怪人二十面相12 江戸川乱歩

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少年探偵団シリーズ1作目
順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 ねね 4307 C+ 4.4 96.8% 682.5 3039 99 45 2024/03/17

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問題文

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(じゅじょうのかいじん それから、いけのきしでどんなことがおこったかは、)

【樹上の怪人】  それから、池の岸でどんな事が起こったかは、

(しばらくどくしゃしょくんのごそうぞうにまかせます。 5、6ふんのあとには、)

暫く読者諸君のご想像に任せます。  五、六分の後には、

(いぜんのまつのうんてんしゅが、なにごともなかったようにおなじいけのきしにたっておりました。)

以前の松野運転手が、何事もなかったように同じ池の岸に立っておりました。

(すこしいきづかいがはげしいようです。そのほかにはかわったところもみえません。)

少し息遣いが激しいようです。その外には変わったところも見えません。

(かれは、いそいでおもやのほうへあるきはじめました。どうしたのでしょう。)

彼は、急いで母屋の方へ歩き始めました。どうしたのでしょう。

(すこしびっこをひいています。でも、びっこをひきながら、ぐんぐんにわを)

少しびっこを引いています。でも、びっこを引きながら、ぐんぐん庭を

(よこぎって、おもてもんまでやってきました。 おもてもんにはふたりのひしょが、)

横切って、表門までやって来ました。  表門には二人の秘書が、

(ぼくとうのようなものをもって、ものものしくみはりばんをつとめています。)

木刀のような物を持って、物々しく見張り番を務めています。

(まつのはそのまえまでいくと、なにかくるしそうにひたいにてをあてて、)

松野はその前まで行くと、何か苦しそうに額に手を当てて、

(「ぼくはさむけがしてしようがない。ねつがあるようだ。すこしやすませてもらうよ」)

「ぼくは寒気がしてしようがない。熱があるようだ。少し休ませてもらうよ」

(と、ちからのないこえでいうのです。 「ああ、まつのくんか、いいとも、やすみたまえ。)

と、力のない声で言うのです。 「ああ、松野君か、いいとも、休みたまえ。

(ここはぼくたちがひきうけるから」 ひしょのひとりがげんきよくこたえました。)

ここは僕達が引き受けるから」  秘書の一人が元気よく答えました。

(まつのうんてんしゅは、あいさつをしてげんかんわきのがれーじのなかへすがたをけしました。)

松野運転手は、挨拶をして玄関脇のガレージの中へ姿を消しました。

(そのがれーじのうらがわに、かれのへやがあるのです。 それからあさまでは、)

そのガレージの裏側に、彼の部屋があるのです。  それから朝までは、

(べつだんのこともなくすぎさりました。おもてもんもうらもんも、だれもつうかしたものはありません。)

別段の事もなく過ぎ去りました。表門も裏門も、誰も通過した者はありません。

(へいがいのみはりをしていたおまわりさんたちも、ぞくらしいひとかげには)

塀外の見張りをしていたおまわりさん達も、賊らしい人影には

(であいませんでした。 7じにはけいしちょうからおおぜいのかかりかんがきて、)

出会いませんでした。  七時には警視庁から大勢の係官が来て、

(ていないのとりしらべをはじめました。そしてとりしらべがすむまで、いえのものは)

邸内の取り調べを始めました。そして取り調べが済むまで、家の者は

(いっさいがいしゅつをきんじられたのですが、がくせいだけはしかたがありません。)

一切外出を禁じられたのですが、学生だけは仕方がありません。

(かどわきちゅうがっこう3ねんせいのさなえさんと、たかちほしょうがっこう5ねんせいのそうじくんとは、)

門脇中学校三年生の早苗さんと、高千穂小学校五年生の壮二君とは、

など

(じかんがくると、いつものようにじどうしゃでやしきをでました。 うんてんしゅはまだ)

時間が来ると、いつものように自動車で屋敷を出ました。  運転手はまだ

(げんきのないようすであまりくちかずもきかず、うなだれてばかりいましたが、)

元気のない様子であまり口数もきかず、項垂れてばかりいましたが、

(でも、がっこうがおくれてはいけないというので、おしてうんてんせきについたのです。)

でも、学校が遅れてはいけないというので、押して運転席についたのです。

(けいしちょうのなかむらそうさかかりちょうは、まずしゅじんのそうたろうしと、はんざいげんばのしょさいで)

警視庁の中村捜査係長は、まず主人の壮太郎氏と、犯罪現場の書斎で

(めんかいしてじけんのてんまつをくわしくききとったうえ、ひととおりていないのひとびとを)

面会して事件の顛末を詳しく聞き取った上、一通り邸内の人々を

(とりしらべてから、ていえんのそうさくにとりかかりました。 「ゆうべわたしたちが)

取り調べてから、庭園の捜索に取り掛かりました。 「夕べ私達が

(かけつけましてから、ただいままでやしきをでたものはひとりもありません。)

駆け付けましてから、只今まで屋敷を出た者は一人もありません。

(へいをのりこしたものもありません。このてんは、じゅうぶんしんようしていただいて)

塀を乗り越した者もありません。この点は、充分信用して頂いて

(よいとおもいます」 しょかつけいさつしょのしゅにんけいじがなかむらかかりちょうにだんげんしました。)

良いと思います」  所轄警察署の主任刑事が中村係長に断言しました。

(「すると、ぞくはまだていないにせんぷくしているというのですね」)

「すると、賊はまだ邸内に潜伏していると言うのですね」

(「そうです。そうとしかかんがえられません。しかし、けさよあけから、)

「そうです。そうとしか考えられません。しかし、今朝夜明けから、

(またそうさくをはじめさせているのですが、いままでのところなんのはっけんもありません。)

また捜索を始めさせているのですが、今までのところ何の発見もありません。

(ただ、いぬのしがいのほかには・・・・・・」 「え、いぬのしがいだって?」)

ただ、犬の死骸の他には……」 「エ、犬の死骸だって?」

(「ここのいえでは、ぞくにそなえるために、じょんといういぬをかっていたのですが、)

「ここの家では、賊に備える為に、ジョンという犬を飼っていたのですが、

(それがゆうべのうちにどくししていました。しらべてみますと、ここのむすこさんに)

それが夕べのうちに毒死していました。調べてみますと、ここの息子さんに

(ばけたにじゅうめんそうのやつが、きのうのゆうがたにわにでて、そのいぬになにか)

化けた二十面相の奴が、昨日の夕方庭に出て、その犬に何か

(たべさせていたということがわかりました。じつによういしゅうとうなやりかたです。)

食べさせていたという事が分かりました。実に用意周到な遣り方です。

(もしここのぼっちゃんがわなをしかけておかなかったら、やつはやすやすと)

もしここの坊ちゃんが罠を仕掛けておかなかったら、奴は易々と

(にげさっていたにちがいありません」 「では、もういちどにわをさがして)

逃げ去っていたに違いありません」 「では、もう一度庭を捜して

(みましょう。ずいぶんひろいにわだから、どこに、どんなかくればしょが)

みましょう。随分広い庭だから、何処に、どんな隠れ場所が

(あるかもしれない」 ふたりがそんなたちばなしをしているところへ、にわのつきやまの)

あるかもしれない」  二人がそんな立ち話をしているところへ、庭の築山の

(むこうから、とんきょうなさけびごえがきこえてきました。 「ちょっときてください。)

向こうから、頓狂な叫び声が聞こえてきました。 「ちょっと来て下さい。

(はっけんしました。ぞくをはっけんしました」 そのさけびごえとともに、にわのあちこちから)

発見しました。賊を発見しました」  その叫び声と共に、庭のあちこちから

(あわただしいくつおとがおこりました。けいかんたちがげんばへかけつけるのです。)

慌ただしい靴音が起こりました。警官達が現場へ駆けつけるのです。

(なかむらかかりちょうとしゅにんけいじも、こえをめあてにはしりだしました。)

中村係長と主任刑事も、声を目当てに走り出しました。

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