんに食べては、

(りょうりをほめそやした。ははは、いかにもこのあいてがにやっかいらしく、)

料理を褒めそやした。母は、いかにもこの相手が荷厄介らしく、

(なんだかめいったようなきのりのしないちょうしで、しぶしぶうけこたえをしていた。)

なんだか滅入ったような気乗りのしない調子で、しぶしぶ受け答えをしていた。

(ちちはときたま、かすかにまゆのねをひそめた。)

父は時たま、かすかに眉の根をひそめた。

(じないーだもやはり、ははのきにいらなかった。)

ジナイーダもやはり、母の気に入らなかった。

(「なんだかこうまんちきなむすめだこと」と、はははあくるひそういった。--)

「なんだか高慢ちきな娘だこと」と、母はあくる日そう言った。--

(「よくかんがえてみるがいいわーーなにをこうまんぶることがあるんだろうーー)

「よく考えてみるがいいわーー何を高慢ぶることがあるんだろうーー

(あんなぐりぜっとみたいなかおをしてさ)

あんなグリゼットみたいな顔をしてさ

(”あヴぇく・さ・みーぬ・ど・ぐりせっと”!」)

”アヴェク・サ・ミーヌ・ド・グリセット”!」

(「きみはたしか、ぱりのしたまちむすめ”ぐりぜっと”をみたことがないはずだが」)

「君は確か、パリの下町娘”グリゼット”を見たことがないはずだが」

(と、ちちはちくりとさした。「ええ、ありがたいことにね!」)

と、父はチクリと刺した。「ええ、ありがたいことにね!」

(「もちろん、ありがたいことにはちがいないが・・・だが、それでどうして)

「もちろん、ありがたいことには違いないが・・・だが、それでどうして

(あれらのことを、とやかくいえるのかね?」わたしのほうへは、)

あれらのことを、とやかくいえるのかね?」わたしの方へは、

(じないーだはてんでちゅういをむけずじまいだった。)

ジナイーダはてんで注意を向けずじまいだった。

(しょくじがすむとまもなく、こうしゃくふじんはわかれのあいさつをしはじめた。)

食事が済むと間もなく、侯爵夫人は別れの挨拶をし始めた。

(「どうぞこんごとも、よろしくおちからぞえのほどを、おくさまにもだんなさまにも)

「どうぞ今後とも、よろしくお力添えのほどを、奥様にも旦那様にも

(おねがいしますよ」と、かのじょはうたうようにこえをひっぱりながらははとちちにいった。)

お願いしますよ」と、彼女は歌うように声を引っぱりながら母と父に言った。

(ーー「しかたありませんわ!いいときもありましたけれど、かえらぬむかしでしてねえ。)

ーー「仕方ありませんわ!いい時もありましたけれど、返らぬ昔でしてねえ。

(これでももとはーーおくさまとたてられたものですけど」とかのじょは、)

これでももとはーー奥様と立てられたものですけど」と彼女は、

(いやなわらいごえをたてていいそえて、ーー「せにはらは、とやらもうしましてねえ」)

いやな笑い声を立てて言い添えて、ーー「背に腹は、とやら申しましてねえ」

(ちちはうやうやしくふじんにいちれいすると、ひかえしつのどあまでうでをかしておくっていった。)

父はうやうやしく夫人に一礼すると、控室のドアまで腕を貸して送って行った。

(わたしはつんつるてんのみじかいうわぎをきたまま、じっとそこにつったって、)

わたしはつんつるてんの短い上着を着たまま、じっとそこに突っ立って、

(しけいをいいわたされたしゅうじんよろしくのていでゆかをみつめていた。)

死刑を言い渡された囚人よろしくのていで床を見つめていた。

(じないーだのつめたいたいどをみて、すっかりしょげてしまったのである。)

ジナイーダの冷たい態度を見て、すっかり悄気てしまったのである。

(ところが、ああなんというおどろきだったろう。かのじょはわたしのまえをとおりすぎる)

ところが、ああなんという驚きだったろう。彼女はわたしの前を通り過ぎる

(とき、れいのやさしいひょうじょうをめにうかべて、わたしにこうささやいたのだ、--)

時、例の優しい表情を眼に浮かべて、わたしにこうささやいたのだ、--

(「こんやはちじに、うちへいらっしゃいね、よくって、きっとよ・・・」)

「今夜八時に、うちへいらっしゃいね、よくって、きっとよ・・・」

(わたしはあまりのおもいがけなさに、りょうてをひろげたがーーそれなりかのじょは、)

わたしはあまりの思いがけなさに、両手をひろげたがーーそれなり彼女は、

(しろいすかーふをふわりとあたまにかけると、さっさとむこうへいってしまった。)

白いスカーフをふわりと頭にかけると、さっさと向こうへ行ってしまった。

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