怪人二十面相6 江戸川乱歩

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プレイ回数3065難易度(5.0) 2754打 長文
少年探偵団シリーズ1作目
順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 ねね 4229 C 4.3 97.0% 634.1 2765 83 41 2024/04/03
2 ポンタ 3041 E++ 3.3 92.3% 835.1 2768 228 41 2024/04/07

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問題文

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(「すこしようじんがおおげさすぎたかもしれないね」 「いや、あいつにかかっては、)

「少し用心が大袈裟過ぎたかもしれないね」 「いや、あいつにかかっては、

(どんなようじんだって、おおげさすぎることはありますまい。ぼくはさっきから、)

どんな用心だって、大袈裟過ぎる事はありますまい。僕は先刻から、

(しんぶんのとじこみで、「にじゅうめんそう」のじけんを、すっかりけんきゅうしてみましたが、)

新聞の綴じ込みで、『二十面相』の事件を、すっかり研究してみましたが、

(よめばよむほど、おそろしいやつです」 そういちくんはしんけんなかおで、)

読めば読むほど、恐ろしい奴です」  壮一君は真剣な顔で、

(さもふあんらしくこたえました。 「では、おまえはこれほどげんじゅうなぼうびをしても、)

さも不安らしく答えました。 「では、お前はこれほど厳重な防備をしても、

(まだ、ぞくがやってくるかもしれないというのかね」 「ええ、おくびょうのよう)

まだ、賊がやって来るかもしれないと言うのかね」 「ええ、臆病のよう

(ですけれど、なんだかそんなきがするのです」 「だが、いったいどこから?)

ですけれど、何だかそんな気がするのです」 「だが、一体何処から?

(・・・・・・ぞくがほうせきをてにいれるためには、まずたかいへいをのりこえなければならない。)

……賊が宝石を手に入れる為には、まず高い塀を乗り越えなければならない。

(それから、おおぜいのひとのめをかすめてたとえここまできたとしても、)

それから、大勢の人の目を掠めてたとえここまで来たとしても、

(どあをうちやぶらなくてはならない。そして、わたしたちふたりとたたかわなければならない。)

ドアを打ち破らなくてはならない。そして、私達二人と戦わなければならない。

(しかも、それでおしまいじゃないのだ。ほうせきは、だいやるのもじのくみあわせを)

しかも、それでお終いじゃないのだ。宝石は、ダイヤルの文字の組合せを

(しらなくては、ひらくことのできないきんこのなかにはいっているのだよ。)

知らなくては、開く事の出来ない金庫の中に入っているのだよ。

(いくらにじゅうめんそうがまほうつかいだって、このしじゅうごじゅうのかんもんをどうしてくぐりぬけ)

いくら二十面相が魔法使いだって、この四重五重の関門をどうしてく潜り抜け

(られるものか。ははは・・・・・・」 そうたろうしはおおきなこえでわらうのでした。)

られるものか。ハハハ……」  壮太郎氏は大きな声で笑うのでした。

(でもそのわらいごえには、なにかしらくうきょなからいばりみたいなひびきがまじっていました)

でもその笑い声には、何かしら空虚な空威張りみたいな響きが混じっていました

(「しかしおとうさん、しんぶんきじでみますと、あいつはいくどもまったくふかのうとしか)

「しかしお父さん、新聞記事で見ますと、あいつは幾度もまったく不可能としか

(かんがえられないようなことを、やすやすとなしとげているじゃありませんか。)

考えられないような事を、易々と成し遂げているじゃありませんか。

(きんこにいれてあるからだいじょうぶだとあんしんしていると、そのきんこのせなかに)

金庫に入れてあるから大丈夫だと安心していると、その金庫の背中に

(ぽっかりとおおあながあいて、なかのしなものはなにもかもなくなっているというじつれいも)

ポッカリと大穴があいて、中の品物は何もかも無くなっているという実例も

(あります。それからまた、5にんのくっきょうなおとこがみはりをしていても、いつのまにか)

あります。それからまた、五人の屈強な男が見張りをしていても、いつの間にか

など

(ねむりぐすりをのまされて、かんじんのときにはみんなぐっすりねこんでいたというれいもあります)

眠り薬を飲まされて、肝心の時には皆グッスリ寝込んでいたという例もあります

(あいつはそのときとばあいによって、どんなしゅだんでもかんがえだすちえを)

あいつはその時と場合によって、どんな手段でも考え出す知恵を

(もっているのです」 「おいおいそういち、おまえ、なんだかぞくをさんびしてるような)

持っているのです」 「おいおい壮一、お前、何だか賊を賛美してるような

(くちょうだね」 そうたろうしは、あきれたようにわがこのかおをながめました。)

口調だね」  壮太郎氏は、呆れたように我が子の顔を眺めました。

(「いいえ、さんびじゃありません。でも、あいつはけんきゅうすればするほど)

「いいえ、賛美じゃありません。でも、あいつは研究すればする程

(おそろしいやつです。あいつのぶきはわんりょくではありません。ちえです。)

恐ろしい奴です。あいつの武器は腕力ではありません。知恵です。

(ちえのつかいかたによっては、ほとんどこのよにできないことはないですからね」)

知恵の使い方によっては、殆どこの世に出来ない事はないですからね」

(ちちとこがそんなぎろんをしているあいだによるはじょじょにふけていき、すこしかぜが)

父と子がそんな議論をしている間に夜は徐々に更けていき、少し風が

(たってきたとみえて、さーっとふきすぎるくろいかぜに、まどのがらすがことことと)

たってきたとみえて、サーッと吹きすぎる黒い風に、窓のガラスがコトコトと

(おとをたてました。 「いや、おまえがあんまりぞくをかいかぶっているもんだから)

音をたてました。 「いや、お前があんまり賊を買い被っているもんだから

(どうやらわしも、すこししんぱいになってきたぞ。ひとつほうせきをたしかめておこう。)

どうやら儂も、少し心配になってきたぞ。ひとつ宝石を確かめておこう。

(きんこのうらにあなでもあいていては、たいへんだからね」 そうたろうしはわらいながら)

金庫の裏に穴でも開いていては、大変だからね」  壮太郎氏は笑いながら

(たちあがって、へやのすみのこがたきんこにちかづきだいやるをまわし、とびらをひらいて、)

立ちあがって、部屋の隅の小型金庫に近づきダイヤルを回し、扉を開いて、

(ちいさなしゃくどうせいのこばこをとりだしました。そして、さもだいじそうにこばこをかかえて)

小さな赤銅製の小箱を取り出しました。そして、さも大事そうに小箱を抱えて

(もとのいすにもどると、それをそういちくんとのあいだのまるてーぶるのうえにおきました。)

元のイスに戻ると、それを壮一君との間の丸テーブルの上に置きました。

(「ぼくは、はじめてはいけんするわけですね」 そういちくんが、もんだいのほうせきにこうきしんを)

「僕は、初めて拝見する訳ですね」  壮一君が、問題の宝石に好奇心を

(かんじたらしく、めをひからせていいます。 「うん、おまえには、はじめてだったね。)

感じたらしく、目を光らせて言います。 「ウン、お前には、初めてだったね。

(さあ、これが、かつてろしあこうていのあたまにかがやいたことのあるだいやだよ」)

さあ、これが、かつてロシア皇帝の頭に輝いた事のあるダイヤだよ」

(こばこのふたがひらかれますと、めもくらむようなにじのいろがひらめきました。)

小箱の蓋が開かれますと、目も眩むような虹の色が閃きました。

(だいずほどもある、じつにみごとなだいやもんどが6こ、くろびろーどのだいざのうえに)

大豆程もある、実に見事なダイヤモンドが六個、黒ビロードの台座の上に

(かがやいていたのです。 )

輝いていたのです。

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