黒き女将の宿
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歌詞(問題文)
(「がいつ」)
『ガイツ』
(「よいやみのかぜにゆれる、ゆかいなくろいぶらんこ・・・」)
「宵闇の風に揺れる、愉快な黒いぶらんこ…」
(ぶらん。ぶらん。かぜふきゃぶらん)
ぶらん。ぶらん。風吹きゃ ぶらん
(おどるよくろいぶらんこ・・・・・・。)
踊るよ 黒いぶらんこ……。
(「きみはなぜこのきょうかいをこえてしまったのか。)
「君は何故この境界を越えてしまったのか。
(さぁ、うたってごらん」)
さぁ、唄ってごらん」
(おらはまずしいむらにうまれいっつもはらをすかせてた)
おらは貧しい村に生まれ いっつも腹を空かせてた
(おかしでできたいえがあったらあったらほんとうによかんべな)
お菓子で出来た家があったら あったら本当に良かんべな
(「ひとはしんこうによってのみすくわれる」と)
「人は信仰によってのみ救われる」と
(えらいぼうさんがいったとさほんっていうのにかいたとさ)
偉い坊さんが言ったとさ 本っていうのに書いたとさ
(かみさまがたすけてくれるならたらふくおまんまくえっぺな)
神様が助けてくれるなら たらふく飯食えっぺな
(おとうたちはかまをてにでかけていった)
お父達は鎌を手に 出かけて行った
(そのひのそらのいろかなしいほどにあかく・・・・・・)
その日の空の色 哀しい程に朱く……
(「げーふぇんばうあーしょうぐんに、つづけぇ!」)
「ゲーフェンバウアー将軍に、続けェ!」
(「おおー!」)
「おおー!」
(たいほうがほえりゃ「つばさもないのに」)
大砲が吼えりゃ 「翼もないのに」
(ひとがそらをとび「かろやかにたかく」)
人が空を飛び 「軽やかに高く」
(せんそうとはなばかりのただのさつりくさ)
戦争とは名ばかりの 唯の殺戮さ
(ああぶきがのうぐじゃ「ざんねんだけれど」)
嗚呼武器が農具じゃ 「残念だけれど」
(しゃていがみじかかすぎた「ざんこくなほどに」)
射程が短かすぎた 「残酷なほどに」
(せんそうとはなばかりのただのさつりくさ)
戦争とは名ばかりの 唯の殺戮さ
(むらのはたらきてはけっきょくそのほとんどがにどとはかえってこなかった・・・・・・)
村の働き手は結局その殆どが 二度とは帰ってこなかった……
(「そしておらは、とおくのまちへと・・・・・・うられた」)
「そしておらは、遠くの町へと……売られた」
(ふぉんうんべかんてんあるたーうんとげしゅれひと.)
フォン ウンベカンテン アルター ウント ゲシュレヒト.
(べげーぐねんふぇあはいせんぺひ.)
ベゲーグネン フェアハイセン ペヒ.
(あいんれーべんいすつめあしゅれひたあるすれひと.)
アイン レーベン イスツ メア シュレヒタ アルス レヒト.
(であがすとほふであヴぇあてぃんくくろぎつねてい)
デア ガストホフ デア ヴェアティンク “黒狐亭”
(「とうがたってひさしい、くそばばあがひとり。)
「薹が立って久しい、クソババアが独り。
(ずぶとくいきてゆくには、きれいごとばかりじゃ・・・・・・ないわよっ!)
図太く生きてゆくには、綺麗事ばかりじゃ……ないわよっ!
(あいしたおとこは、みなはかなくちった。)
愛した男は、皆儚く散った。
(うんがわるいのか、じだいがわるいのか・・・・・・)
運が悪いのか、時代が悪いのか……
(ああみっつぁーはけだかく、ふってんはかれいで、)
嗚呼ミッツァーは気高く、フッテンは華麗で、
(だれよりもはげしかったわ」)
誰よりも――激しかったわ」
(「おがみさん、おがみさん!)
「おがみさん、おがみさん!
(おい、くそばばあ!」)
おい、クソババア!」
(「な~にぃよぉ」)
「な~にぃよぉ」
(「おきゃくさまがおまちになってやがりますだよ」)
「お客様がお待ちになってやがりますだよ」
(「もうぅ、うるさいわねぇ!)
「もうぅ、うるさいわねぇ!
(いませっかくいいところだったのにぃ!」)
今せっかく良いところだったのにぃ!」
(「あんたのようないなかっぺ、ひろってやったのはどこのだれかしら?)
「あんたのような田舎っぺ、拾ってやったのは何処の誰かしら?
(くちのききかたにゃ・・・・・・きをつけなさいっ!」)
口の利き方にゃ……気をつけなさいっ!」
(「わーがったっつってんべ」)
「わーがったっつってんべ」
(「さぁさだんなどうぞ。ぬるいびーあはいかが?」)
「さぁさ旦那どうぞ。温い麦酒は如何?」
(「うめぇだよ」)
「うめぇだよ」
(「じまんのぐーなればーかっへ、ごよういいたしましょう」)
「自慢の最高な肝臓料理、ご用意致しましょう」
(「あー!ちょいしつれいっ!」)
「あー!ちょい失礼っ!」
(よいやみへとびだしたおかみをにらみ)
宵闇へ飛び出した女将を睨み
(きゃくはいかりおらはひらあやまり)
客は怒り おらは平謝り
(そしてこいちじかんご・・・)
――そして小一時間後…
(くうきよまずでもどったおかみのてには)
空気読まず出戻った女将の手には
(しょくざいのしんせんなしょくざい)
贖罪の新鮮な食材
(そのあじにいかりくるったきゃくもきげんをなおした)
その味に怒り狂った客も機嫌を直した
(そのことであじをしめたおかみのぼうそうはつづく・・・・・・)
その事で味を占めた女将の暴走は続く……
(「おーっほっほっほっほ!)
「おーっほっほっほっほ!
(したいがないならつくればいいじゃなーい?)
屍体が無いなら作ればいいじゃなーい?
(おらもういやだぁ、まずしいのはぁ・・・ひもじいのはぁ・・・)
おらもう嫌だぁ、貧しいのはぁ…ひもじいのはぁ…
(あんなみじめなおもいはぁ、もういやあああぁ!」)
あんな惨めな思いはぁ、もういやあああぁ―!」
(「ひっしにいきたけど、ろくなごとがねぇ。)
「必死に生きたけど、ロクなごとがねぇ。
(けっきょくじんせいってなんだべ・・・よくわかんねぇ・・・・・・」)
結局人生ってなんだべ…よく分かんねぇ……」
(「なるほど、それできみはつるされたわけだね?)
「成程、其れで君は吊るされた訳だね?
(ざんねんながらみにおぼえのないつみで。)
残念ながら身に覚えのない罪で。
(それがじじつであれ、きょこうであれ、うばわれたものはとりかえすものさ。)
其れが事実であれ、虚構であれ、奪われたものは取り返すものさ。
(さぁ、ふくしゅうげきをはじめようか・・・」)
さぁ、復讐劇を始めようか…」
(とんとんとんとんとびらをとんとん)
とんとん とんとん 扉をとんとん
(とんとんとんとんとびらをとんとん)
とんとん とんとん 扉をとんとん
(とんとんとんとんとびらをとんとん)
とんとん とんとん 扉をとんとん
(おどるよくろい)
踊るよ黒い
(「おらのかんぞうをかえせ・・・」)
「おらの肝臓を返せ…」
(ぶらんこ)
ぶらんこ
(「ぎゃああああああぁぁぁぁ!!」)
「ぎゃああああああぁぁぁぁ!!」
(「らくしてもうけようとしても、なかなかうまくいかないものだねぇ」)
「楽して儲けようとしても、中々上手く行かないものだねぇ」
(「あんなずさんなけいかく、うまくいくほうがおかしいのよ。)
「アンナ杜撰ナ計画、上手クイク方ガ可笑シイノヨ。
(うふふふふふ!!」)
ウフフフフフ!!」