幽霊船の秘密13 海野十三
順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | kkk | 6635 | S+ | 7.0 | 94.8% | 571.8 | 4010 | 216 | 60 | 2024/10/10 |
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問題文
(「とにかく、このままでは、もうじゅうのえじきになるばかりだ。おい、かいたに。)
「とにかく、このままでは、猛獣の餌食になるばかりだ。おい、貝谷。
(おれはこれから、せんないへはいって、じゅうかぴすとるかをさがしてくるから、)
おれはこれから、船内へ入って、銃かピストルかを探してくるから、
(おまえはここでがんばっていてくれ」 「なんですって、きょくちょう。あなたひとりで)
お前はここで頑張っていてくれ」 「なんですって、局長。あなたひとりで
(せんないへはいってはあぶない!」 「だが、こうなっては、じぶんのみのきけんなどかんがえては)
船内へ入っては危い!」 「だが、こうなっては、自分の身の危険など考えては
(いられない。たいいんぜんたいのいのちがあぶないのだから・・・・・・。あとをたのむぞ」というや、)
いられない。隊員全体の生命が危いのだから……。後を頼むぞ」というや、
(きょくちょうははしりさった。 それからのち、わずか20ふんぐらいのあいだのことだったが、)
局長は走り去った。 それからのち、僅か二十分ぐらいの間のことだったが、
(かいたには、ふつかみっかもたったようにおもった。ところが、しょうみ20ふんたって、)
貝谷は、二日三日もたったように思った。ところが、正味二十分たって、
(きょくちょうはいきせききって、かいたにのまっているところへかえってきた。)
局長は息せききって、貝谷の待っているところへかえってきた。
(「あっ、きょくちょう。どうでした」かいたには、あいかわらず、もうじゅうへのかんしをおこたらず)
「あっ、局長。どうでした」貝谷は、あいかわらず、猛獣への監視をおこたらず
(そのほうへかおをむけたままのしせいでたずねた 「うむ、あったぞ。このとおりだ」)
その方へ顔をむけたままの姿勢でたずねた 「うむ、あったぞ。このとおりだ」
(きょくちょうは、うれしそうに、かいたにのはなのさきへ、3ちょうのぴすとると2ちょうのじゅうとを)
局長は、うれしそうに、貝谷の鼻のさきへ、三挺のピストルと二挺の銃とを
(さしだした。 「まだじゅうはある。だんがんもうんとある。さあこれであのもうじゅうどもを)
さしだした。 「まだ銃はある。弾丸もうんとある。さあこれであの猛獣どもを
(おっぱらうのだ」 きょくちょうは、さっきとはべつじんのようにげんきになっていた。)
追っ払うのだ」 局長は、さっきとは別人のように元気になっていた。
(そこできょくちょうとかいたにとは、1、2、3のごうれいとともに、つみあげたろっぷにじゅうを)
そこで局長と貝谷とは、一、二、三の号令とともに、積みあげたロップに銃を
(のせて、いきおいよくうちだした。だだーん、どどーん。ものすごいじゅうせいだ。)
のせて、勢いよく撃ちだした。だだーん、どどーん。ものすごい銃声だ。
(そしてたいへんいいあたりだ。そうでもあろう。あいてはおおぜい、)
そしてたいへんいい当りだ。そうでもあろう。相手は大勢、
(あたらないのがおかしいくらいだ。)
当らないのがおかしいくらいだ。
(せんないそうさ こうして、45とうのらいおんとひょうとが、またたくまに、)
【船内捜査】 こうして、四五頭のライオンと豹とが、またたく間に、
(たおされてしまった。のこりのもうじゅうは、びっくりして、そのばをにげだして、)
斃されてしまった。残りの猛獣は、びっくりして、その場をにげだして、
(むこうへいってしまった。それをみすまして、ますとのうえにひなんしていたれんちゅうは、)
向うへいってしまった。それを見すまして、檣のうえに避難していた連中は、
(どどっとおりた。いちどうは、わっとかんせいをあげて、ふるやきょくちょうとかいたにのかくれている)
どどっと下りた。一同は、わっと喊声をあげて、古谷局長と貝谷の隠れている
(ところへ、かけこんできた。 「ありがとう、ありがとう」)
ところへ、駈けこんできた。 「ありがとう、ありがとう」
(「そんなあいさつはあとだ。さあはやくこのじゅうをもて。そしてもういちどせんないへ)
「そんな挨拶はあとだ。さあ早くこの銃を持て。そしてもう一度船内へ
(ひっかえして、もてるだけ、じゅうだのだんがんだのをもて」 いっこうはたちまちぶそうして)
ひっかえして、持てるだけ、銃だの弾丸だのを持て」 一行は忽ち武装して
(しまったうえに、さらにたすうのじゅうやだんがんをてにいれた。 「さあ、いよいよ)
しまった上に、更に多数の銃や弾丸を手に入れた。 「さあ、いよいよ
(もうじゅうがりといくか」 「まてまて。みながいくまでのこともなかろう。)
猛獣狩といくか」 「待て待て。皆がいくまでのこともなかろう。
(ここからこっちはんぶんはもうじゅうがりにいくとして、あとのはんぶんはせんないそうさくをやるから、)
ここからこっち半分は猛獣狩にいくとして、あとの半分は船内捜索をやるから、
(おれについてこい」 きょくちょうはかいたにをふくちょうときめ、あと3にんばかりのせんいんを)
俺についてこい」 局長は貝谷を副長と決め、あと三人ばかりの船員を
(しめいし、さっきにひきつづいて、せんないをさがすことになった。ふるやきょくちょうのきょうちゅうには、)
指名し、さっきに引続いて、船内を探すことになった。古谷局長の胸中には、
(まえからたえずきになっていることがあったのである。それは、わじままるがこうこうちゅう、)
前からたえず気になっていることがあったのである。それは、和島丸が航行中、
(うけとったあのあやしいむでんのことである。 このゆうれいせんが、はたしてあのむでんを)
受取ったあの怪しい無電のことである。 この幽霊船が、果してあの無電を
(うったのであるか。またぎょらいもこのゆうれいせんのしわざであるか。もしそうだとしたら)
うったのであるか。また魚雷もこの幽霊船の仕業であるか。もしそうだとしたら
(なぜわじままるはげきちんされなければならなかったか。さらにゆうれいせんとのかんけいもあきらかに)
なぜ和島丸は撃沈されなければならなかったか。更に幽霊船との関係も明らかに
(されなければならなかった。それとともに、しんだものとおもわれる)
されなければならなかった。それとともに、死んだものと思われる
(むでんぎしまるおのせんどもみとどけたいものであるとおもっていた。これらのことが)
無電技士丸尾の先途も見届けたいものであると思っていた。これ等のことが
(はっきりしないうちは、ゆうれいせんのなぞをじゅうぶんといたとはいえないのだ。)
はっきりしないうちは、幽霊船の謎を十分解いたとはいえないのだ。
(わじままるのそうなんじけんのげんいんをたしかにつきとめたとはいえないのである。)
和島丸の遭難事件の原因をたしかに突きとめたとはいえないのである。
(ふるやきょくちょうとかいたにとは、まずむでんしつへはいってみた。ここにもひとかげはなし、)
古谷局長と貝谷とは、まず無電室へはいってみた。ここにも人影はなし、
(しつないにはきかいがひっくりかえり、しょるいがとびちっている。 「このへやも、)
室内には器械がひっくりかえり、書類がとびちっている。 「この部屋も、
(ずいぶん、ひどいですねえ」と、かいたにはまゆをひそめた。 「うんひどすぎる」)
ずいぶん、ひどいですねえ」と、貝谷は眉をひそめた。 「うんひどすぎる」
(きょくちょうは、ちらばっているしょるいをしきりにひろいだした。 「なにをさがして)
局長は、ちらばっている書類をしきりに拾いだした。 「なにを探して
(いるんですか」 「むでんをうったそのきろくしょをさがしているのさ。はたしてれいの)
いるんですか」 「無電を打ったその記録書を探しているのさ。はたして例の
(sosしんごうをうったのがこのゆうれいせんか、どうかをしらべておくひつようがあるのだ」)
SOS信号をうったのがこの幽霊船か、どうかをしらべておく必要があるのだ」
(ふるやきょくちょうは、まもなくすうじゅうまいのきちょうなきろくしょをひろいあげた。 「これだけ)
古谷局長は、まもなく数十枚の貴重な記録書を拾いあげた。 「これだけ
(つどったが、sosしんごうのものはいちまいもない。そればかりか、このきせんは、)
集ったが、SOS信号のものは一枚もない。そればかりか、この汽船は、
(きょうでもうはつかかんもいっぽんのむでんもうっていないのだ」 「はつかかんも、)
今日でもう二十日間も一本の無電も打っていないのだ」 「二十日間も、
(いっぽんのむでんもうっていないというと・・・・・・」 「つまり、むでんぎしがこのへやから)
一本の無電も打っていないというと……」 「つまり、無電技士がこの部屋から
(いなくなってからこっち、もうはつかになるのだ。するとこのきせんないにだいじけんが)
いなくなってからこっち、もう二十日になるのだ。するとこの汽船内に大事件が
(とっぱつしてからはつかかんはたったというかんじょうになる」 「むでんぎしも、やっぱり)
突発してから二十日間は経ったという勘定になる」 「無電技士も、やっぱり
(もうじゅうにくわれてしまったというわけですかね」 ふるやきょくちょうはかおこそしらないが)
猛獣に喰われてしまったというわけですかね」 古谷局長は顔こそ知らないが
(じぶんとおなじしょくにあったこのきせんのむでんぎしのあわれにもおそろしいうんめいにたいして、)
自分と同じ職にあったこの汽船の無電技士の哀れにも恐ろしい運命に対して、
(ふかくどうじょうした。 「きょくちょう、あれをごらんなさい。あかいまめでんとうがついたりきえたり)
深く同情した。 「局長、あれをごらんなさい。赤い豆電灯が点いたり消えたり
(しています」 「どれ、どこだ」)
しています」 「どれ、どこだ」
(と、きょくちょうはびっくりしてかいたにのさすほうをみた。こわれてゆかにたおれているきかいの)
と、局長はびっくりして貝谷の指す方をみた。壊れて床に倒れている器械の
(はいでんばんのうえに、あかいかんしとうがついたりきえたりしているではないか。)
配電盤の上に、赤い監視灯が点いたり消えたりしているではないか。
(「おやっ、このきせんには、まだだれかいきているものがあるんだな」)
「おやッ、この汽船には、まだ誰か生きている者があるんだな」
(いがいなせいぞんしゃ ふるやきょくちょうは、かいたにをうながし、とびらをうちやぶって)
【意外な生存者】 古谷局長は、貝谷をうながし、扉をうちやぶって
(せんないへはいった。せんないは、くらかった。 「おい、なかにはいっているやつ、)
船内へはいった。船内は、暗かった。 「おい、中にはいっている奴、
(こっちへでてこい!」 ふるやきょくちょうは、えいごでどなった。ほこらのようなせんないに、)
こっちへ出てこい!」 古谷局長は、英語でどなった。洞のような船内に、
(こえは、がーんと、ひびきわたる。 なかからは、へんじがなかった。)
こえは、がーんと、ひびきわたる。 中からは、返事がなかった。