怪人二十面相5 江戸川乱歩
順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | difuku | 3791 | D++ | 3.9 | 95.1% | 681.5 | 2722 | 138 | 41 | 2024/12/22 |
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問題文
(ところがです、どくしゃしょくん、こうしたいっかのよろこびはあるおそろしいできごとのために、)
ところがです、読者諸君、こうした一家の喜びはある恐ろしい出来事の為に、
(じつにとつぜん、まるでばいおりんのいとがきれでもしたように、ぷっつりと)
実に突然、まるでバイオリンの糸が切れでもしたように、プッツリと
(たちきられてしまいました。 なんというこころなしのあくまでしょう。)
断ち切られてしまいました。 なんという心なしの悪魔でしょう。
(おやこきょうだい10ねんぶりのさいかい、いっしょうにいちどというめでたいせきじょうへ、そのしあわせを)
親子兄弟十年振りの再会、一生に一度という目出度い席上へ、その幸せを
(のろうかのように、あいつのぶきみなすがたが、もうろうとたちあらわれたのでありました。)
呪うかのように、あいつの不気味な姿が、朦朧と立ち現れたのでありました。
(おもいでばなしのさいちゅうへ、ひしょが1つうのでんぽうをもってはいってきました。)
思い出話の最中へ、秘書が一通の電報を持って入って来ました。
(いくらはなしにむちゅうになっていても、でんぽうとあってはひらいてみないわけにはいきません)
いくら話に夢中になっていても、電報とあっては開いて見ない訳にはいきません
(そうたろうしはすこしかおをしかめてそのでんぽうをよみましたが、すると、どうしたことか)
壮太郎氏は少し顔を顰めてその電報を読みましたが、すると、どうしたことか
(にわかにむっつりとだまりこんでしまったのです。 「おとうさま、なにか)
俄かにムッツリと黙り込んでしまったのです。 「お父様、何か
(ごしんぱいなことでも」 そういちくんが、めばやくそれをみつけてたずねました。)
ご心配な事でも」 壮一君が、目早くそれを見付けて尋ねました。
(「うん、こまったものがとびこんできた。おまえたちにしんぱいさせたくないが、)
「ウン、困ったものが飛び込んできた。お前達に心配させたくないが、
(こういうものがくるようでは、こんやは、よほどようじんしないといけない」)
こういうものが来るようでは、今夜は、よほど用心しないといけない」
(そういって、おみせになったでんぽうには、 「こんやしょう12じ)
そう言って、お見せになった電報には、 「コンヤショウ一二ジ
(おやくそくのものうけとりにいく20」 とありました。20というのは、)
オヤクソクノモノウケトリニイク 二〇」 とありました。二〇というのは、
(「にじゅうめんそう」のりゃくごにちがいありません。「しょう12じ」は、しょう12じで、)
「二十面相」の略語に違いありません。「ショウ一二ジ」は、正十二時で、
(ごぜんれいじかっきりに、ぬすみだすぞという、かくしんにみちたぶんいです。)
午前零時かっきりに、盗み出すぞという、確信に満ちた文意です。
(「この20というのは、もしや、にじゅうめんそうのぞくのことではありませんか」)
「この二〇というのは、もしや、二十面相の賊の事ではありませんか」
(そういちくんがはっとしたように、おとうさまをみつめていいました。)
壮一君がハッとしたように、お父様を見詰めて言いました。
(「そうだよ。おまえよくしっているね」 「しものせきじょうりくいらい、たびたびそのうわさを)
「そうだよ。お前よく知っているね」 「下関上陸以来、度々その噂を
(ききました。ひこうきのなかでしんぶんもよみました。とうとう、うちをねらったのですね)
聞きました。飛行機の中で新聞も読みました。とうとう、うちを狙ったのですね
(しかし、あいつはなにをほしがっているのです」 「わしは、おまえが)
しかし、あいつは何を欲しがっているのです」 「儂は、お前が
(いなくなってから、きゅうろしあこうていのほうかんをかざっていただいやもんどを、)
いなくなってから、旧ロシア皇帝の宝冠を飾っていたダイヤモンドを、
(てにいれたのだよ。ぞくはそれをぬすんでみせるというのだ」)
手に入れたのだよ。賊はそれを盗んでみせるというのだ」
(そうしてそうたろうしは「にじゅうめんそう」のぞくについて、またそのよこくじょうについて)
そうして壮太郎氏は「二十面相」の賊について、またその予告状について
(くわしくはなしてきかせました。 「しかし、こんやはおまえがいてくれるので、)
詳しく話して聞かせました。 「しかし、今夜はお前がいてくれるので、
(こころじょうぶだ。ひとつ、おまえとふたりでほうせきのまえでねずのばんでもするかな」)
心丈夫だ。ひとつ、お前と二人で宝石の前で寝ずの番でもするかな」
(「ええ、それがよろしいでしょう。ぼくはわんりょくにかけてはじしんがあります。)
「ええ、それがよろしいでしょう。ぼくは腕力にかけては自信があります。
(きたくそうそうおやくにたてばうれしいとおもいます」 たちまちていないにげんじゅうなけいかいが)
帰宅そうそうお役に立てば嬉しいと思います」 たちまち邸内に厳重な警戒が
(しかれました。あおくなったこんどうしはいにんのさしずで、ごご8じというのに)
布かれました。青くなった近藤支配人の指図で、午後八時というのに
(もうおもてもんをはじめ、あらゆるでいりぐちがぴったりとしめられ、うちがわからじょうが)
もう表門をはじめ、あらゆる出入り口がピッタリと閉められ、内側から錠が
(おろされました。 「こんやだけは、どんなおきゃくさまでもおことわりするのだぞ」)
下ろされました。 「今夜だけは、どんなお客様でもお断わりするのだぞ」
(ろうじんがめしつかいたちにげんめいしました。 よるをとおして3にんのひばんけいかんと、)
老人が召使い達に厳命しました。 夜を徹して三人の非番警官と、
(3にんのひしょと、じどうしゃうんてんしゅとがてわけをしてかくでいりぐちをかため、)
三人の秘書と、自動車運転手とが手分けをして各出入り口を固め、
(あるいはていないをじゅんしするてはずでした。 はしばふじんとさなえさんとそうじくんとは、)
あるいは邸内を巡視する手筈でした。 羽柴夫人と早苗さんと壮二君とは、
(はやくからしんしつにひきこもるようにいいつけられました。 おおぜいのしようにんたちは、)
早くから寝室に引き籠るように言いつけられました。 大勢の使用人達は、
(ひとつのへやにあつまって、おびえたようにぼそぼそとささやきあっています。)
一つの部屋に集まって、怯えたようにボソボソと囁きあっています。
(そうたろうしとそういちくんは、ようかんの2かいのしょさいにろうじょうすることになりました。)
壮太郎氏と壮一君は、洋館の二階の書斎に籠城する事になりました。
(しょさいのてーぶるには、さんどいっちとぶどうしゅをよういさせて、てつやのかくごです。)
書斎のテーブルには、サンドイッチと葡萄酒を用意させて、徹夜の覚悟です。
(しょさいのどあやまどにはみな、そとがわからひらかぬようにかぎやかけがねがかけられました)
書斎のドアや窓にはみな、外側から開かぬように鍵や掛け金が掛けられました
(ほんとうにありのはいるすきまもないわけです。 さて、しょさいにこしをおろすと、)
本当にアリの入る隙間もない訳です。 さて、書斎に腰を下ろすと、
(そうたろうしがくしょうしながらいいました。)
壮太郎氏が苦笑しながら言いました。