幽霊船の秘密15 海野十三
順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | kkk | 7168 | 王 | 7.4 | 96.4% | 548.9 | 4084 | 149 | 60 | 2024/10/12 |
2 | daifuku | 3739 | D+ | 3.9 | 94.8% | 1035.6 | 4093 | 220 | 60 | 2024/10/13 |
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問題文
(「まず、わたしたちのぼうけんから、もうしあげなければなりません。わたしたちのぼーとは、)
「まず、私たちの冒険から、申し上げなければなりません。私たちのボートは、
(あんやをひょうりゅうちゅう、このゆうれいせんのよこに、すいつけられてしまったのです。)
暗夜を漂流中、この幽霊船の横に、吸いつけられてしまったのです。
(ちょっとおどろきましたが、なにしろこのとおりのりっぱなせんたいを)
ちょっとおどろきましたが、なにしろこのとおりのりっぱな船体を
(もっているので、おそろしさもわすれて、わたしたち67にんで、たらっぷづたいにかんぱんへ)
もっているので、恐ろしさもわすれて、私たち六七人で、タラップ伝いに甲板へ
(あがりました。ところが、どこからともなく、いようなうなりごえをきいたかとおもうと)
上りました。ところが、どこからともなく、異様な唸りごえをきいたかと思うと
(いきなりやみのなかから、おおきなけものがとびだしてきたのには、きもをつぶしました。)
いきなり暗の中から、大きな獣がとびだしてきたのには、胆をつぶしました。
(わたしたちは、しにものぐるいで、けものとたたかいました。しかしこっちは、)
私たちは、死にもの狂いで、獣とたたかいました。しかしこっちは、
(もうさんざんつかれきっているところだし、けもののほうははらがへって)
もうさんざんつかれ切っているところだし、獣の方は腹が減って
(いるものとみえ、ますますあれくるって、とびついてくるのでした。そのうちに、)
いるものとみえ、ますますあれ狂って、とびついてくるのでした。そのうちに、
(けもののかずは、ますますふえてきました。そしてとうとうなかまのひとりーーきたにが、)
獣の数は、ますます殖えてきました。そしてとうとう仲間の一人――木谷が、
(やられてしまったのです。するとけものは、たおれたきたににとびついていきました。)
やられてしまったのです。すると獣は、たおれた木谷にとびついていきました。
(きたにをたすけようとおもったのですがとてもだめでした。そのときのおそろしいこうけいは)
木谷を助けようと思ったのですがとても駄目でした。そのときの恐ろしい光景は
(いまもめのまえに、はっきりみえるようです」 と、まるおはちょっとことばをきって)
今も眼の前に、はっきり見えるようです」 と、丸尾はちょっと言葉を切って
(みをふるわせた。 「・・・・・・きたにがやじゅうにやっつけられたとき、わたしたちは、)
身を慄わせた。 「……木谷が野獣にやっつけられたとき、私たちは、
(わずかのすきをみだしたのです。「いまだ、いまのうちにあんぜんなところへ)
わずかの隙を見出したのです。『今だ、今のうちに安全なところへ
(ひなんしなければ・・・・・・」というので、わたしたちは、むちゅうでぶりっじへかけのぼりました。)
避難しなければ……』というので、私たちは、夢中で船橋へ駈けのぼりました。
(ところが、ここもだめだということがわかりました。にんげんのにおいをしたって、)
ところが、ここも駄目だということがわかりました。人間の臭いをしたって、
(けものは、あとをおいかけてきたのです。わたしたちは、とびらをおさえ、ひっしになって)
獣は、後をおいかけて来たのです。私たちは、扉をおさえ、必死になって
(ぼうせんしました。しかし、がらすどがこわされ、そこからくろひょうらしいものが)
防戦しました。しかし、硝子戸がこわされ、そこから黒豹らしいものが
(とびこんできたときには、もうだめだとおもいました。だれかがひめいをあげました。)
とびこんできたときには、もう駄目だと思いました。誰かが悲鳴をあげました。
(ざんねんだったのです。わたしたちは、ひきょうなようだが、もうどうすることもできなくて)
残念だったのです。私たちは、卑怯なようだが、もうどうすることも出来なくて
(ぶりっじをにげだしました。それから、いちどう、ばらばらになってしまいましたが、)
船橋を逃げだしました。それから、一同、ばらばらになってしまいましたが、
(そのときわたしのかいたほうこくぶんをもって、ぼーとへもどったはずのみたかとも、)
そのとき私の書いた報告文をもって、ボートへ戻ったはずの三鷹とも、
(それっきりあいません。そのうちに、わたしはつうふうとうのまえにでました。)
それっきり会いません。そのうちに、私は通風筒の前に出ました。
(わたしはふとおもいついて、そのなかにもぐりこみました。それがわたしのこううんだったのです)
私はふと思いついて、その中にもぐりこみました。それが私の幸運だったのです
(いのちびろいをしたのは、つうふうとうへもぐりこんだおかげです」 まるおのひたいから、)
生命びろいをしたのは、通風筒へもぐりこんだおかげです」 丸尾の額から、
(あせがぽたぽたとほおをつたわってながれた。 「わたしはつうふうとうのこうしをやぶりました。)
汗がぽたぽたと頬をつたわって流れた。 「私は通風筒の格子をやぶりました。
(そして、そのなかをどこまでもおくへはいりこんでいったのです。どのくらいそこに)
そして、その中をどこまでも奥へはいりこんでいったのです。どのくらいそこに
(いたかよくおぼえていませんが、とにかくかなりながいあいだをへて、わたしは、)
いたか、よく覚えていませんが、とにかくかなり永い間を経て、私は、
(いきなりせんしつへひょっこり、かおをだしたのです。つまり、せんないにひらいているべつの)
いきなり船室へひょっこり、顔を出したのです。つまり、船内に開いている別の
(つうふうとうのはしへでたのです。わたしは、やれやれとおもいました。ところが、せんないも、)
通風筒の端へ出たのです。私は、やれやれと思いました。ところが、船内も、
(あんしんというわけにいかないことが、だんだんとわかってきました。もうじゅうは、)
安心というわけにいかないことが、だんだんと分ってきました。猛獣は、
(せんないにも、うろうろしているのです。わたしは、ろうかへとびだしては、けものにおいかけ)
船内にも、うろうろしているのです。私は、廊下へとびだしては、獣に追いかけ
(られました。そのたびに、わたしは、もっとぼうえいにつごうのよいへやへいかねば)
られました。そのたびに、私は、もっと防衛に都合のよい部屋へいかねば
(あんしんできないとおもったのです。そして、とうとうたどりついたところは、きかんしつの)
安心できないと思ったのです。そして、とうとう辿りついたところは、機関室の
(いりぐちだったね」と、ふるやきょくちょうがいった。 「そうです。あそこは、きかんしつへ)
入口だったね」と、古谷局長がいった。 「そうです。あそこは、機関室へ
(つうずるろうかのでぐちだったのです。きかんしつへとびこんでみると、)
通ずる廊下の出口だったのです。機関室へとびこんでみると、
(わたしはそこにおもいがけない、このぼるくごうのいきのこりのせんいんを7めい、はっけんしました。)
私はそこに思いがけない、このボルク号の生残りの船員を七名、発見しました。
(かれらは、ふしょうとくうふくとで、いずれもひどくよわっていました。そうでしょう。)
彼等は、負傷と空腹とで、いずれもひどく弱っていました。そうでしょう。
(かれらはこのきかんしつへもぐりこんだばかりにやじゅうにくわれるいのちをたすかったのです)
彼等はこの機関室へもぐりこんだばかりに野獣に喰われる生命を助かったのです
(しかしそのかわり、しょくりょうひんをとりにいくこともできず、もしでればすぐさま)
しかしその代り、食料品を取りにいくことも出来ず、もし出ればすぐさま
(めをひからせはなをうごめかせているけものにとびつかれるものですから、やむをえず、)
眼を光らせ鼻をうごめかせている獣に飛びつかれるものですから、やむを得ず、
(ここにすきはらをかかえて、がまんをしていたのです。そのうちに、すっかりひろうと)
ここに空き腹を抱えて、我慢をしていたのです。そのうちに、すっかり疲労と
(すいじゃくとがきてしまって、もういっぽもたてなくなったといいます。)
衰弱とが来てしまって、もう一歩もたてなくなったといいます。
(なにしろもうあれから、3しゅうかんちかくになるそうですからね」 「3しゅうかん。)
何しろもうあれから、三週間近くになるそうですからね」 「三週間。
(そうだろう。そのくらいになるはずだ。むでんにっきをみて、わたしはしっている」)
そうだろう。その位になるはずだ。無電日記を見て、私は知っている」
(と、ふるやきょくちょうは、いった。 「いったい、どうしてこのぼるくごうのなかに)
と、古谷局長は、いった。 「一体、どうしてこのボルク号の中に
(もうじゅうがあばれだしたのかね」 せんちょうは、ふしんでたまらないというかおで、)
猛獣があばれだしたのかね」 船長は、不審でたまらないという顔で、
(まるおにたずねた。)
丸尾にたずねた。
(しんせんちょう まるおははなしをつづける。)
【新船長】 丸尾は話をつづける。
(「そのことです。わたしは、ぼるくごうのせんいんにたずねて、はじめてじじょうを)
「そのことです。私は、ボルク号の船員にたずねて、はじめて事情を
(しったのです。このきせんは、のーるうぇいにこくせきがあるのですが、あふりかで、)
知ったのです。この汽船は、ノールウェイに国籍があるのですが、アフリカで、
(たくさんのもうじゅうをしいれ、これからなんべいにきこうして、ほんごくにかえる)
たくさんの猛獣を仕入れ、これから南米に寄港して、本国にかえる
(ところだったんだそうです。あふりかとなんべいでは、かなりたくさんのきんぞくざいりょうや)
ところだったんだそうです。アフリカと南米では、かなりたくさんの金属材料や
(しょくりょうひんをつむことになっていたそうですが、これらは、どうやら、どいつへ)
食料品をつむことになっていたそうですが、これらは、どうやら、ドイツへ
(はいるものだとしれていました。ところで、このふねに、いぎりすのすぱいと)
入るものだと知れていました。ところで、この船に、イギリスのスパイと
(おもわれるひとくみのきゃくがのっていたのです。ふねが、なんべいへむかうとちゅう、)
思われる一組の客が乗っていたのです。船が、南米へ向う途中、
(そのすぱいどもは、かきゅうせんいんにかねをやって、もうじゅうのおりをやぶらせたのです。)
そのスパイどもは、下級船員に金をやって、猛獣の檻をやぶらせたのです。
(はじめはひとさわがせやるだけのつもりのところ、そのけっか、とんでもないことが)
はじめは一さわがせやるだけのつもりのところ、その結果、とんでもないことが
(おこりました。もうじゅうは、にんげんのちをあじわうと、たいへんに、いきりたったのです。)
起りました。猛獣は、人間の血を味わうと、たいへんに、いきり立ったのです。