ああ玉杯に花うけて 5

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プレイ回数380難易度(4.4) 3110打 長文
佐藤紅緑の「ああ玉杯に花うけて」です
長文なので注意してください。現在では不適切とされている表現を含むことがあります。
順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 りっつ 5044 B+ 5.1 98.7% 597.7 3054 39 63 2024/03/21
2 Par100 4113 C 4.1 98.9% 734.6 3055 33 63 2024/04/08

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問題文

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(「はものをもって・・・・・・ひれつなやつ」)

「刃物をもって……卑劣なやつ」

(いわおのふんぬはぜっちょうにたっした、およそがくせいのけんかは)

巌の憤怒は絶頂に達した、およそ学生の喧嘩は

(そうほうぼっけんをもってたたかうことをだいいちとし、かくとうをだいにとする、)

双方木剣をもって戦うことを第一とし、格闘を第二とする、

(とうじんやじゅうきをもってすることはげれつでありしゅうあくであり)

刀刃や銃器をもってすることは下劣であり醜悪であり

(がくせいとしてよわいするにたらざることとしている、)

学生としてよわいするにたらざることとしている、

(これこらいがくせいのぶしどうすなわちがくせいどうである。)

これ古来学生の武士道すなわち学生道である。

(「ころされてもかまわん」とせいばんはけっしんした。)

「殺されてもかまわん」と生蕃は決心した。

(かれのしゃくどういろのかおのひふはきんちょうしてそのあついくちびるはしゅのごとくあかくなった。)

かれの赤銅色の顔の皮膚は緊張してその厚いくちびるは朱のごとく赤くなった。

(「さあ、こい」きまたはさいどのしっぱいにもうきがてんとうしてきた。)

「さあ、こい」木俣は再度の失敗にもう気が顛倒してきた。

(かれはいまここでせいばんをころさなければふたたびせじんにかおむけがならないとおもった)

かれはいまここで生蕃を殺さなければふたたび世人に顔向けがならないと思った

(かれははとうにたてがみをふるうししのごとくまっしぐらにとっしんした、)

かれは波濤にたてがみをふるうししのごとくまっしぐらに突進した、

(こがたなはひとびとのめをいた、てきもみかたもきょうふにうたれて)

小刀は人々の目を射た、敵も味方も恐怖に打たれて

(なんぴともとめようともせずにりょうにんのいのちがけのしょうぶをみていた。)

何人もとめようともせずに両人の命がけの勝負を見ていた。

(せいばんはみぎにかわしひだりにかわしてたくみにてきのてをくぐりぬけ、)

生蕃は右にかわし左にかわしてたくみに敵の手をくぐりぬけ、

(てきのあしもとのみだれるのをまっていた、)

敵の足元のみだれるのを待っていた、

(だがきまたはこころにあせりながらもからだにみだれはなかった、)

だが木俣は心にあせりながらもからだにみだれはなかった、

(かれはじゅうおうにせいばんをおいつめた。)

かれは縦横に生蕃を追いつめた。

(そこはがっこうのかきねである、ほいっぽにつめられたせいばんはうしろをかきにさえぎられた。)

そこは学校の垣根である、歩一歩に詰められた生蕃は後ろを垣にさえぎられた。

(「しまった」とかれはおもった、)

「しまった」とかれは思った、

(だが、にげることはぜったいにきらいである。)

だが、逃げることは絶対にきらいである。

など

(てきをかきねにおびきよせじぶんがかいほうのちいにたつほうがりえきだとおもった、)

敵を垣根におびきよせ自分が開放の地位に立つ方が利益だと思った、

(しかしかれのこのほうさくはあやまった、)

しかしかれのこの方策はあやまった、

(てきをしてほうこうをてんかんさせるべく、そこにおおきなしょうがいがある、)

敵をして方向を転換させるべく、そこに大きな障害がある、

(かれのみぎにさんじゃくばかりのへんぺいないしがあるのにきがつかなかった。)

かれの右に三尺ばかりの扁平な石があるのに気がつかなかった。

(「ちくしょう!」らいおんはこえとともにせいばんのかたさきめがけてとびこんだ。)

「畜生!」ライオンは声とともに生蕃の肩先めがけて飛びこんだ。

(ひらりとみをかわしたがせいばんはいしにつまずいてばたりとたおれた。)

ひらりと身をかわしたが生蕃は石につまずいてばたりとたおれた。

(「あっ!」にねんせいはいっせいにさけんだ、)

「あっ!」二年生は一せいに叫んだ、

(らいおんはせいばんのうえにしっぷうのごとくおどりあがった。)

ライオンは生蕃の上に疾風のごとくおどりあがった。

(とこのときひじょうなすばやさをもってかきねのよこから)

とこのとき非常な迅速さをもって垣根の横から

(らいおんのあしもとにとびこんだものがある、)

ライオンの足元に飛びこんだものがある、

(らいおんはそれにつまずいてたおれた、)

ライオンはそれにつまずいてたおれた、

(かれのてにはこがたながやはりひかっていた。)

かれの手には小刀がやはり光っていた。

(とびこんだがくせいはらいおんにつまずかしたうえで)

飛びこんだ学生はライオンにつまずかした上で

(おきあがってらいおんをだきしめた、)

起きあがってライオンをだきしめた、

(らいおんはやたらにこがたなをふってかれをつこうとした。)

ライオンはやたらに小刀をふってかれをつこうとした。

(「しめたっ」おきあがったせいばんははいごかららいおんののどをしめた。)

「しめたッ」起きあがった生蕃は背後からライオンののどをしめた。

(らいおんはぐったりとまいってしまった。)

ライオンはぐったりとまいってしまった。

(「けがしなかったか、やなぎくん」とせいばんはまっさおなかおをしていった。)

「けがしなかったか、柳君」と生蕃はまっさおな顔をしていった。

(「なんでもないよ」こういちはてからしたたるちしおをはんけちでふいていた。)

「なんでもないよ」光一は手からしたたる血汐をハンケチでふいていた。

(「はやいことをするな」「やなぎにあんなゆうきがあったのか」)

「早いことをするな」「柳にあんな勇気があったのか」

(どうきゅうせいはあっけにとられてささやきあった。)

同級生はあっけに取られてささやきあった。

(そうほうともふたたびたたかうきもなくなった、)

双方ともふたたび戦う気もなくなった、

(いぬはいつのまにかたたかいをやめてにげてしまった。)

犬はいつのまにか戦いをやめて逃げてしまった。

(ごふんかんのあと、きまたはかいきした。せいばんとこういちはみずをのませてかいほうした。)

五分間の後、木俣は回気した。生蕃と光一は水を飲ませて介抱した。

(「きょうはやられた」ときまたはいった。)

「今日はやられた」と木俣はいった。

(「あしたもやられるよ」とせいばんがいった。)

「明日もやられるよ」と生蕃がいった。

(「いずれね」「どうどうとこいよ」)

「いずれね」「堂々とこいよ」

(きまたはさった、さんねんせいがさった、にねんせいははじめてときのこえをあげた。)

木俣は去った、三年生が去った、二年生ははじめてときの声をあげた。

(「きみのおかげだよ」とせいばんはしみじみとこういちにいった。「きみはつよいんだね」)

「きみのおかげだよ」と生蕃はしみじみと光一にいった。「きみは強いんだね」

(「いやぼくはよわいよ」)

「いやぼくは弱いよ」

(「そうじゃない、あのばあいきみがらいおんのまたぐらへとびこんで)

「そうじゃない、あの場合きみがライオンのまたぐらへ飛びこんで

(くれなかったら、ぼくはあのこがたなでひとつきにされるところだったんだ」)

くれなかったら、ぼくはあの小刀で一つきにされるところだったんだ」

(とせいばんがいった。)

と生蕃がいった。

(「もしぼくがつかれてしんだらきみはどうするつもりだ」)

「もしぼくがつかれて死んだらきみはどうするつもりだ」

(とこういちはとものかおをのぞくようにしていった。)

と光一は友の顔をのぞくようにしていった。

(「きみがしんだらか」とせいばんはいった。「おれもしぬよ」)

「君が死んだらか」と生蕃はいった。「おれも死ぬよ」

(「そうしてぼくをころしたきまたもいきていられないとすれば・・・・・・)

「そうしてぼくを殺した木俣も生きていられないとすれば……

(さんにんだ・・・・・・さんにんしぬことになる、つまらないとおもわんか」)

三人だ……三人死ぬことになる、つまらないと思わんか」

(「うむ」せいばんはしばらくかんがえたが、やがておおきなこえでわらいだした。)

「うむ」生蕃はしばらく考えたが、やがて大きな声でわらいだした。

(「おまえおれにけんかをよさせようとおもってるんだろう、それだけはいけない」)

「おまえおれに喧嘩をよさせようと思ってるんだろう、それだけはいけない」

(どうきゅうせいはいちどにわっとわらいだした。)

同級生は一度にわっとわらいだした。

(「だがやなぎ」とせいばんはまたいった。)

「だが柳」と生蕃はまたいった。

(「ぼくはきみにあたまがあがらなくなったね」)

「ぼくはきみに頭があがらなくなったね」

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